虚血性心疾患に対する運動療法が禁忌となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
活動性の心筋炎やコントロールされていない不整脈は、心臓への負担が増大することで既存の炎症の悪化や重篤な不整脈の誘発、ひいては突然死のリスクを高めるため、運動療法は禁忌となる。特に活動性の心筋炎は心筋壊死を悪化させ、心不全や致死性不整脈に繋がりやすい。
選択肢ごとの解説
- 1. 安定型狭心症は、適切な薬物療法や生活指導によって症状がコントロールされていれば、心臓リハビリテーションの一環として運動療法が推奨される。心臓への負荷を段階的に増やし、心機能を改善させる目的がある。選びやすい理由:狭心症という病名から運動が危険と連想されやすいが、『安定型』であればむしろ運動療法が推奨される場合があるため。混同注意:不安定狭心症
- 2. 代償性心不全とは、心臓の機能が低下しているものの、代償機構によって症状が安定している状態を指す。このような状態では、心臓リハビリテーションの一環として運動療法が推奨され、心機能の改善やQOLの向上が期待される。選びやすい理由:心不全という言葉から運動が危険と連想されやすいが、『代償性』であれば運動療法が推奨される場合があるため。混同注意:非代償性心不全(急性増悪期)
- 3. 正解。活動性の心筋炎は心筋に炎症が起きている状態であり、運動療法を行うと炎症が悪化し、心筋壊死の進行、不整脈の誘発、心不全の悪化、さらには突然死に至るリスクが非常に高いため、運動療法は絶対的禁忌である。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、誘惑される要素はない。
- 4. I度房室ブロックは、心電図上PR間隔が延長するのみで、通常は自覚症状がなく、血行動態に大きな影響を及ぼさない。基礎疾患の管理下であれば運動療法は通常可能であり、運動が禁忌となる状況ではない。選びやすい理由:『ブロック』という言葉の響きから、心臓に異常があるため運動が危険と誤解されやすい。混同注意:高度房室ブロック(II度以上)や完全房室ブロック
- 5. 正解。コントロールされていない不整脈は、運動によって心臓への負荷が増大し、不整脈が悪化したり、致死性不整脈に移行したりするリスクがある。特に、頻脈性不整脈や心室性不整脈がコントロールされていない場合は、運動療法は禁忌となる。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、誘惑される要素はない。
国試ポイント
虚血性心疾患患者に対する運動療法実施の可否を判断する際の絶対的・相対的禁忌を理解する。特に、活動性の炎症性疾患や不安定な循環動態を呈する状態は運動療法が禁忌となることを覚える。
混同注意
虚血性心疾患患者の運動療法は心機能の維持・改善に有用であるが、病態が不安定な場合は逆効果となる。安定している状態(例:安定型狭心症、代償性心不全)と不安定な状態(例:活動性心筋炎、コントロール不良な不整脈、不安定狭心症、急性心筋梗塞直後)を明確に区別することが重要である。
次に同じ論点が出たら
今後、虚血性心疾患患者の運動療法に関する問題が出題された場合は、患者の病態が『活動性』、『不安定』、『コントロール不良』といったキーワードに該当するかどうかを確認し、心臓に過度な負担がかかる状況でないかを判断する。
関連知識
運動療法は心血管疾患の二次予防に有効な手段であり、心拍数や血圧の適度な上昇を伴う有酸素運動が推奨される。しかし、心筋梗塞急性期、不安定狭心症、重症大動脈弁狭窄症、重症心不全などでは禁忌となる。運動負荷試験で心筋虚血が誘発される場合も慎重な判断が必要である。