ショックの症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では2・3のいずれも正解とされています。 ショックは、全身の臓器や組織への血液供給が不足し、細胞の酸素供給や代謝が障害される生命危機的状態です。この状態を代償しようとする生体反応として、心臓は心拍数を増やし(頻脈)、呼吸器系は酸素摂取量を増やそうと呼吸回数を増加させます(頻呼吸)。血圧は低下し、皮膚は蒼白・冷汗、尿量は減少します。選択肢2「呼吸数の増加(頻呼吸)」と選択肢3「心拍数の増加(頻脈)」は、ショックにおける典型的な代償性反応であり、主要な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. ショック時には、循環血液量の減少や心拍出量の低下により、全身への血液供給が不足します。これに対し、生体は代償的に血管を収縮させようとしますが、多くのショック病態では最終的に血圧は下降します。正しくは:血圧の低下選びやすい理由:初期の代償期には血管収縮反応が見られるため、一時的な血圧維持や軽度上昇と誤解されることがあるかもしれませんが、ショックの典型的な症状としては血圧低下が挙げられます。混同注意:高血圧性緊急症などの他の病態と混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。ショック状態では、組織の酸素不足を補うために、体が酸素を取り込もうとして呼吸中枢が刺激され、呼吸回数が増加します(頻呼吸・呼吸促迫)。また、代謝性アシドーシスが進行すると、体は二酸化炭素を排出してpHを正常化しようとするため、呼吸が深く速くなります(クスマウル呼吸など)。
- 3. 正解。ショック時には、心臓が全身への血液供給を維持しようと代償的に心拍数を増やします。これは心拍出量(心拍数×一回拍出量)を保つための生体反応です。選びやすい理由:一部のショック(例:神経原性ショックや重度の徐脈性不整脈が原因の心原性ショック)では徐脈を呈することもありますが、一般的なショックの初期段階で最も頻繁に見られるのは頻脈です。混同注意:徐脈性不整脈が原因でショック状態になった場合と混同する可能性がありますが、一般的なショックの症状としては頻脈が優位です。
- 4. ショック時には、腎臓への血流が減少するため、尿の生成量が低下します。これは、体を脱水から守り、循環血液量を維持しようとする生体反応です。結果として、尿量は著しく減少します(乏尿・無尿)。正しくは:尿量の減少(乏尿・無尿)選びやすい理由:利尿薬を投与された患者や、糖尿病性ケトアシドーシスなど、ショックに至る他の病態で多尿が見られることがあるため、混同される可能性もあります。混同注意:糖尿病や尿崩症など、多尿を呈する他の疾患と混同しやすいかもしれません。
- 5. ショック時には、重要な臓器への血液供給を優先するため、皮膚の血管は収縮し、皮膚は蒼白で冷たく湿潤な状態になります。ただし、例外として敗血症性ショックの初期段階では、全身の血管拡張により皮膚が温かく紅潮することがありますが、これはショック全体の一般的な症状ではありません。正しくは:皮膚の蒼白、冷感、湿潤選びやすい理由:敗血症性ショックの初期症状として皮膚紅潮があるため、それがショック全般の症状と誤解される可能性があります。混同注意:発熱やアレルギー反応による皮膚紅潮と混同しやすいかもしれません。
国試ポイント
ショックの基本的な病態生理と、それに対する生体の代償反応を理解しているかを問う問題です。血圧低下、頻脈、頻呼吸、乏尿、意識障害、皮膚の蒼白・冷汗などがショックの主要な徴候であることを正確に把握している必要があります。特に、代償期と非代償期の症状の違いも重要ですが、この問題では一般的な症状が問われています。
混同注意
ショックの種類(心原性、出血性、敗血症性、神経原性、アナフィラキシーなど)によって症状の出方や強さに違いがあるため、一概に語れない部分もありますが、基本的な代償反応(頻脈、頻呼吸)は共通して見られることが多いです。特に、神経原性ショックでは徐脈を呈することがあり、敗血症性ショックの初期では皮膚が温かいことがあるなど、例外的な病態と一般的な症状を混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、ショックの種類ごとの特徴的な症状や、ショックの進行度(代償期/非代償期)による症状の変化、ショックに対する治療介入(輸液、昇圧剤など)とその影響について問われる可能性があります。
関連知識
ショックの5P(蒼白: pallor、冷汗: perspiration、虚脱: prostration、脈拍触知不能: pulselessness、呼吸促迫: polypnea)や、ショック指数(心拍数/収縮期血圧)の活用。各種ショックの原因と特徴的な症状。ショック時の緊急処置(体位、保温、酸素投与、輸液など)。