6歳の男児。二分脊椎。歩行時の様子を図に示す。予測されるSharrardの分類の上限はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下図の歩行パターンは、骨盤が不安定で、体幹が患側に傾くような代償運動が見られることから、股関節外転筋(中殿筋など)の機能不全が示唆されます。Sharrardの分類では、股関節外転筋の麻痺が存在するが、股関節屈筋や膝関節伸展筋の機能が比較的保たれている状態をⅡ群とします。したがって、この歩行パターンはSharrardの分類におけるⅡ群の上限として最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. Sharrardの分類Ⅰ群は、股関節外転筋の機能が維持されている状態を指します。下図の歩行では、股関節外転筋の十分な機能が示唆されないため、Ⅰ群は上限として適切ではありません。正しくは:この歩行パターンは股関節外転筋の機能が不十分であることを示唆しています。Sharrardの分類Ⅰ群は股関節外転筋が良好な場合に該当します。選びやすい理由:分類の知識があいまいな場合、具体的な症状と群の対応を誤解する可能性があります。混同注意:各群の筋機能とそれが歩行にどう影響するかを理解していない場合、誤って選択する可能性があります。
- 2. 正解。Sharrardの分類Ⅱ群は、股関節外転筋の筋力が不十分で、歩行時にトレンデレンブルグ徴候が見られるか、あるいはそれに近い状態を示します。下図の歩行パターンは、骨盤の安定性が欠如し、患側への重心移動が困難であることから、股関節外転筋の機能不全を強く示唆しており、Ⅱ群の上限と矛盾しません。特に、わずかに体幹を側屈させるような歩行パターンは、股関節外転筋の代償運動として解釈できます。正しくは:正しい選択肢です。この歩行パターンはSharrardの分類Ⅱ群の特徴である股関節外転筋の機能不全を示唆しています。選びやすい理由:Ⅱ群とⅢ群の境界線が不明確な場合、迷う可能性があります。混同注意:Sharrardの分類における各群の具体的な筋機能と、それが歩行パターンにどう反映されるかを正確に理解していない場合、判断が難しくなります。
- 3. Sharrardの分類Ⅲ群は、股関節外転筋だけでなく、股関節屈筋(腸腰筋など)や膝関節伸展筋(大腿四頭筋)にも著しい機能障害が見られる場合に該当します。下図の歩行では、そこまでの重度の機能不全は示唆されておらず、特に股関節屈筋や膝関節伸展筋の機能が保たれている可能性が高いため、Ⅲ群を上限とするのは適切ではありません。正しくは:下図の歩行パターンからは、股関節屈筋や膝関節伸展筋の重度な機能不全は読み取れません。Ⅲ群はこれらの筋群にも機能障害がある場合に適用されます。選びやすい理由:分類が重度になるほど選択肢として選びがちですが、図から読み取れる症状と合致するかどうかを厳密に評価する必要があります。混同注意:Ⅱ群とⅢ群の具体的な筋機能の違いを把握していないと、どちらを選ぶべきか混乱するでしょう。
- 4. Sharrardの分類Ⅳ群は、股関節、膝関節、足関節のほぼ全ての主要筋群に重度の麻痺が見られる状態を指し、自立歩行は非常に困難か不可能に近い状況です。下図の男児は歩行しているため、Ⅳ群を上限とするのは不適切です。正しくは:男児が歩行していることから、Ⅳ群で示されるような重度の麻痺ではないことがわかります。Ⅳ群は自立歩行が著しく困難な場合です。選びやすい理由:より重度な選択肢を選ぶことで、広範囲な病態をカバーできると考えるかもしれませんが、提示された情報と矛盾します。混同注意:各分類群の重症度と、それによって可能となる運動レベルとの関係性を理解していないと、不適切な選択をしてしまいます。
- 5. Sharrardの分類Ⅴ群は、仙骨部から腰髄上部にかけての広範な神経学的欠損を伴い、通常は股関節の脱臼や重度の変形、そして下肢全体の著しい麻痺が見られる状態です。自立歩行はほとんど不可能であり、車椅子を使用するケースが多いです。図の歩行状態とは明らかに異なります。正しくは:Ⅴ群は下肢全体の著しい麻痺を伴い、自立歩行が困難な状態を指します。図の男児は歩行可能であるため、Ⅴ群ではありません。選びやすい理由:最も重度な分類を選びたい誘惑があるかもしれませんが、提示された情報とは整合しません。混同注意:各分類の臨床像と運動能力の関連性を正確に把握していないと、適切な選択ができません。
国試ポイント
Sharrardの分類は、二分脊椎患者の下肢の神経学的欠損レベルと、それに対応する筋機能の状態を分類する重要な指標です。各分類群(Ⅰ〜Ⅴ群)の特徴、特にどの筋群の機能が保たれているか、あるいは障害されているかを正確に理解することが求められます。また、その筋機能が歩行パターンにどのように影響するかを臨床画像から読み取る能力も重要です。
混同注意
Sharrardの分類におけるⅡ群とⅢ群の境界線はしばしば混同されがちです。Ⅱ群は主に股関節外転筋の麻痺が主であり、股関節屈筋や膝関節伸展筋は比較的保たれている点が特徴です。一方、Ⅲ群はこれら後者の筋群にも麻痺が及ぶため、歩行能力はさらに低下します。図から読み取れる歩行の特徴と、各群の筋麻痺の程度を厳密に結びつけることが重要です。
次に同じ論点が出たら
この分類に基づき、この男児に対する適切な理学療法介入(筋力増強運動、バランス訓練、歩行訓練など)や、必要であれば装具(例:短下肢装具、長下肢装具)の選択肢を検討するステップへ移行します。また、股関節の変形進行のリスク評価も行い、必要に応じて整形外科的介入の可能性も考慮します。
関連知識
二分脊椎患者の歩行能力評価には、Sharrardの分類の他に、American Spinal Injury Association (ASIA) Impairment Scaleなど、神経学的欠損レベルを評価するスケールも関連します。また、それぞれの分類に対応した装具療法の選択や手術適応についても理解を深めておくと良いでしょう。特に、股関節外転筋の機能不全に対する理学療法介入や、股関節脱臼の管理も重要な知識です。