腰椎変性すべり症で歩行中に殿部から下肢にかけて疼痛が出現したときの対応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
腰椎変性すべり症における間欠性跛行は、歩行や立位で体幹が伸展することで脊柱管が狭窄し、馬尾神経が圧迫されることで発症します。この症状に対する最も効果的な対処法は、体幹を前屈させることです。しゃがみこむ動作は体幹を強く前屈させるため、脊柱管が広がり、神経への圧迫が軽減され、痛みが緩和されます。これは脊柱管狭窄症患者に見られる典型的な症状緩和行動です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。腰椎変性すべり症による馬尾神経症状(間欠性跛行)は、脊柱管が狭窄し神経が圧迫されることで生じます。しゃがみこむことで体幹が前屈し、脊柱管が広がり、神経への圧迫が軽減されるため、痛みが和らぐことが多いです。
- 2. 痛みを無視して歩行を続けると、神経への圧迫が増強し、症状が悪化する可能性があります。特に速度を上げると体幹の伸展傾向が強まりやすく、脊柱管狭窄を助長することがあります。正しくは:症状が出たら、体幹を前屈させるなどして脊柱管の狭窄を解除する動作をとる。選びやすい理由:すぐに休む時間がない場合に、一時的な対処として考えてしまうかもしれない。混同注意:単なる疲労による痛みと混同し、運動によって改善すると誤解すること。
- 3. 速度を落としても、体幹が伸展位に近い状態であれば脊柱管の狭窄は解消されず、神経圧迫が持続するため、痛みが改善する可能性は低いです。むしろ症状が持続することで悪化するリスクがあります。正しくは:痛みが現れたら、体勢を変えて脊柱管への負担を軽減する。選びやすい理由:無理のない範囲で運動を継続しようと考えるかもしれない。混同注意:一般的な運動時の軽微な痛みに対する対処と混同すること。
- 4. 体幹を伸展させる動作は、腰椎の前弯を強め、脊柱管をさらに狭窄させることになります。これにより神経への圧迫が増大し、症状が著しく悪化する可能性が高いです。正しくは:立ち止まり、体幹を前屈させる。選びやすい理由:一般的な腰痛に対して、ストレッチの一環として体幹伸展を行うイメージがあるため、誤って選んでしまうかもしれない。混同注意:椎間関節性腰痛など、伸展で症状が軽減する疾患と混同すること。
- 5. 体幹の回旋動作は、腰椎にひねりのストレスを加え、椎間板や椎間関節に負担をかける可能性があります。脊柱管狭窄症の症状緩和には直接寄与せず、かえって症状を誘発または悪化させる可能性があります。正しくは:立ち止まり、脊柱管が広がるような姿勢をとる。選びやすい理由:身体をほぐす動作として、回旋を選択してしまうかもしれない。混同注意:腰のストレッチ全般と混同し、どの動作でも良いと誤解すること。
国試ポイント
腰椎変性すべり症(特に脊柱管狭窄症に合併する間欠性跛行)の病態生理と、それに基づいた症状緩和のための具体的な動作を理解しているかが問われます。体幹の姿勢が脊柱管の広さにどう影響するか、という基礎知識が重要です。
混同注意
腰痛一般のストレッチや運動時の対処と混同しやすい。特に、伸展動作が他の腰痛(例:椎間関節性腰痛の一部)で推奨される場合があるため、疾患ごとの適切な対応を区別できるかがポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、脊柱管狭窄症の病態と症状、そして「どのような姿勢や動作で症状が軽減・悪化するか」を具体的に問われる可能性が高いです。特に、歩行以外の日常生活動作における注意点や、理学療法介入時のポイントも確認が必要です。
関連知識
間欠性跛行の定義と原因(神経性跛行と血管性跛行の鑑別)。脊柱管狭窄症の症状(馬尾症状、神経根症状)。腰椎の運動と脊柱管径の変化。自転車に乗ると楽、といった生活指導との関連。