19歳の男性。基礎疾患はない。自転車エルゴメーターを用いた運動強度を次第に上昇させて運動終点まで運動負荷試験を行ったときの酸素摂取量の測定結果を図に示す。 全身持久力改善のために必要な運動負荷量(ワット)として正しいのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
全身持久力改善のためには、中強度以上の運動が推奨されます。一般的な成人において、自転車エルゴメーターを用いた運動では、最大酸素摂取量(VO2max)の50〜85%程度の強度、あるいは最大心拍数(HRmax)の60〜90%程度の強度を目標とすることが多く、これに相当するワット数は個人の体力レベルによって異なりますが、一般的な成人であれば200W程度が中強度からやや高めの負荷として全身持久力改善に有効な範囲に入ることが多いです。選択肢の中で最も適切なのは200Wと言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 全身持久力改善のための運動負荷としては、50Wは一般的に非常に低い値であり、ほとんどの成人にとっては運動効果が期待できない強度です。運動不足の高齢者や、ごく軽度の疾患を持つ方には初期負荷として検討されることもありますが、持久力改善には至りません。正しくは:運動効果を得るためには、目標心拍数に基づいて個別の適切な負荷を設定する必要があります。選びやすい理由:運動習慣がない人にとっては50Wでもきつく感じることがあるため、選択肢として迷うかもしれません。混同注意:運動負荷量の設定は、個人の体力レベルや目標によって大きく異なるため、一律の数値として捉えにくい点です。
- 2. 100Wは、成人にとってやや軽めの運動負荷であり、全身持久力改善を目的とするには不十分な場合が多いです。運動習慣がない人が運動を開始する際の初期負荷や、準備運動としては適切ですが、改善効果を継続的に得るには段階的な負荷増大が必要です。正しくは:より高い運動効果を目指す場合、運動時間や頻度を増やしたり、さらに負荷を上昇させる必要があります。選びやすい理由:一般的な運動の目安として100Wをイメージする人もいるかもしれません。混同注意:個人の体力レベルによっては100Wでも運動効果を感じる場合があるため、一概に不適切とは言い切れないと考える可能性があります。
- 3. 正解。全身持久力改善に必要な運動負荷は、個人の最大酸素摂取量や目標心拍数に基づいて設定されます。成人で全身持久力を効果的に向上させるためには、中強度以上の運動が推奨されており、一般的な体力を持つ成人にとっては200Wは中程度からやや高めの負荷となり、持久力改善に有効な範囲です。自転車エルゴメーターなどを用いた運動療法では、VO2maxの50〜85%程度の強度を目標とすることが多く、これに相当するワット数となることがあります。正しくは:この負荷は、運動生理学に基づいた適切な範囲とされています。選びやすい理由:より高い負荷の方が効果があると思いがちですが、適切な範囲を超えると過負荷になりやすいです。混同注意:運動経験が少ないと、200Wは高すぎると感じるかもしれません。また、具体的な計算式を知らないと、なぜこの数値が適切なのか判断しにくい可能性があります。
- 4. 300Wは、非常に高い運動負荷であり、特別なトレーニングを積んだアスリートや、非常に高い体力レベルを持つ人にしか対応できない強度です。一般的な成人が全身持久力改善を目的として継続的に行うには過剰な負荷であり、疲労や怪我のリスクを高める可能性があります。正しくは:このような高負荷は、特定の目標を持つトップアスリート向けであり、一般成人には推奨されません。選びやすい理由:高負荷であるほど効果が高いという誤解から、この選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:運動経験者であれば、300Wでも可能だと考えるかもしれませんが、これは全身持久力『改善』という長期的な目標には不適切です。
- 5. 350Wは、300Wと同様に極めて高い運動負荷であり、通常の成人にとっては安全かつ効果的な運動とは言えません。心肺系への負担が大きすぎ、疲労困憊や体調不良を招きやすく、長期的な運動継続は困難です。このような負荷は、特殊なプロフェッショナルトレーニングで用いられるレベルです。正しくは:一般成人向けの全身持久力改善の目標としては、この負荷は過剰であり、怪我や健康リスクが高まります。選びやすい理由:選択肢の中で最も高い数値であるため、最も効果があると考えて選んでしまうかもしれません。混同注意:負荷が高ければ高いほど効果があると誤解している場合、この選択肢が魅力的に見えることがあります。
国試ポイント
本問題は、運動処方における運動負荷量の設定に関する基本的な知識を問うものです。特に、全身持久力改善のための運動強度(ワット数や心拍数)の目安を理解しているかが重要となります。ワット数は絶対的強度を示す指標の一つであり、自転車エルゴメーターなどで用いられます。
混同注意
ワット数は個人の体力レベルによって感じ方が大きく異なるため、一概に「このワット数が適切」とは言い切れない点。しかし、国家試験では標準的な成人を想定した知識が問われるため、一般的な目安を把握しておく必要があります。また、運動強度を心拍数やMETsで考えることが多いため、ワット数との関連性が不明確だと迷いやすいです。
次に同じ論点が出たら
この問題で正解できなかった場合、運動生理学における運動強度の設定方法、特にワット数と他の指標(VO2max、心拍数、METsなど)との関連性について再確認が必要です。また、様々な疾病や年齢層における運動処方の具体例を学ぶことで、応用力が向上します。
関連知識
運動処方の原則(FITT-VP原則)、最大酸素摂取量(VO2max)と運動強度の関係、心拍数と運動強度の関係、ボルグスケール(RPE)を用いた運動強度の設定、疾病別(心疾患、糖尿病など)の運動処方ガイドライン。