膝関節伸展位で足背屈の関節可動域測定をしたところ、可動域制限が認められた。次に、膝関節屈曲位で測定したところ可動域制限は認められなかった。短縮している筋はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
この問題は、足関節背屈制限の原因となっている筋肉を特定するもので、膝関節の屈曲・伸展位によって可動域制限が変化するという点が重要です。この特徴は、膝関節と足関節の両方をまたぐ二関節筋である腓腹筋に特有のものです。膝関節を伸展させると腓腹筋が伸張され、足関節背屈運動が制限されます。一方、膝関節を屈曲させると腓腹筋は緩み、足関節背屈運動の制限が解消されます。他の選択肢の筋肉は、足関節の動きに直接関与しないか(大腿直筋、大腿二頭筋長頭、半膜様筋)、あるいは単関節筋であるため膝関節の肢位に影響されない(ヒラメ筋)ため、問題文の状況には合致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 大腿直筋は股関節屈曲と膝関節伸展に作用し、足関節の動きには直接関与しません。膝関節の屈曲・伸展によって足関節背屈制限が変化する状況には当てはまりません。正しくは:膝関節伸展位での股関節屈曲制限や膝関節屈曲位での膝関節伸展制限などに関与します。選びやすい理由:膝関節の動きに関わる筋肉であるため、関連するのではないかと考えるかもしれません。混同注意:膝関節に関連する他の二関節筋(例:ハムストリングス)との混同や、足関節背屈制限の原因筋との関連付けの誤り。
- 2. 大腿二頭筋長頭は股関節伸展と膝関節屈曲に作用するハムストリングスの一部で、足関節の動きには直接関与しません。この筋の短縮は足関節背屈制限とは関連がありません。正しくは:膝関節伸展位での股関節屈曲制限や膝関節屈曲制限などに関与します。選びやすい理由:膝関節をまたぐ二関節筋であるため、問題文の条件に引きずられて選んでしまうかもしれません。混同注意:膝関節の動きに関わる他の二関節筋(特に腓腹筋)との混同。
- 3. 半膜様筋は股関節伸展と膝関節屈曲に作用するハムストリングスの一部で、足関節の動きには直接関与しません。この筋の短縮が足関節背屈制限の原因となることはありません。正しくは:膝関節伸展位での股関節屈曲制限や膝関節屈曲制限などに関与します。選びやすい理由:ハムストリングスは膝関節をまたぐ二関節筋であるため、問題文の状況と関連があるように感じるかもしれません。混同注意:膝関節の動きに関わる他の二関節筋(特に腓腹筋)との混同。
- 4. 正解。腓腹筋は膝関節と足関節(背屈)をまたぐ二関節筋です。膝関節伸展位では腓腹筋が最大の長さを強いられるため、その短縮がある場合に足関節背屈制限が出現します。膝関節を屈曲させると腓腹筋の緊張が緩むため、足関節背屈制限が改善または消失します。この問題文の状況は腓腹筋の短縮に典型的な所見です。
- 5. ヒラメ筋は足関節(背屈)のみに作用する単関節筋であり、膝関節をまたぎません。そのため、膝関節の屈曲・伸展位によって足関節背屈の可動域制限が変化することはありません。ヒラメ筋が短縮している場合は、膝関節の肢位に関わらず足関節背屈制限が認められます。正しくは:ヒラメ筋の短縮は、膝関節の肢位に関わらず足関節背屈の可動域制限として現れます。選びやすい理由:足関節背屈制限に関わる主要な筋肉であるため、選択肢として有力に感じやすいですが、膝関節との関連性を考慮する必要があります。混同注意:同じ下腿三頭筋の一部である腓腹筋と混同しやすいですが、ヒラメ筋は単関節筋である点が異なります。
国試ポイント
二関節筋の特性と、それによる関節可動域制限の変化を理解しているかどうかが問われています。特に、腓腹筋とヒラメ筋の違いを明確に理解しているかが重要です。
混同注意
腓腹筋とヒラメ筋はどちらも足関節の底屈に関わる筋肉であり、総称して下腿三頭筋と呼ばれます。そのため、足関節の可動域制限の原因として両者が挙げられることが多く、混同しやすいです。しかし、腓腹筋は二関節筋、ヒラメ筋は単関節筋であるという点が決定的な違いとなります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず『膝関節の肢位によって足関節の可動域制限が変化するか』という点に着目し、二関節筋(腓腹筋)か単関節筋(ヒラメ筋)かを判断します。また、他の関節の可動域制限に関する問題でも、二関節筋の特性が応用できるかを検討します。
関連知識
二関節筋(例:腓腹筋、大腿直筋、ハムストリングス)と単関節筋(例:ヒラメ筋、大腿中間広筋)の機能解剖学的な違い、および筋の長さと関節可動域の関係。各筋肉の起始停止と作用を正確に把握していることが重要です。