60歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅢ、クラス3で寛解状態であり安定している。理学療法士が行う生活指導について誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
関節リウマチ患者では、頸椎、特に環軸関節の不安定性が高頻度で認められます。この状態で頸椎に等張性抵抗運動のような強い負荷をかける運動を行うと、環軸関節の亜脱臼や頸髄損傷を引き起こすリスクが非常に高いため、原則として禁忌とされています。理学療法士は、患者の関節状態を正確に評価し、安全な運動指導を行う必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 足底板は足部変形や歩行時の負荷軽減に有効であり、患者の状態に合わせて調整することは適切な指導です。正しくは:歩行スタイルに合わせた足底板の調整は、足部への負担を軽減し、変形の進行を予防するために推奨されます。選びやすい理由:足底板の調整は専門的な知識が必要なため、誤りだと感じるかもしれません。混同注意:装具の適合性と患者教育の必要性。
- 2. 正解。関節リウマチ患者では、頸椎の環軸関節不安定性(亜脱臼)のリスクが高いです。この状態で等張性抵抗運動を行うと、頸髄損傷などの重篤な合併症を引き起こす危険性があるため、原則として避けるべき指導です。正しくは:頸椎の運動を行う場合は、等尺性運動や可動域内での低負荷運動に限定し、不安定性の評価を十分に行った上で慎重に行うべきです。特に抵抗運動は禁忌となることが多いです。選びやすい理由:一般的な筋力強化運動として等張性抵抗運動は有効であるため、関節リウマチ患者にも応用できると考えやすいです。しかし、頸椎の特性を理解していれば誤りだと判断できます。混同注意:他の部位の筋力強化運動と頸椎の特殊性。等張性運動と等尺性運動の使い分け。
- 3. スプリントは、関節の安静保持、変形予防、疼痛軽減、機能保持の目的で使用され、特に夜間装具などは変形予防に有効です。これは適切な指導です。正しくは:関節の変形を予防するためのスプリントの使用は、関節の保護やアライメント維持に有効であり、推奨されます。選びやすい理由:装具の使用は患者にとって負担となるため、不要と判断するかもしれません。混同注意:急性期の装具使用と慢性期の装具使用の目的。
- 4. 急性炎症期には、関節の炎症を悪化させないよう安静を保ち、過度な運動は避けるべきです。これは関節保護の原則であり、適切な指導です。正しくは:病状が再燃し、急性炎症期に入った場合は、炎症の悪化を防ぐために運動を控え、安静を優先するように促します。選びやすい理由:全く運動をしないと筋力低下を招くため、少しは動かした方が良いと考えるかもしれません。混同注意:急性期と慢性期での運動療法の原則。
- 5. 関節保護の原則の一つに、可能な限り大きな関節を使用するという考え方があります。これにより、小さな関節への過度な負担を軽減し、変形の進行を予防できます。これは適切な指導です。正しくは:日常生活動作において、できるだけ大きな関節(例:指ではなく腕全体を使う)を使う関節保護の工夫を指導します。選びやすい理由:関節リウマチ患者の動作指導は多岐にわたるため、具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。混同注意:関節保護の原則と具体的な応用例。
国試ポイント
関節リウマチ患者の関節保護の原則と、特定の関節(特に頸椎)の病態生理学的特徴を理解しているかどうかが問われる問題です。運動療法の適応と禁忌に関する知識が重要となります。
混同注意
関節リウマチ患者に対する運動療法は、急性期と慢性期でアプローチが大きく異なるため、その違いを混同しやすいです。また、一般的な筋力強化と、不安定性のある関節への抵抗運動の危険性を区別できないと誤答につながります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず頸椎の不安定性に関する知識が問われているかを確認します。次に、問題文が急性期(活動期)なのか、寛解期(安定期)なのかを把握し、それぞれの時期に応じた適切な運動療法や生活指導が選択肢に含まれているかを判断します。特に抵抗運動の適応・禁忌には注意が必要です。
関連知識
関節リウマチのSteinbrockerのステージ分類とクラス分類、環軸関節亜脱臼の病態、頸椎の不安定性評価(X線動態撮影など)、関節保護の原則(痛みの回避、大関節の使用、レバレッジの活用、休憩の導入、装具の使用など)、急性炎症期と寛解期における運動療法の目標と内容。