緩和ケア病棟におけるがん患者の理学療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
緩和ケアにおける理学療法は、患者さんの全身状態を常に評価し、安全性を確保しながら実施することが求められます。骨髄抑制は、感染症リスクの増加、貧血による活動能力の低下、血小板減少による出血傾向など、理学療法の内容に大きな影響を与えるため、その状態に合わせて運動強度や内容を調整することは極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 緩和ケア病棟における理学療法は、患者さんの生活の質(QOL)を最優先とし、苦痛の緩和や残存機能の維持・向上を通じて、患者さんがより快適に過ごせることを目指します。機能回復のみを目的とするわけではありません。正しくは:身体機能の回復だけでなく、生活の質(QOL)の維持・向上、苦痛の緩和を優先する。選びやすい理由:一般的なリハビリテーションでは機能回復が重視されるため、混同しやすい。混同注意:急性期・回復期リハビリテーションの目的と緩和ケアの目的
- 2. がん患者さんの疼痛に対して、温熱療法は禁忌ではありません。むしろ、筋肉の緊張緩和や血行促進により、疼痛緩和に有効な場合があります。ただし、がんの部位や病態(例:腫瘍熱、出血傾向、急性炎症、骨転移部位への強い刺激など)によっては慎重な判断が必要です。正しくは:疼痛がある場合でも、温熱療法は禁忌ではなく、症状緩和に有効な場合があるが、病態に応じた慎重な判断が必要である。選びやすい理由:がん病巣への刺激を避けるべきという知識から、温熱療法も一律に避けるべきだと誤解しやすい。混同注意:急性期炎症や特定の腫瘍(例:血管肉腫)に対する禁忌と、一般的ながん性疼痛への温熱療法
- 3. リンパ浮腫はがん治療の合併症としてよく見られ、理学療法(複合的理学療法:スキンケア、医療徒手リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法)は浮腫の軽減や症状緩和に非常に有効な治療法です。行わないという選択は誤りです。正しくは:リンパ浮腫がある患者さんにも、理学療法(複合的理学療法)は有効な治療法として実施される。選びやすい理由:浮腫が悪化するのではないかという懸念から、理学療法を控えるべきだと誤解しやすい。混同注意:急性期のリンパ管炎とリンパ浮腫に対する理学療法
- 4. 緩和ケアは、身体的苦痛だけでなく精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛も対象とする全人的ケアであり、多職種連携によるチームアプローチが極めて重要です。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど、多様な専門職が連携し、患者さんと家族を支えます。理学療法士もその一員です。正しくは:個別的な関わりも重要であるが、多職種によるチームアプローチを重視する。選びやすい理由:個別性に配慮したケアが重要であるという点で正しいように見えるが、チームアプローチの重要性を否定する点が誤り。混同注意:個別性への配慮と、多職種連携の必要性
- 5. 正解。骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少など)はがん治療の副作用として頻繁に見られます。骨髄抑制がある場合、易感染性、貧血による倦怠感や息切れ、出血傾向などが生じるため、理学療法を行う際は患者さんの全身状態(感染リスク、倦怠感の有無、貧血の程度、出血のリスク)を評価し、運動強度や内容を適切に調整することが不可欠です。選びやすい理由:患者の全身状態に合わせた対応は医療の基本であるため、常識的に正しいと判断しやすい。混同注意:骨髄抑制が直接的な禁忌であると誤解すること。実際は状態に応じた調整が必要。
国試ポイント
緩和ケアにおける理学療法の原則、特に患者のQOL優先、全身状態に応じた個別対応、禁忌事項の理解、多職種連携の重要性が問われています。急性期や回復期のリハビリテーションとは異なる、緩和ケア特有の視点が必要です。
混同注意
一般的な急性期・回復期リハビリテーションの原則と、緩和ケアにおける理学療法の原則。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、患者の全身状態(痛み、倦怠感、感染リスク、出血傾向など)への配慮が適切か、QOLを重視しているか、多職種連携ができているか、といった点が選択肢に含まれるかを確認します。
関連知識
緩和ケアの定義、がん治療の副作用(骨髄抑制、リンパ浮腫など)、がん性疼痛の管理、多職種連携の重要性、QOLの概念。