糖尿病患者の運動療法を中止すべき状態はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
糖尿病患者の運動療法においては、低血糖の発症に特に注意が必要です。冷汗は、低血糖の主要な自律神経症状の一つであり、運動中に冷汗が認められた場合は、直ちに運動を中止し、低血糖への対応を行う必要があります。他の選択肢は、運動中止を直ちに要する状態とは判断されません。
選択肢ごとの解説
- 1. 発汗は運動時に体温調節のために自然に生じる生理的反応であり、通常、運動中止の直接的な理由にはなりません。むしろ、運動負荷の指標の一つとして利用されることもあります。正しくは:過度の発汗や冷汗など、特定の異常な発汗パターンでなければ運動中止の理由とはならない。選びやすい理由:発汗は脱水症状や低血糖の兆候として捉えられることもあるため、不安を感じやすい。混同注意:異常な発汗(冷汗、多量の発汗と意識レベル低下など)と通常の生理的発汗。
- 2. 正解。冷汗は、低血糖の主要な症状の一つです。糖尿病患者において運動中に冷汗が見られる場合、低血糖を疑い、直ちに運動を中止して適切な対処(糖分摂取など)を行う必要があります。選びやすい理由:一般的な発汗と混同しやすいが、冷汗は自律神経系の異常反応であり、身体の危機を示唆する。混同注意:通常の運動による発汗と、低血糖などによる異常な冷汗。
- 3. 体温37.0℃は平熱の範囲内であり、発熱を示すものではありません。したがって、運動中止の直接的な理由にはなりません。正しくは:体温が37.5℃以上など、明らかに発熱が認められる場合は運動を中止する。選びやすい理由:わずかな体温上昇でも発熱と捉えがちだが、運動中は体温が一時的に上昇することがある。混同注意:運動に伴う生理的な体温上昇と、感染症などによる病的な発熱。
- 4. Borg指数(RPE: 自覚的運動強度)13は「ややきつい」程度であり、運動継続が困難なほどの高強度ではありません。通常、糖尿病患者の運動療法では、Borg指数11~13(やや楽~ややきつい)を目標とすることが多いため、この値であれば運動中止の理由とはなりません。正しくは:Borg指数が15~17以上(きつい~非常にきつい)など、明らかに運動中止を検討すべき高強度に達した場合。選びやすい理由:数値だけ見て、比較的高いと感じる場合がある。混同注意:Borg指数の目標範囲と、運動中止を要するような非常に高い運動強度。
- 5. 運動中の脈拍数110回/分は、運動強度によっては妥当な範囲内です。最大心拍数や運動処方の目標心拍数にもよりますが、高齢者や軽い運動ではこの程度の脈拍数になることは一般的であり、単独で運動中止の理由にはなりません。正しくは:運動処方で設定された目標心拍数を著しく超過している場合や、不整脈を伴う場合。選びやすい理由:安静時心拍数と比較して高いため、不安を感じやすい。混同注意:安静時心拍数と運動時心拍数の違い、また個別の運動処方で設定された目標心拍数。
国試ポイント
糖尿病患者の運動療法における禁忌や中止基準について、特に低血糖症状の理解が問われています。身体所見から異常を判断し、適切な対応を選択できるかを確認する問題形式です。
混同注意
通常の運動による生理的反応(発汗、心拍数上昇、体温上昇)と、糖尿病の合併症(特に低血糖)による異常な身体所見の区別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、糖尿病患者の運動療法における「中止・禁忌」に関する他の具体的な症状(例:著しい高血糖、急性合併症、活動性網膜症、不安定狭心症など)や、低血糖以外の緊急性を要する症状(例:胸痛、めまい、意識障害)について注意深く判断する必要があります。また、各症状の数値基準(例:血糖値、血圧、体温)も問われる可能性があります。
関連知識
糖尿病の運動療法の適応と禁忌、運動中の合併症(低血糖、高血糖、脱水など)とその症状、低血糖時の対応(ブドウ糖摂取など)、運動処方の設定(Borg指数や目標心拍数)。