絞扼性神経障害における障害部位と症候の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
腓骨頭部で総腓骨神経が絞扼されると、その支配領域である下腿伸筋群(足関節背屈)と腓骨筋群(足関節外がえし)が麻痺し、足関節の背屈・外返しができなくなります。この状態が下垂足として現れるため、この組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 手根管症候群で障害されるのは正中神経であり、主要な症状は母指から環指橈側半までの異常感覚や母指球筋の萎縮です。下垂手は橈骨神経麻痺の典型的な症状です。正しくは:手根管症候群と母指球筋萎縮選びやすい理由:手根管症候群が手部の障害であるため、手に関わる症状として下垂手を選びやすい可能性があります。混同注意:手根管症候群の症状と橈骨神経麻痺の症状が混同されやすいです。
- 2. 足根管症候群は脛骨神経の絞扼によるもので、足底部のしびれや異常感覚が主な症状です。足背部の異常感覚は、主に深腓骨神経の絞扼(前足根管症候群など)や浅腓骨神経の絞扼で見られます。正しくは:足根管症候群と足底部の異常感覚選びやすい理由:足根管症候群が足の障害であるため、足に関わる症状として足背部の異常感覚を選びやすい可能性があります。混同注意:足根管症候群の症状と、他の足部の神経障害(特に腓骨神経系)の症状が混同されやすいです。
- 3. 梨状筋下孔での坐骨神経絞扼は、坐骨神経の走行に沿って殿部から大腿後面、下腿、足部にかけての痛みやしびれ、筋力低下を引き起こします。大腿内側の異常感覚は、閉鎖神経や大腿神経の障害、あるいは外側大腿皮神経の絞扼などで見られることがあります。正しくは:梨状筋下孔での坐骨神経絞扼と大腿後面の異常感覚選びやすい理由:坐骨神経絞扼の部位が下肢であるため、下肢の一部である大腿内側の感覚異常が関連していると誤解されやすいです。混同注意:坐骨神経の支配領域と、他の大腿部の神経(閉鎖神経、大腿神経、外側大腿皮神経など)の支配領域が混同されやすいです。
- 4. 肘部管症候群は尺骨神経の絞扼によるもので、環指尺側半から小指にかけてのしびれや、骨間筋・小指球筋の萎縮が特徴です。涙滴徴候(FDP sign / Duchenne sign)は、小児の先天性股関節脱臼の検査で用いられる徴候であり、神経障害とは直接関連しません。Tinel徴候は、肘部管症候群の診断で陽性となることがありますが、これは兆候であって症候ではありません。正しくは:肘部管症候群と小指球筋萎縮選びやすい理由:肘部管症候群に関連する徴候としてTinel徴候を思い浮かべやすいですが、設問は「症候」を尋ねています。また、「涙滴徴候」という言葉自体が馴染みがない、あるいは他の神経学的徴候と混同されやすいため、誤って選択される可能性があります。混同注意:症候と徴候の区別、また様々な神経学的検査の名称が混同されやすいです。特に涙滴徴候は神経系の徴候ではないため注意が必要です。
- 5. 正解。腓骨頭部での総腓骨神経の絞扼は、深腓骨神経および浅腓骨神経の麻痺を引き起こします。深腓骨神経麻痺により足関節の背屈ができなくなり、浅腓骨神経麻痺により足関節の外返しができなくなります。この結果、歩行時に足先が垂れ下がる下垂足(Drop foot)という典型的な症状が現れます。選びやすい理由:この選択肢は絞扼部位と症状が直接結びついており、正解肢として認識しやすいです。
国試ポイント
絞扼性神経障害に関する問題では、障害部位、障害される神経、およびそれに伴う典型的な症候(感覚障害、運動麻痺、反射異常など)の組み合わせがよく問われます。特に、主要な絞扼部位と代表的な症状のパターンを正確に理解しているかが試されます。
混同注意
手根管症候群(正中神経)、足根管症候群(脛骨神経)、肘部管症候群(尺骨神経)、梨状筋症候群(坐骨神経)、腓骨頭部での総腓骨神経麻痺など、各神経の絞扼部位とそれに伴う症状が混同されやすいです。特に各神経の支配領域(感覚・運動)を正確に把握しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、各絞扼性神経障害における感覚障害の範囲や、具体的な筋力低下によって生じる機能障害(例:猿手、鷲手、下垂足など)について、より詳細な知識が問われる可能性があります。また、診断に用いられる特殊テストや画像所見の理解も重要です。
関連知識
各神経の解剖学的走行、支配筋、支配皮膚領域、およびそれらの神経障害時に特徴的に見られる検査所見や徴候についても合わせて学習することが重要です。例えば、Tinel徴候、Phalenテスト、FDP sign(涙滴徴候は異なる)、FDP signの意義、Froment徴候など。