上腕二頭筋腱炎で陽性所見を呈する検査はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Yergasonテストは、上腕二頭筋長頭腱の不安定性や炎症、腱鞘炎を評価するために特異的に用いられる検査です。肘の屈曲位での回外運動への抵抗によって、上腕二頭筋長頭腱にストレスをかけ、疼痛やクリック音、腱の逸脱がないかを確認します。これにより、上腕二頭筋腱炎の存在を推測できます。
選択肢ごとの解説
- 1. Adsonテストは、胸郭出口症候群の一種である斜角筋症候群の診断に用いられる検査です。上腕二頭筋腱炎とは直接関連がありません。正しくは:斜角筋症候群の評価に用いる。選びやすい理由:上肢の神経症状に関連するテストのため、間違えやすいかもしれません。混同注意:他の胸郭出口症候群のテスト(Wrightテスト、Roosテストなど)や、上肢の神経学的テスト全般と混同しやすいです。
- 2. Apleyテストは、肩関節の可動域やインピンジメントの評価、特に回旋筋腱板の損傷を疑う際に用いられる検査です。上腕二頭筋腱炎の特異的な検査ではありません。正しくは:肩関節のインピンジメントや回旋筋腱板損傷の評価に用いる。選びやすい理由:肩関節周囲の障害を網羅的に評価するテストとして知られているため、関連があると感じるかもしれません。混同注意:他の肩関節疾患のテスト(Neerテスト、Hawkinsテストなど)と混同しやすいです。
- 3. Finkelsteinテストは、ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の診断に用いられる検査で、母指の短母指伸筋と長母指外転筋の腱鞘炎を評価します。上腕二頭筋腱炎とは部位も病態も異なります。正しくは:ドケルバン病の評価に用いる。選びやすい理由:腱の炎症を評価するテストであるため、上腕二頭筋腱炎も腱の炎症であることから、関連があるように感じるかもしれません。混同注意:手関節や指の腱炎のテストと混同しやすいです。
- 4. Kempテストは、腰椎椎間関節の障害や神経根刺激症状を評価する検査で、腰部疾患の診断に用いられます。上腕二頭筋腱炎とは部位が全く異なります。正しくは:腰椎椎間関節症や神経根症状の評価に用いる。選びやすい理由:整形外科疾患のテストとして名前を知っているため、選択肢として残る可能性があります。混同注意:腰部の神経学的テスト(SLRテスト、FNSテストなど)と混同しやすいです。
- 5. 正解。Yergasonテストは、上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎や断裂を評価する特異的な検査です。被検者が肘を90度屈曲位で前腕を回外させようとするのを術者が抵抗し、上腕二頭筋長頭腱に痛みが生じるか、または腱が上腕二頭筋溝から逸脱するかを確認します。
国試ポイント
上腕二頭筋腱炎を評価する代表的な徒手検査法を正確に知っているかが問われています。他の選択肢は、それぞれ胸郭出口症候群、肩関節のインピンジメント、ドケルバン病、腰部疾患と、全く異なる部位や病態の評価に用いられる検査であり、鑑別能力が求められます。
混同注意
上腕二頭筋長頭腱の評価には、他にSpeedテストやPopeye sign(腱断裂時)などがあります。肩関節の痛みを伴う疾患として、回旋筋腱板損傷や肩関節インピンジメント症候群、石灰性腱炎などがあり、それぞれの鑑別診断に用いられる徒手検査法を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、上腕二頭筋腱炎の診断に用いられる主要な徒手検査(Yergasonテスト、Speedテストなど)を問うだけでなく、それぞれの検査手技の詳細や陽性所見の意味、さらに他の肩関節疾患(回旋筋腱板損傷、インピンジメント症候群、関節唇損傷など)と鑑別するための各検査法(Neerテスト、Hawkinsテスト、Apprehensionテスト、Relocationテストなど)についても理解しているかを問われる可能性があります。また、画像診断(超音波検査、MRI)の所見についても関連付けて問われることも考えられます。
関連知識
上腕二頭筋長頭腱は肩関節内で走行し、上腕二頭筋溝を通ります。この腱は、肩の使いすぎや反復動作、外傷などにより炎症を起こしやすい部位です。Yergasonテストの他にも、Speedテストも上腕二頭筋長頭腱の評価に用いられます。