28歳の男性。職場でハラスメントを受けている。腹痛と下痢がひどく、出勤途中に数回トイレに行く。血便はなく、休日は症状が出ない。舌質は淡紅、舌苔は少、脈は弦を認める。 疾患として最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団ホームページ(過去の試験問題等)。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
過敏性腸症候群(IBS)は、器質的疾患がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感を伴う便通異常が慢性的に繰り返される機能性消化管疾患です。Rome IV診断基準では、最近3カ月間で平均して週1日以上に腹痛が繰り返し起こり、それが排便に関連している、排便頻度の変化に関連している、便形状の変化に関連しているという3つの項目のうち2つ以上を満たす場合と定義されます。特に「排便に関連する腹痛」が特徴的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃食道逆流症は、胃内容物が食道に逆流することで胸焼けや呑酸などの症状を呈する疾患であり、問題文にあるような腹痛や便通異常が主症状ではありません。 正しくは:胃酸の逆流による胸焼け、呑酸、嚥下困難、胸痛などが主症状です。
- 2. 潰瘍性大腸炎は、大腸に慢性的な炎症と潰瘍を形成する炎症性腸疾患であり、下痢や血便、腹痛を伴いますが、内視鏡検査などで器質的病変が確認されます。過敏性腸症候群は器質的病変がない点で異なります。 正しくは:大腸粘膜のびらんや潰瘍を伴い、持続性または反復性の下痢、血便、腹痛が特徴です。内視鏡検査で炎症所見が確認されます。
- 3. 正解。過敏性腸症候群は、器質的疾患がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感を伴う便通異常が慢性的に繰り返される機能性消化管疾患であり、問題文の症状に最も合致します。特に排便に関連する腹痛が特徴です。
- 4. 機能性ディスペプシアは、胃もたれ、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感などの上部消化管症状が主であり、問題文にあるような便通異常は主症状ではありません。 正しくは:上部消化管症状(胃もたれ、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感など)が主症状です。
国試ポイント
過敏性腸症候群(IBS)の定義、診断基準(Rome IV)、病態生理、および他の機能性消化管疾患との鑑別点を覚える必要があります。特に器質的疾患の除外が重要です。
混同注意
機能性ディスペプシア(FD)や炎症性腸疾患(IBD)と混同しやすいです。FDは上部消化管症状が主であるのに対し、IBSは下部消化管症状が主です。IBDは器質的病変を伴う点がIBSと異なります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、「器質的疾患がないことの確認」「腹痛が排便に関連しているか」「便通異常のパターン」の3点に注目して判断します。
覚え方
今後同様の問題が出題された場合は、「器質的疾患がないことの確認」「腹痛が排便に関連しているか」「便通異常のパターン」の3点に注目して判断します。
対になる知識
機能性ディスペプシア(FD)や炎症性腸疾患(IBD)と混同しやすいです。FDは上部消化管症状が主であるのに対し、IBSは下部消化管症状が主です。IBDは器質的病変を伴う点がIBSと異なります。
関連知識
過敏性腸症候群の病型(便秘型、下痢型、混合型、分類不能型)、治療法(食事療法、薬物療法:高分子重合体、5-HT3受容体拮抗薬、グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬など、心理療法)を関連付けて学習しましょう。