病気の解説
チック障害
受診の目安
- まばたき、首を振る、肩をすくめる、せき払い、鼻を鳴らすといった動きや声が、本人の意思と関係なく何度もくり返されるとき
- チックのために体に痛みやけがが出ている、学校や仕事、友人関係に差し支えている、本人が強いストレスを感じているとき(CDC)
- それまでチックのなかった人に、急に激しいチックのような動きが出てきたとき(CDC)
- 落ち着きのなさ、強いこだわりや不安など、チック以外の気になる様子もあるとき
相談先は、子どもなら小児科(小児神経科)や児童精神科、大人なら精神科や脳神経内科が一般的です。似た動きは別の病気でも起こるため、症状だけで病名を決めることはできません。いつから始まったか、どんな動きや声か、どのくらい続いているかをメモしておくと、診察の助けになります(CDC)。
基本
チック障害とは
チックとは、本人が止めようと思っても止められない、突然の素早い動きや声のくり返しのことです(CDC)(MedlinePlus)。チック障害(チック症)は、こうしたチックが続く状態をまとめた呼び方で、続いている期間と、動きのチック・声のチックのどちらがあるかによっていくつかのタイプに分けられます(CDC)。多くは子どものころに始まり、よく知られるトゥレット症候群は、そのうちの一つのタイプです(CDC)(MedlinePlus)。
主な症状
- 動きのチック(運動チック):まばたき、顔をしかめる、首を振る、肩をすくめる、腕をぴくっと動かすなど(CDC)(MSDマニュアル)。
- 声のチック(音声チック):せき払い、鼻を鳴らす、うなる、ハミングする、言葉を発するなど(CDC)(MSDマニュアル)。
- 単純チックと複雑チック:短く単純な動きや音のものと、いくつかの動きが組み合わさってパターンになったものがあります(CDC)。
はじめは頭や首まわりの動きのチックであることが多いとされます(CDC)。チックは現れたり消えたりしながら、種類も時期によって変わります(CDC)。少しの間なら我慢して抑えられることもあり、チックの前にむずむずするような衝動を感じる人もいます(CDC)(MSDマニュアル)。興奮や心配ごとで強くなり、落ち着いて集中しているときには軽くなる傾向があります(MedlinePlus)。人前で不適切な言葉を口にしてしまう症状はよく知られていますが、実際にはまれで、診断にも必要ありません(CDC)(MedlinePlus)。
原因・なりやすい要因
はっきりした原因はわかっていません(MedlinePlus)。遺伝が関わると考えられており、家族の中に見られることがあります(CDC)(MSDマニュアル)。妊娠中の喫煙や妊娠中の合併症、低出生体重、感染症などが関係するかどうかも研究されています(CDC)。男の子に多いとされます(MedlinePlus)。
チック障害のある子どもには、注意欠如・多動症(ADHD)、強迫症、不安症、学習の困難などが一緒にみられることが少なくなく、それらへの対応も大切だとされています(CDC)(MSDマニュアル)。
検査と診断
診断とタイプ
血液検査など、チック障害を一度で診断できる検査はありません。医師は、どんなチックがあるか(動き・声・その両方)と、どのくらいの期間続いているかを聞き取り、診察して判断します(CDC)。一時的なチックか、長く続くタイプかを見分けるには、しばらく経過をみる必要があることもあります(MSDマニュアル)。
米国精神医学会の診断の手引きにもとづき、チック障害は次の3つのタイプに分けられます。いずれも18歳になる前に始まり、薬や他の病気では説明できないことが前提です(CDC)。
- 暫定的チック症:動きのチック、声のチック、またはその両方があり、続いている期間が1年未満のもの(CDC)。
- 持続性(慢性)運動チック症/音声チック症:動きか声のどちらか一方のチックが、1年以上続くもの(CDC)。
- トゥレット症候群:複数の動きのチックと、1つ以上の声のチックの両方があり、1年以上続くもの(CDC)。
これらは別々の病気というより一続きのもので、最初は暫定的チック症として始まり、一部が持続性チック症やトゥレット症候群へ移っていくことがあるとされます(MSDマニュアル)。
治療
治療
チックそのものを根本的に治す方法はありませんが、症状を和らげる方法はあります(CDC)。
- 様子をみる:チックがあっても生活に差し支えなければ、治療の必要はないとされます(CDC)(MedlinePlus)。
- 行動療法:チックの前の衝動に気づき、別の動きで置き換える練習などを行う方法があり、治療の選択肢として勧められています(MSDマニュアル)。
- 薬:チックが強く生活に支障がある場合に、薬が使われることがあります(CDC)(MedlinePlus)。
- 一緒にある症状への対応:ADHDや強迫症、不安などがあれば、それらの治療や学習面の支援も行います(CDC)(MSDマニュアル)。
日常生活の注意・セルフケア
治療中は、医療機関からの指示を優先してください。
- チックは本人が止めようとしても止められないものです(CDC)。周りの人もそのことを理解して接することが助けになります。
- 緊張や心配ごとで強まりやすいため、安心して過ごせる環境づくりが役立ちます(MedlinePlus)。
- 学校の先生など周りの人にも理解してもらい、からかいやいじめを防ぐ配慮が望まれます(MedlinePlus)。
経過と生活
経過
チックは10代前半ごろに最も強くなり、その後は思春期から大人になるにつれて軽くなる人が多いとされます(MSDマニュアル)(MedlinePlus)。すっかり消える人もいる一方で、大人になっても続く人や、まれに悪くなる人もいます(CDC)。
精神科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
CDC「About Tourette Syndrome」 / CDC「Diagnosing Tic Disorders」 / MedlinePlus「Tourette Syndrome」 / MSDマニュアル プロフェッショナル版「小児および青年におけるチック症およびトゥレット症候群」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。