病気の解説
先天性心疾患
別名:先天性心奇形
緊急性の高い症状
生まれて間もない赤ちゃん(生後1週間ごろまで)に、心臓の働きが足りない様子(心不全)や、唇・皮膚が青紫色になる状態(チアノーゼ)がみられる場合は、急いで治療が必要な緊急の状態とされています(MSDマニュアル家庭版)。次のようなときは、ためらわずに119番通報するか、すぐに医療機関を受診してください。
- 唇、舌、皮膚、爪の色が青紫色になっている
- 呼吸がとても速い、苦しそうに息をしている、うなるような呼吸をしている
- ぐったりしている、ミルクや母乳をほとんど飲めない
出典:MSDマニュアル家庭版「心臓の異常の概要」、CDC「About Congenital Heart Defects」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- ミルクや母乳を飲むとすぐ疲れてしまう、飲む量が少ない、飲みながら汗をかく・呼吸が速くなる
- 体重がなかなか増えない
- ふだんから呼吸が速い、ゼーゼーと苦しそうにしている
- 機嫌が悪い状態が続く、眠ってばかりいる
- 年長の子どもで、運動するとすぐ疲れる、運動中に胸が痛む、どきどきする、ふらつく・気を失う
- 健診などで心雑音を指摘されたとき
子どもの場合の相談先は小児科で、必要に応じて小児循環器の専門医に紹介されます。これらの症状はほかの病気でも起こり、症状だけで心臓の病気かどうかを判断することはできません。心臓の超音波検査などで確かめます(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。
基本
先天性心疾患とは
先天性心疾患は、お母さんのおなかの中で心臓や太い血管がつくられる途中で、形や働きに違いが生じたまま生まれてくる病気の総称です。心臓の中の血液の流れが変わることで、さまざまな症状が出ることがあります(CDC)(MedlinePlus)。治療のいらない軽いものから、生まれてすぐに治療が必要な重いものまで幅があります(MedlinePlus)。生まれてくる赤ちゃんのおよそ100人に1人にみられるとされ、生まれつきの病気の中で最も多い種類です(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。代表的なものに、心室中隔欠損、心房中隔欠損、ファロー四徴症などがあります(CDC)。なかでも左右の心室を仕切る壁に穴がある心室中隔欠損は、最もよくみられる先天性心疾患とされています(東京都立小児総合医療センター)。
主な症状
症状は病気の種類や重さによって大きく違い、ほとんど症状が出ないものもあります(CDC)。心臓の病気そのものが痛みを起こすことはないとされます(MedlinePlus)。
- 赤ちゃん:呼吸が速い・苦しそう、哺乳の途中で疲れる、飲みながら汗をかく、体重が増えにくい、機嫌が悪い、眠ってばかりいる、唇や皮膚が青紫色になる(チアノーゼ)(MSDマニュアル家庭版)(CDC)。
- 幼い子ども:遊んでいるとすぐ疲れる、心拍が速い(MSDマニュアル家庭版)。
- 学童・思春期:運動を続けられない、運動中の胸の痛み、動悸、めまい、失神(MSDマニュアル家庭版)。
聴診で心雑音が聞こえることがきっかけで見つかることもあります(MedlinePlus)。
原因・なりやすい要因
多くの場合、はっきりした原因はわかりません。遺伝子や染色体の変化が関わるものがあり、体質と環境の影響が重なって起こると考えられています(CDC)。
- ダウン症候群などの染色体の病気や、一部の遺伝性の病気(MSDマニュアル家庭版)
- 妊娠前からの母親の糖尿病、妊娠中の風疹、妊娠中の喫煙、妊娠中に使った一部の薬(CDC)(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)
- 家族に先天性心疾患の人がいること(MedlinePlus)
検査と診断
診断
- 妊娠中の超音波検査(胎児心エコー)で、生まれる前に見つかることがあります(CDC)(MedlinePlus)。
- 生まれた後に、指先などにセンサーをつけて血液中の酸素の量を測る検査(パルスオキシメーター)で、重い病気の手がかりが見つかることがあります(CDC)(MedlinePlus)。
- 心電図、胸部X線検査、心臓の超音波検査(心エコー)が行われ、ほとんどの診断は心エコーでつけられます。より詳しく調べるために、MRIやCT、心臓カテーテル検査を行うこともあります(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
治療は病気の種類と重さによって決まります(CDC)。
- 経過をみる:軽いものは治療せずに様子をみることがあります(MedlinePlus)。
- 薬:心臓の負担を軽くする薬(尿を出して余分な水分を減らす薬など)が使われます(MSDマニュアル家庭版)。
- カテーテル治療:足の付け根などの血管から細い管を心臓まで進め、狭い所を広げたり穴をふさいだりする治療です(CDC)(MSDマニュアル家庭版)。
- 手術:穴をふさぐ、弁を直すなどの手術が行われます。重い病気では、生まれて1年以内に手術が必要になることが多いとされます(MedlinePlus)。
完全には治しきれない病気もありますが、治療によって血液の流れや心臓の働きを良くすることができるとされます(CDC)。
日常生活の注意・セルフケア
日常生活の過ごし方は病気によって違うため、主治医の指示を最優先にしてください。
- 手術で治した後も、心臓の専門医による定期的な受診が生涯にわたって必要とされます(MedlinePlus)(CDC)。
- 歯みがきなど口の中を清潔に保つことが勧められています。病気によっては、歯の治療などの前に抗菌薬を使うよう指示されることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
経過と生活
経過
重い病気の多くは手術で治療できるようになっており、早く見つけて治療することが大切とされています(MSDマニュアル家庭版)。治療の進歩により、先天性心疾患をもちながら成人して生活する人が多くなっています(NHLBI)。一方で、成長の遅れや、心臓のリズムの乱れ、心不全などの合併症が起こることがあり、長く見守っていく必要があります(MedlinePlus)。
小児科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「心臓の異常の概要」 / CDC「About Congenital Heart Defects」 / MedlinePlus「Congenital Heart Defects」 / NHLBI「Congenital Heart Defects」 / 東京都立小児総合医療センター「心室中隔欠損」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。