病気の解説
慢性外傷性脳症
受診の目安
- 頭を何度も打った経験(格闘技・コンタクトスポーツ、脳しんとうのくり返しなど)があり、気分や性格、行動の変化が気になるとき(英国の公的医療情報)(MSDマニュアル家庭版)
- もの忘れ、段取りが立てにくい、混乱しやすいといった変化が続くとき(英国の公的医療情報)
- 動作が遅くなった、話しにくいなど、体の動きの変化に気づいたとき(MSDマニュアル家庭版)
相談先は脳神経内科、もの忘れ外来などです。気分の落ち込みが強い場合は精神科・心療内科への相談も考えられます。これらの症状はほかの多くの病気でも起こるため、症状だけで病名を判断することはできません。医師の診察を受けてください。(英国の公的医療情報)
基本
慢性外傷性脳症とは
慢性外傷性脳症(CTE)は、頭への衝撃を長い期間にわたってくり返し受けたことが関係して、脳の神経細胞が少しずつ傷んでいく病気です(MSDマニュアル家庭版)(英国の公的医療情報)。ゆっくり進み、やがて認知症に至ることがあるとされます(英国の公的医療情報)。ボクサーにみられる「パンチドランカー」と呼ばれてきた状態と同じものと考えられています(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
症状は頭のけがから何年も、ときには何十年もたってから、気づかないうちに始まることが多いとされます。長く安定したあとで悪化することもあります。(英国の公的医療情報)
- 気分の変化:落ち込み、いらいら、絶望感、死にたい気持ち(MSDマニュアル家庭版)。死にたい気持ちが強いときや、自分を傷つけてしまいそうなときは、すぐに精神科・救急医療機関に相談するか、身近な人に助けを求めてください(medimichi の注記)
- 行動・性格の変化:怒りっぽい、衝動的・攻撃的になる、気分の波が大きい(英国の公的医療情報)
- 考える力の変化:最近のことを忘れる、時間や場所が分からなくなる、計画を立てるのが苦手になる(英国の公的医療情報)
- 体の動きの変化:動きが遅い・ぎこちない、ろれつが回りにくい(MSDマニュアル家庭版)
気分や行動の変化が先に現れ、考える力の低下があとから目立ってくることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
頭部への打撃や脳しんとうを、長い年月にわたってくり返すことが関係すると考えられています(英国の公的医療情報)。次のような人でリスクが高いとされます。
- ボクシング、格闘技、ラグビー、サッカー、アメリカンフットボールなどを続けてきた人(英国の公的医療情報)
- 爆発の衝撃で頭にけがをした兵士(MSDマニュアル家庭版)
- 家庭内暴力などで、頭への暴力を何度も受けてきた人(英国の公的医療情報)
同じように頭を打っていても発症する人としない人がいる理由や、どのくらいの回数・強さで起こるのかは、まだ分かっていません(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
現在のところ、生きている間に確定できる検査はなく、確定は亡くなったあとの脳の組織の検査によるとされています(MSDマニュアル家庭版)(英国の公的医療情報)。診察では、頭のけがやスポーツの経験を詳しく聞き、記憶や思考、歩き方などを確認します。MRIなどの画像検査や血液検査は、似た症状を起こすほかの病気がないかを調べるために行われます。(MSDマニュアル家庭版)(英国の公的医療情報)
治療
治療
病気そのものを治す方法は見つかっていません。症状をやわらげ、安全に暮らせるよう支えることが治療の中心で、認知症のケアに近い考え方がとられます。(MSDマニュアル家庭版)(英国の公的医療情報)
- 気分の症状に対して、心理カウンセリングや、抗うつ薬・気分安定薬などの薬が使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)
- 理学療法(動きの問題)、作業療法(着替えなど日常動作や住まいの工夫)、言語聴覚療法(話す・食べる・飲み込む)などが役立つことがあります(英国の公的医療情報)
- 医師や専門職、介護・福祉サービスが連携して、長く続く支援の計画を立てます(英国の公的医療情報)
日常生活の注意・セルフケア
医療機関の指示を優先してください。そのうえで、次のような工夫がすすめられています。(MSDマニュアル家庭版)
- 明るく落ち着いた環境を整え、物の置き場所や一日の流れをなるべく変えない
- 食事・入浴・睡眠の時間を一定にする
- 体と頭を使う活動を、無理のない範囲で続ける
- 判断する力が保たれているうちに、今後の医療やお金・法律の手続きについて家族と話し合っておく
介護する家族は疲れやすいため、デイサービスや訪問サービス、家族会などの支援を利用し、自分の時間も確保することが大切とされます(MSDマニュアル家庭版)。
経過と生活
予防
頭のけがをくり返さないことが、リスクを下げる唯一の方法と考えられています(英国の公的医療情報)。
- スポーツでは適切な防具を正しく使う(英国の公的医療情報)
- 頭を打ったときはきちんと手当てや診察を受ける(英国の公的医療情報)
- 脳しんとうのあとは安静にし、一定期間は運動を控える。競技への復帰は医療者の管理のもとで段階的に行う(MSDマニュアル家庭版)
経過
進行する病気で、時間とともに症状が重くなっていくことが多いとされます。進み方は人によって異なり、年単位で変化が少ない時期がある人もいます。(英国の公的医療情報)(MSDマニュアル家庭版)
脳神経内科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「慢性外傷性脳症」 / 英国の公的医療情報(NHS「Chronic traumatic encephalopathy (CTE)」)
「英国の公的医療情報」と記した部分: Contains public sector information licensed under the Open Government Licence v3.0.(英語の公的情報を日本語に翻訳・要約して含みます)
内容の確認日:2026-10-18(次回確認予定 2027-04-18)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。