病気の解説

糖尿病性ニューロパチー

別名:糖尿病性神経障害

まず相談する診療科脳神経内科内分泌・代謝内科
関係する症状手足のしびれ
この解説の項目7項目

受診の目安

糖尿病性ニューロパチーでは、糖尿病が原因で神経が傷つく合併症です。症状が強くなる・日常生活に支障が出る・経過や治療に不安があるときは、脳神経内科に相談してください。通院中の方は自己判断で治療を中断しないでください。

基本

概要

糖尿病性ニューロパチーは、糖尿病が原因で神経が傷つく合併症です。長い間血糖値が高い状態が続くと、全身の神経に影響が及び、痛みやしびれ、感覚の鈍さ、筋力の低下、内臓の働きの異常などさまざまな症状があらわれます。糖尿病患者のおよそ半数が何らかの形で経験すると言われており、症状はゆっくり進行するため気づきにくいことがあります。重症化すると生活の質に影響する可能性があるため、早めの対応が大切です。

原因

糖尿病性ニューロパチーの主な原因は、長期間続く高血糖による神経細胞へのダメージです。末梢神経という筋肉を動かす神経や温度・痛みを感じる感覚のほか、内臓の働きを調節する自律神経も影響を受けます。高血糖は神経を栄養する細い血管を傷つけたり、神経細胞内で有害な物質が増えたりすることで神経の構造を壊してしまいます。インスリンの働きの低下も神経を保護する力を弱める要因のひとつです。併せて高血圧や脂質異常症、喫煙などの生活習慣も神経障害を悪化させることがあります。

検査と診断

診断

糖尿病性ニューロパチーの診断は、症状や経過の聞き取りと神経の反応をみる身体診察で行います。綿や音叉などを使って足の感覚や足裏の反射を評価します。神経伝導速度検査では電気刺激で神経の反応速度を調べ、遅さがあるかどうかを確認します。自律神経障害が疑われる場合には心拍変動の測定や起立試験が行われます。これらの検査により他の病気との区別や進行度の評価が可能で、糖尿病の診療の中で神経の状態を定期的に確認することが推奨されます。

治療

治療

治療の基本は血糖値の適切なコントロールです。血糖値を安定させることで神経障害の進行を抑えることを目指します。食事・運動・薬物療法を組み合わせ、悪化を防ぐことが重要です。痛みやしびれが強い場合には症状を和らげる薬が用いられ、抗けいれん薬や抗うつ薬が選択されることがあります。漢方薬やビタミンB群の補給が補助的に用いられることもあります。自律神経障害には立ち上がり時の血圧を整える薬や胃の動きを改善する薬、排尿障害に対する薬など、症状に応じた治療が行われます。痛みや感覚障害で歩行が不安定な場合は理学療法や装具の使用が検討されます。

経過と生活

予防

糖尿病性ニューロパチーは長く付き合う病気であり、発症を防ぐには血糖コントロールが基本です。HbA1cの測定や医師との面談を通じて自分の状態を把握することが重要です。食事に気をつけ、無理のない運動を取り入れることも血糖コントロールと神経の血流改善に役立ちます。アルコールを控え、禁煙も進行予防に有効です。足のケアは特に大切で、毎日観察し清潔を保ち、合わない靴を避けるなど工夫します。一度発症すると元に戻すのは難しいため、ならないようにする・早く見つけて悪化を防ぐことが重要です。

その他

初期症状

初期の症状として、足先のしびれやチクチクする痛み、感覚の鈍さが左右対称に現れることが多いです。足の指先からふくらはぎ、太ももへと広がることがあり、「手袋・靴下型の感覚障害」と呼ばれることもあります。足裏の感覚が薄い、床の感触がいつもと違う、冷たくても冷たさを感じにくいといった感覚の変化が現れる場合もあります。自動神経障害があると、立ち上がったときのふらつき(起立性低血圧)や汗が出にくい、胃腸の働きの低下、排尿・勃起の障害など多岐にわたる症状が現れます。

糖尿病性ニューロパチーと関係する症状

症状のページでは、同じ症状が出るほかの病気や受診の目安も確認できます。

脳神経内科で扱うほかの病気

国家試験での出題

医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。

出典

参考: 「糖尿病性ニューロパチー」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説 | メディカルドック(出典の事実をもとに medimichi が患者向けに再構成)

この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。