70歳の男性。糖尿病性ニューロパチー。下腿筋の萎縮と筋力低下が著明のためDanielsらの徒手筋力テストを行ったところ、関節運動が全く生じなかったため、段階1の検査を図のように実施した。対象としている筋はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
図に示されている触診部位は、下腿外側部の外果後下方に位置しており、これは短腓骨筋の筋腹を確認するための標準的な触診位置です。短腓骨筋は足関節の強力な外反筋であり、徒手筋力テストの段階1では、筋収縮の有無を触診で確認します。
選択肢ごとの解説
- 1. 後脛骨筋は足関節の内反・底屈に関与します。図のように足部が外反位になっている状態で触診されているのは、主要な外反筋である腓骨筋群ではありません。正しくは:後脛骨筋は内くるぶしの後方や脛骨内側縁に沿って触診します。選びやすい理由:足関節周囲の筋肉であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:足部の内外反に関わる他の筋肉(前脛骨筋、長腓骨筋など)
- 2. 前脛骨筋は足関節の背屈・内反に関与します。図の触診部位は足関節の背屈や内反を主に担う前脛骨筋とは異なります。正しくは:前脛骨筋は脛骨の外側面に沿って触診します。選びやすい理由:足関節周囲の筋肉としてメジャーであり、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:腓骨筋群や後脛骨筋など、足部の運動に関わる他の筋肉
- 3. 正解。図は、外果の後下方に位置する短腓骨筋の筋腹を触診している様子を示しています。短腓骨筋は長腓骨筋とともに足関節の強力な外反筋であり、MMTの段階1で収縮を確認する際の典型的な触診部位です。
- 4. 長母指屈筋は母指の屈曲と足関節の底屈・内反に関与します。この筋肉の触診部位は、脛骨後面に沿って深部に位置するため、図のような外果後方部の表面的な触診とは異なります。正しくは:長母指屈筋は脛骨後面の深部に位置し、触診が難しい筋肉です。選びやすい理由:下腿の深層筋として知識はあるものの、その触診部位を正確に知らない場合に選びがちです。混同注意:長母指伸筋や他の足底屈筋群
- 5. ヒラメ筋は足関節の底屈に関与する筋肉で、下腿三頭筋の一部です。この筋肉の筋腹は下腿後面に広範囲に位置し、特に外果後下方の腓骨筋群の触診部位とは異なります。正しくは:ヒラメ筋はアキレス腱の上方で、腓腹筋の深層から横方向に触診します。選びやすい理由:下腿の大きな筋肉なので、思いつきやすい選択肢ですが、触診部位が異なります。混同注意:腓腹筋や他の足底屈筋群
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)の段階1における特定の筋肉の触診部位を正確に理解しているかが問われています。特に、足関節周囲の主要な筋肉の解剖学的知識とMMTの実践的な知識が必要です。
混同注意
足関節周囲の多くの筋肉(前脛骨筋、後脛骨筋、長腓骨筋、ヒラメ筋、長母指屈筋など)は、その触診部位や作用が似ているため、混同しやすいです。図の正確な判読が重要となります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出題された場合、他の足関節周囲筋(例:長腓骨筋、前脛骨筋、後脛骨筋など)のMMT段階1における触診部位や、各筋の支配神経まで問われる可能性があります。
関連知識
徒手筋力テスト(MMT)の各段階の基準、特に段階1(筋収縮の触知)と段階2(重力除去位での全可動域運動)の違い。下腿の各筋の起始・停止・作用、および触診方法。