病気の解説
脳膿瘍
別名:脳-の-膿瘍
緊急性の高い症状
脳膿瘍は、膿のかたまりが脳を圧迫するため、一刻を争う病気とされています(Cleveland Clinic)。次のような症状があるときは、すぐに119番で救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。
- けいれん発作が起きた
- 体の片側に力が入らない、しびれる、動かしにくい
- 呼びかけへの反応が鈍い、異常に眠そう、意識がはっきりしない、言動がおかしい
- 言葉が出にくい、見え方がおかしい
- 強い頭痛が続き、吐き気・おう吐や発熱を伴う
出典:Cleveland Clinic「Brain Abscess」、MSDマニュアル家庭版「脳膿瘍(脳の膿瘍)」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 上の緊急症状があるときは、救急車を呼んでください。
- 中耳炎・副鼻腔炎・歯の感染症などのあとや、頭のけが・脳の手術のあとに、頭痛が続く、だんだん強くなるとき(MSDマニュアル家庭版)
- 免疫が弱っている人(HIV感染症、免疫を抑える薬や抗がん剤を使っている人など)で、頭痛や発熱、ふらつきなどが出たとき(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)
脳膿瘍の診断と、膿を抜く処置や手術は、主に脳神経外科が担当します。頭痛や発熱は多くの病気で起こり、症状だけで脳膿瘍かどうかを判断することはできません。発熱がほとんどない人もいるため、熱がないからといって安心はできません(MSDマニュアル家庭版)。
基本
脳膿瘍とは
脳膿瘍は、細菌やカビ(真菌)などの感染によって、脳の中に膿のたまりができる病気です(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。比較的まれな病気ですが、膿瘍のまわりの脳が腫れて頭の中の圧力が上がり、脳を傷つけるおそれがあります(MSDマニュアル家庭版)。治療をしなければ命に関わるとされています(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
主な症状
症状は、膿瘍のできた場所や大きさ、まわりの腫れの程度によって違います(MSDマニュアル家庭版)。
- 頭痛、吐き気・おう吐
- 異常な眠気、考えがまとまらない、ぼんやりする
- けいれん発作
- 体の片側の力が入りにくい、しびれ
- 言葉や見え方の異常
- 発熱、寒気、首の硬さ
(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)
症状は急に出ることも、数日から数週間かけて少しずつ出てくることもあります。進行すると意識がなくなることがあります(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
原因・なりやすい要因
病原体が脳に入る経路には、次のようなものがあります(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
- 耳・鼻(副鼻腔)・歯など、脳の近くの感染が広がる
- 体のほかの場所の感染が、血液に乗って脳に運ばれる
- 頭のけがや脳の手術で、病原体が入り込む
原因がわからない場合もあります(MSDマニュアル家庭版)。HIV感染症の人、がんの人、生まれつき心臓の病気がある人、ステロイドや抗がん剤など免疫を抑える薬を使っている人では起こりやすく、カビなど、ふだんは問題になりにくい病原体が原因になることもあります(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
検査と診断
診断
神経の診察に加え、造影剤を使ったMRIやCTで脳の中を調べます。MRIのほうが早い段階の変化をとらえやすいとされます(MSDマニュアル家庭版)。脳腫瘍や脳卒中などと似た画像になることがあるため、画像を見ながら膿瘍に細い針を刺して膿を採り、原因となる菌を調べることがあります(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。血液検査も行われます(Cleveland Clinic)。
治療
治療
入院して治療します(Cleveland Clinic)。
- 抗菌薬・抗真菌薬:原因の菌がわかるのを待たずに始め、長い期間(数週間単位)続けます(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
- 膿を抜く処置・手術:針を刺して膿を吸い出す方法や、頭を開いて膿瘍を取り除く手術があります。膿瘍が大きい場合や、薬で小さくならない場合などに検討されます(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
- 脳の腫れを抑える薬:頭の中の圧力を下げるため、ステロイドなどが使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- けいれんを防ぐ薬:抗てんかん薬が使われることがあります(MSDマニュアル家庭版)(Cleveland Clinic)。
経過と生活
経過
早く治療を始めるほど経過は良いとされます(Cleveland Clinic)。回復の程度は、手術の結果、膿瘍の数、免疫の状態などによって変わります(MSDマニュアル家庭版)。完全に回復する人もいますが、けいれん、体の動かしにくさ、性格の変化など、神経の後遺症が残ることがあり、リハビリが役立つ場合があります(Cleveland Clinic)。免疫が弱っている人では、長く薬を飲み続ける必要があることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
感染症内科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「脳膿瘍(脳の膿瘍)」 / Cleveland Clinic「Brain Abscess」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。