病気の解説
薄毛
受診の目安
- 円形や楕円形の毛の抜けた部分が急にできた、その数が増えてきた、広がってきた、何度もくり返すとき
- 短い期間に頭全体の毛が一気に抜けてきたとき
- 眉毛・まつ毛・ひげなど、頭以外の毛も抜けてきたとき
- 抜け毛と一緒に、だるさや体重の変化など体の不調があるとき
- 生え際や頭頂部が少しずつ薄くなり、気になって治療を考えたいとき
相談先は皮膚科です。薄毛にはいくつもの種類があり、原因によって治療がまったく異なるため、見た目だけで種類を決めることはできません(日本皮膚科学会)。抜け毛の量や頭皮の様子を日ごろから気にかけておくと、変化に早く気づけます(日本皮膚科学会)。
基本
薄毛とは
髪は生えては抜けることを周期的にくり返しています。その通常の入れ替わりを超えて毛が減った状態を、医学的には「脱毛症」と呼びます(日本皮膚科学会)。脱毛症は一つの病気の名前ではなく、毛をつくる組織(毛包)が傷つく型と、毛の生え変わりの周期が乱れる型に大きく分けられます(日本皮膚科学会)。代表的なものに、男性型・女性型の脱毛症や、円形脱毛症があります(日本皮膚科学会)(MedlinePlus)。
主な症状
種類によって、毛の減り方に特徴があります。
- 男性型脱毛症:こめかみの生え際が後退したり、頭頂部が薄くなったりします(MedlinePlus)。
- 女性型脱毛症:前の生え際は保たれることが多く、そのやや後ろから頭頂部にかけて全体的に薄くなります(日本皮膚科学会)。分け目が広がって見えることがあり、完全に毛がなくなることはまれとされます(MedlinePlus)。
- 円形脱毛症:丸い形の脱毛が突然できます。一つだけのことも複数のこともあり、重い場合は頭全体や全身の毛が抜けることがあります(日本皮膚科学会)。脱毛した部分の皮膚には、ふつう赤みや発疹はみられません。抜ける前にピリピリ感やかゆみを感じる人や、爪に小さなへこみが出る人もいます(NIAMS)。
原因・なりやすい要因
- 男性ホルモンの影響:男性型脱毛症では、男性ホルモンが毛根で強い働きをもつ形に変えられ、髪が育つ期間が極端に短くなります。その結果、毛が細く短いまま抜けてしまい、薄く見えるようになります(日本皮膚科学会)。遺伝的な要因も関わるとされます(MedlinePlus)。
- 女性型の要因:女性の場合、男性ホルモンとの関係ははっきりしておらず、女性ホルモンの状態などさまざまな要因が考えられています(日本皮膚科学会)。
- 免疫の異常:円形脱毛症は、本来は体を守る免疫が毛根を誤って攻撃して起こる自己免疫の病気とされます。家族内で起こることがあり、アトピー素因や甲状腺の病気などとの関連も指摘されています(日本皮膚科学会)(NIAMS)。
- 体の病気や出来事:甲状腺機能低下症、膠原病、亜鉛不足、一部の感染症などで毛が抜けることがあります。大きな手術、重い感染症、出産、極端なダイエットのあとに、生え変わりの周期が乱れて抜け毛が増えることもあります(日本皮膚科学会)。
- 薬・治療:薬の副作用や、抗がん剤・放射線治療が原因になることがあります(日本皮膚科学会)(MedlinePlus)。
治療
治療
治療は原因によって異なり、原因となる病気の治療で改善することもあります(MedlinePlus)。
- 男性型脱毛症:毛の成長を促す塗り薬(ミノキシジルなど)、強い働きをもつ男性ホルモンができるのを抑える飲み薬、後頭部の毛を薄い部分へ移す自毛植毛などがあり、症状や希望に合わせて組み合わせるとされます。年齢に伴う変化という面が強く、多くの治療は公的保険の対象外です(日本皮膚科学会)。飲み薬は前立腺の検査値(PSA)を下げるため、健康診断などで服用を伝えることが大切です(日本皮膚科学会)。
- 女性型脱毛症:ミノキシジルの塗り薬が中心で、光やレーザーを当てる方法が用いられることもあります。男性向けの飲み薬は、効果が確かめられておらず、妊娠への影響も心配されるため、女性には勧められていません(日本皮膚科学会)。
- 円形脱毛症:小さな脱毛は自然に治ることも多いとされます(日本皮膚科学会)。治療が必要な場合は、ステロイドの注射や塗り薬、脱毛部分にわざと軽いかぶれを起こさせて免疫のバランスを変える方法などが用いられます。急に広い範囲が抜ける場合には、入院して短期間に点滴でステロイドを使う治療が検討されることもあります(日本皮膚科学会)。
日常生活の注意・セルフケア
治療中は、医療機関の指示を最優先にしてください。抜けないことを保証する方法はありませんが、次のような点が勧められています(日本皮膚科学会)。
- 髪を強く引っぱる髪型や、ひんぱんなカラーリングを避けます。
- 自分の頭皮に合ったシャンプーなどを使い、頭皮が乾燥しすぎたり脂っぽくなりすぎたりしない程度に洗います。
- ビタミンやミネラルがとれるよう、偏りのない食事を心がけます。
- 無理をしすぎず、休養を十分にとり、規則正しい生活を送ります。
経過と生活
経過
円形脱毛症の経過は人それぞれで、一度きりの人もいれば、何度もくり返す人もいます(日本皮膚科学会)(NIAMS)。多くは毛が再び生えてきますが、生えはじめの毛が白っぽいこともあります(NIAMS)。頭全体や全身に及ぶ型は、治りにくい傾向があるとされます(日本皮膚科学会)。膠原病や感染症による脱毛は、治療が遅れると皮膚が硬くなって毛が生えなくなることがあり、早く診断・治療することが重要とされます(日本皮膚科学会)。
皮膚科で扱うほかの病気
出典
日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 脱毛症」 / MedlinePlus「Hair Loss」 / MedlinePlus Genetics「Androgenetic alopecia」 / NIAMS「Alopecia Areata」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。