病気の解説
ベッカー型筋ジストロフィー
受診の目安
- 学童期〜思春期ごろから、走るのが遅い、階段や坂がつらい、転びやすいなど、筋力の衰えが気になるとき
- 運動のあとに筋肉のけいれんや痛みが続くとき
- 息切れ、疲れやすさ、脈の乱れ、足のむくみなど、心臓の不調を思わせる症状があるとき(MedlinePlus Genetics)
- 家族に筋ジストロフィーの人がいて、自分や子どもへの影響が心配なとき
子どもは小児科(小児神経の専門医)、大人は脳神経内科が相談先になります。心臓の症状があるときは循環器内科の診察も必要です。筋力の低下はほかの多くの病気でも起こるため、症状だけでこの病気かどうかを判断することはできません。
基本
ベッカー型筋ジストロフィーとは
筋肉の線維を支えるたんぱく質「ジストロフィン」が十分に働かないために、筋肉が少しずつ壊れ、筋力が落ちていく遺伝性の病気です(MedlinePlus Genetics)。同じ遺伝子が原因のデュシェンヌ型と比べると、症状が軽く、進み方もゆっくりです(MedlinePlus)。日本では、筋ジストロフィーは国の指定難病の対象になっています(難病情報センター)。
主な症状
- 筋力の低下:多くは小児期の後半から思春期ごろに目立ってきます(MedlinePlus Genetics)(MedlinePlus)。筋力の低下は時間とともに進み、歩くことや日常の動作に影響することがあります(MedlinePlus)。成人になっても歩ける人が多いとされます(MSDマニュアル家庭版で確認)。
- 心臓の症状:心臓の筋肉が弱る「心筋症」が思春期ごろから始まることがあり、進むと心臓が大きく広がることがあります。脈の乱れ、息切れ、疲れやすさ、足のむくみなどが現れます(MedlinePlus Genetics)。
- 個人差:症状の出方や進み方は人によって大きく異なります(MedlinePlus Genetics)(MedlinePlus)。
原因・遺伝のしくみ
X染色体の上にある DMD遺伝子 の変化が原因です。ベッカー型では、量が少なかったり形が変わったりしながらも、ある程度働くジストロフィンが作られるため、デュシェンヌ型より症状が軽くなると考えられています(MedlinePlus Genetics)。
遺伝のしかたは「X連鎖」と呼ばれるものです(MedlinePlus Genetics)(難病情報センター)。
- 男性はX染色体を1本しか持たないため、変化した遺伝子があると発症します。多くは母親から受け継ぎますが、新たに遺伝子の変化が起きて発症する人も少なくありません(MedlinePlus Genetics)。
- 父親から息子にはX染色体が渡らないため、患者の男性から息子にこの病気が遺伝することはありません(MedlinePlus Genetics)。一方、娘には父親のX染色体が必ず渡るため、娘は変化した遺伝子を受け継ぎ「保因者」になります。
- 保因者の女性は、軽い筋力低下や筋肉のけいれんが出ることがあり、心筋症など心臓の異常が起こりやすいとされます(MedlinePlus Genetics)。
家族への影響を知りたいときは、遺伝カウンセリングを受けることが勧められます(MSDマニュアル家庭版で確認)。
検査と診断
診断
家族歴を含めた問診と診察のほか、筋肉が壊れると血液中に増える酵素の検査、遺伝子検査、筋肉の一部を取って調べる筋生検、筋電図、MRIなどの画像検査が組み合わされます。心臓については心電図などで調べます(MedlinePlus)。
治療
治療
現在のところ根本的に治す方法はなく、いくつかの治療を組み合わせて、筋力や生活の質を保ち、合併症を防ぐことを目指します(MedlinePlus)。
- リハビリ:関節が固まるのを防ぐ運動、呼吸のリハビリ、飲み込みの訓練などが行われます(難病情報センター)(MedlinePlus)。
- 装具・補助具:装具や歩行器、車いすなどを状態に合わせて使います(MedlinePlus)。
- 心臓と呼吸の管理:心臓の検査を定期的に受け、必要に応じて治療を行います。呼吸が弱くなったときは呼吸を助ける機器が使われることがあります(MedlinePlus)(難病情報センター)。
デュシェンヌ型で効果が確かめられている薬が、ベッカー型でも同じように有効かは十分に調べられていないとされます(MSDマニュアル家庭版で確認)(難病情報センター)。
日常生活の注意
日常生活では、主治医やリハビリの担当者の指示を最優先にしてください。強い筋力トレーニングや負荷の大きい動作は、かえって筋肉を傷めるおそれがあるため勧められていません(難病情報センター)。心臓の症状がなくても、定期的に心臓の検査を受けることが大切です(MedlinePlus)。
経過と生活
経過
筋力の低下は、デュシェンヌ型よりずっとゆっくり進みます(MedlinePlus Genetics)。経過には心臓の状態が大きく関わり、40代以降まで暮らしている人もいます(MedlinePlus Genetics)。
脳神経内科で扱うほかの病気
出典
MedlinePlus Genetics「Duchenne and Becker muscular dystrophy」 / MedlinePlus「Muscular Dystrophy」 / 難病情報センター「筋ジストロフィー(指定難病113)」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。