病気の解説
下腿コンパートメント症候群
緊急性の高い症状
すねの骨折や強い打撲、ギプス固定のあとに、次のような変化があれば、夜間や休日でもすぐに救急外来を受診してください。急性のコンパートメント症候群は、手術が必要な緊急の病気です(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
- けがの程度から考えられるより、痛みがどんどん強くなる
- 痛み止めを使ってもほとんど効かない
- 足の指を動かされたり伸ばされたりすると、ふくらはぎやすねが強く痛む
- すねやふくらはぎが張りつめた感じがする、ピリピリ・焼けるような感覚がある
- 足がしびれる、動かしにくい
ギプスをしている人は、すぐに医療機関に連絡してください。包帯がきつく巻かれている場合は、ゆるめるか外します(OrthoInfo)。組織が回復できなくなるまでの時間は数時間程度とされ、しびれや麻痺は手遅れに近いサインのことがあるため、それまで待たないことが大切です(MSDマニュアル家庭版)(OrthoInfo)。
出典:OrthoInfo(米国整形外科学会)/MSDマニュアル家庭版
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 上の「緊急性の高い症状」があるとき:すぐに救急外来(整形外科)へ
- ランニングなどの運動中に、すねやふくらはぎが痛む・つるようになり、運動をやめるとおさまる、ということをくり返すとき:整形外科へ(OrthoInfo)
痛みの原因には、骨折や疲労骨折、腱の炎症などほかの病気もあり、症状だけで病名を決めることはできません。診察や圧の測定などで判断されます(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
基本
下腿コンパートメント症候群とは
すね(下腿)の筋肉は、筋膜という丈夫な膜でいくつかの区画(コンパートメント)に分けられています。その区画の中の圧力が高くなり、血の流れが妨げられて筋肉や神経が傷む状態をコンパートメント症候群といいます(MSDマニュアル家庭版)。けがのあとに急に起こる「急性」と、運動のたびにくり返す「慢性(運動誘発性)」があり、急性は緊急の対応が必要ですが、慢性は通常、緊急ではありません(OrthoInfo)。
主な症状
急性
- けがに見合わないほどの強い痛みで、時間とともに強くなります(MSDマニュアル家庭版)。
- 筋肉を伸ばすと痛みが増し、張りつめた感じやピリピリ感が出ます(OrthoInfo)。
- 進むと、腫れ、しびれ、皮膚が青白く冷たくなる、足を動かせない、といった状態になります(MSDマニュアル家庭版)。
慢性(運動誘発性)
- 走るなどの運動中に痛みやけいれんのような感じが出て、運動をやめると消えます(OrthoInfo)。
- しびれ、足首を上げにくい、筋肉が盛り上がって見える、といったこともあります(OrthoInfo)。
原因・なりやすい要因
- 急性:骨折(とくにすねの骨折)、ひどい打撲や押しつぶされるけがが多い原因です。きつすぎるギプスや包帯、血流が止まったあとに再び流れ始めたとき、ヘビにかまれたとき、薬物の過量使用などでも起こることがあります(MSDマニュアル家庭版)(OrthoInfo)。
- 慢性:ランニングや行進のように、同じ動きをくり返す運動で起こります(OrthoInfo)。
検査と診断
診断
症状と診察から疑い、区画の中の圧力を測って確かめることがあります(MSDマニュアル家庭版)(OrthoInfo)。慢性の場合は、レントゲンなどで疲労骨折などのほかの原因を除いたうえで、運動の前後で圧を測り、運動後も圧が高いままなら診断の手がかりになります(OrthoInfo)。
治療
治療
- 急性:まず、ギプスや副木など足を締めつけているものを外します(MSDマニュアル家庭版)。手術以外に効果のある治療はなく、皮膚と筋膜を切り開いて圧を逃がす「筋膜切開」を急いで行います。腫れが引いてから傷を閉じ、皮膚移植が必要になることもあります(OrthoInfo)。筋肉が傷んでしまった場合は、その部分を取り除く処置が行われることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 慢性:原因となる運動をやめる、衝撃の少ない運動に切り替える、走る路面やフォームを変えるといった方法がまず試されます。それでも良くならない場合に手術(筋膜切開)が検討されます(OrthoInfo)。
日常生活の注意・セルフケア
治療やけがの管理は、医療機関の指示を最優先にしてください。
- ギプスや包帯で固定されている間は、痛みの強まりやしびれがないかを自分でも気にかけ、異常があれば我慢せずにすぐ連絡します(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
- 運動で症状が出る人は、自己判断で無理を続けず、整形外科で原因を確かめてもらいます(OrthoInfo)。
経過と生活
経過
急性の場合、治療が遅れると、筋肉が縮んだまま固まる、足を失うといった後遺症が残ることがあり、治療しないと命に関わる感染症につながるおそれもあります(MSDマニュアル家庭版)。慢性の場合は、休むと症状が戻るのがふつうで、手術を受けた場合の結果は、すねの前側・外側の区画では良好とされています(OrthoInfo)。
整形外科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
MSDマニュアル家庭版「コンパートメント症候群」 / OrthoInfo(米国整形外科学会)「Compartment Syndrome」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。