病気の解説
先天性食道閉鎖症
別名:食道閉鎖症
緊急性の高い症状
先天性食道閉鎖症は、命に関わる状態とされる生まれつきの病気です(MedlinePlus Genetics)。生まれて間もない赤ちゃんに次のような様子があるときは、すぐに医療者に知らせてください。自宅などで気づいた場合は、ためらわず119番に連絡してください。
- 口から唾液やあぶくがあふれ出てくる(MSDマニュアル)
- 授乳しようとすると、むせる、せき込む、ミルクを吐き戻す(MedlinePlus Genetics)(MSDマニュアル)
- 息が苦しそう、唇や皮膚が青紫色になる(チアノーゼ)(MedlinePlus Genetics)
- お腹がふくれてくる(MSDマニュアル)
出典:MedlinePlus Genetics「Esophageal atresia/tracheoesophageal fistula」、MSDマニュアル プロフェッショナル版「食道閉鎖」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 多くは生まれた直後に、症状や検査から見つかり、病院の中で治療が始まります(MedlinePlus Genetics)(MSDマニュアル)。
- 妊娠中の超音波検査でこの病気が疑われることもあります。その場合は、出産前から、赤ちゃんの手術ができる施設で生まれた後の治療について相談しておくことが役立ちます(MSDマニュアル)。
- 手術を受けた後も、飲み込みにくい、食べ物がつかえる、吐く、せきが続く、肺炎をくり返す、体重が増えにくいといった様子があれば、主治医に相談してください(小児慢性特定疾病 医療意見書)。
治療を担うのは主に小児外科で、赤ちゃんの全身管理には新生児科・小児科も関わります。むせやせき、吐き戻しは他の原因でも起こるため、症状だけで病名を判断することはできません。
基本
先天性食道閉鎖症とは
口と胃をつなぐ食道が、生まれつき途中で途切れている病気です(MedlinePlus Genetics)。おなかの中で育つごく早い時期に、食道と気管(空気の通り道)がうまく分かれなかったために起こるとされます(MedlinePlus Genetics)。多くの場合、食道と気管の間に異常なつながり(気管食道瘻)を伴います(MedlinePlus Genetics)。日本では小児慢性特定疾病の対象の一つです(小児慢性特定疾病 医療意見書)。
主な症状
症状はふつう生まれてすぐに現れます(MedlinePlus Genetics)。
- 唾液があふれる:飲み込んだ唾液が胃まで届かないため、口から唾液があふれます(MSDマニュアル)。
- 授乳時のむせ・吐き戻し:ミルクが行き止まりの食道にたまり、むせたり吐き戻したりします(MedlinePlus Genetics)(MSDマニュアル)。
- 呼吸の苦しさ・チアノーゼ:唾液やミルクが気管に入ると、せき込み、息苦しくなり、唇や皮膚が青紫色になることがあります(MedlinePlus Genetics)。肺炎を起こすこともあります(MSDマニュアル)。
- お腹のふくらみ:気管と食道の下の部分がつながっている型では、泣いたときに空気が胃に入り、お腹がふくれることがあります(MSDマニュアル)。
食道は正常で気管とのつながりだけがある型(H型)は、乳児期以降や大人になってから、肺炎をきっかけに見つかることもあります(MSDマニュアル)。
原因・なりやすい要因
多くの場合、はっきりした原因はわかっていません。いくつもの遺伝的な要因と環境の要因が重なって起こると考えられています(MedlinePlus Genetics)。この病気だけが単独でみられることもあれば、背骨・心臓・腎臓・肛門・手足などの他の生まれつきの病気と一緒にみられたり、染色体の変化や遺伝性の症候群の一部として起こったりすることもあります(MedlinePlus Genetics)(小児慢性特定疾病 医療意見書)。家族の中でくり返し起こることは多くないとされます(MedlinePlus Genetics)。
検査と診断
診断
- 妊娠中:超音波検査で疑われることがあります。羊水が多いことが手がかりになることもありますが、それだけで決まるわけではありません(MSDマニュアル)。
- 生まれた後:鼻や口から細い管を入れても胃まで進まないことで疑われ、管を入れた状態でエックス線写真を撮って、食道が途切れている位置を確かめます(MSDマニュアル)。
- 心臓や腎臓、背骨などに他の病気がないかも調べられます(小児慢性特定疾病 医療意見書)。
治療
治療
- 手術までの管理:口から飲ませることは止め、食道の行き止まりにたまる唾液を管で吸い続けて、気管に入らないようにします(MSDマニュアル)。
- 手術:赤ちゃんの状態が落ち着いたら、気管とのつながりを閉じ、途切れた食道どうしをつなぐ手術を行います(MSDマニュアル)。手術によって口から栄養をとれるようにし、肺が傷つくのを防ぎます(MedlinePlus Genetics)。
- 途切れた距離が長い場合:すぐにはつなげないため、胃に直接栄養を入れる管(胃ろう)をつくって成長を待つ、食道を少しずつ伸ばす、胃や腸を使って食道を作り直すなどの方法がとられることがあります(MSDマニュアル)(小児慢性特定疾病 医療意見書)。
経過と生活
経過
手術の後も、長く経過をみていく必要があります。つないだ部分が狭くなる(吻合部狭窄)、胃の内容物が食道へ逆流する(胃食道逆流症)、食道の動きが弱く飲み込みにくい、気管が柔らかくつぶれやすい(気管軟化症)といった問題が起こることがあります(MSDマニュアル)(小児慢性特定疾病 医療意見書)。狭くなった部分は風船のような器具で広げる治療が行われることもあります(小児慢性特定疾病 医療意見書)。経過や見通しは、一緒にある他の病気によっても変わるため、主治医とよく相談することが大切です。
小児科で扱うほかの病気
出典
MedlinePlus Genetics「Esophageal atresia/tracheoesophageal fistula」 / 小児慢性特定疾病情報センター「先天性食道閉鎖症 医療意見書」 / MSDマニュアル プロフェッショナル版「食道閉鎖」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。