病気の解説
細菌性腸炎
緊急性の高い症状
次のような場合は、様子をみずに速やかに医療機関を受診してください。
- 便に血が混じる、とくに激しい腹痛とともに血便が出るとき(厚生労働省)
- 下痢のあと数日から2週間ほどのうちに、顔色が悪い、尿の量が減る、むくむ、意識がおかしいといった変化が出たとき。腸管出血性大腸菌(O157など)による重い合併症「溶血性尿毒症症候群(HUS)」の始まりのことがあり、子どもと高齢者はとくに注意が必要です(厚生労働省)
- 口の渇きがひどい、尿がほとんど出ない、ぐったりしているなど、脱水が強いとき。重い場合はショックや腎不全につながることがあります(MSDマニュアル家庭版)
意識がもうろうとしている、ぐったりして動けないなど、状態が重いときは119番で救急車を呼んでください。
出典:厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」/MSDマニュアル家庭版「胃腸炎の概要」(事実確認)
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 下痢や嘔吐が続き、水分がとれない、または尿が減ってきたとき
- 熱がある、腹痛が強いとき
- 下痢が何日も続くとき
- 生や加熱不十分な肉などを食べたあとに症状が出て、心配なとき
相談先は内科・消化器内科、子どもは小児科です。下痢の原因が細菌かどうか、どの菌かは、症状だけでは判断できず、医師の診察や便の検査で確かめます(厚生労働省)。血便は細菌性の腸炎以外の病気でも出るため、医療機関で原因を調べることが大切です(厚生労働省)。
基本
細菌性腸炎とは
細菌性腸炎は、細菌やその細菌が作る毒素によって腸に炎症が起こり、下痢や腹痛などが出る病気です。菌のついた食べ物や水を口にすることで起こることが多く、いわゆる「食中毒」の多くがこれにあたります(厚生労働省)(MedlinePlus)。原因となる菌には、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(O157など)、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌、腸炎ビブリオなどがあります(厚生労働省)(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
- 下痢、腹痛、吐き気・嘔吐(MedlinePlus)
- 発熱。細菌が原因の場合は熱が出やすく、血便が出ることもあります(MSDマニュアル家庭版)
- 脱水:口の渇き、尿の回数が減る、力が入らない、など(MSDマニュアル家庭版)
症状は急に始まることが多く、軽く済むことも重くなることもあります(MedlinePlus)。腸管出血性大腸菌では、症状がまったく出ない人から、激しい腹痛のあと真っ赤な血便が出る人までさまざまです(厚生労働省)。
原因・なりやすい要因
- 汚染された食べ物や水:生や加熱が不十分な肉・内臓は、腸管出血性大腸菌やサルモネラによる重い食中毒の危険があるとされます(厚生労働省)。鶏肉はカンピロバクターに注意し、十分に加熱することが求められています(厚生労働省)。
- 人や動物からの感染:患者の便で汚れた手や物を介して口に入ることや、動物とのふれあいで感染することがあります(厚生労働省)。
幼い子ども、高齢の人、体が弱っている人は、脱水が進みやすく重くなりやすいとされます(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
症状のほか、何をいつ食べたか、周りに同じ症状の人がいるか、旅行や抗菌薬の使用歴などを聞きます。必要に応じて便の検査や血液検査を行い、原因の菌を調べます(MSDマニュアル家庭版)(厚生労働省)。
治療
治療
- 水分の補給:失われた水分と塩分を補うことがもっとも大切です(MedlinePlus)。少しずつこまめに飲み、経口補水液が適しているとされます。脱水が重い場合は点滴を行います(MSDマニュアル家庭版)。
- 安静と食事:安静にし、消化のよい食事をとることが基本です(厚生労働省)。
- 下痢止め・痛み止めに注意:腸管出血性大腸菌では、薬によって毒素が体の外に出にくくなるものがあるため、自分の判断で市販薬を飲まず医師に相談するよう呼びかけられています(厚生労働省)。
- 抗菌薬:多くは自然に回復しますが(MedlinePlus)、原因の菌や状態によって抗菌薬が使われることがあり、使うかどうかは医師が判断します(厚生労働省)(MSDマニュアル家庭版)。
家庭での注意(うつさないために)
療養中は医療機関や保健所の指示を最優先にしてください。
- トイレのあと、調理や食事の前には、流水と石けんでよく手を洗います(厚生労働省)。
- 便で汚れた下着は、消毒してから家族のものと分けて洗います。おむつ交換は手袋を使い、決めた場所で行います(厚生労働省)。
- 腸管出血性大腸菌の場合、患者は湯船に入らずシャワーにし、バスタオルは共用しないようにします(厚生労働省)。
- 症状がなくても菌を持っている人が、ほかの人にうつすことがあります(厚生労働省)。
経過と生活
予防
食中毒予防の基本は、菌を「つけない・増やさない・やっつける」ことです(厚生労働省)。
- 生の肉や魚の汁がほかの食品につかないようにし、包丁やまな板は生野菜用と分けて、使ったあとは洗って熱湯をかけます(厚生労働省)。
- 肉は中心までしっかり加熱します。中心部を75℃で1分間以上加熱することが目安とされます(厚生労働省)。
- 冷蔵・冷凍が必要な食品は早めにしまい、調理したものを室温に長く置かないようにします(厚生労働省)(MedlinePlus)。
- 乳幼児や高齢の人には、加熱が不十分な肉を食べさせないほうが安全とされます(厚生労働省)。
消化器内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」 / 厚生労働省「食中毒」 / MedlinePlus「Foodborne Illness」 / MSDマニュアル家庭版「胃腸炎の概要」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。