病気の解説
脱臼
別名:上方脱臼、亜脱臼、内方脱臼、前方脱臼
緊急性の高い症状
脱臼はすぐに医療機関で手当てを受けるべきけがとされています(MedlinePlus)。とくに次のような場合は、ためらわずに119番通報するか、すぐに救急外来を受診してください(MSDマニュアル家庭版)。
- 交通事故や高い所からの転落など、強い力が加わったけが、ほかにもけがをしている
- 関節が大きく変形している、骨折も疑われる、皮膚が破れて骨や傷が見えている
- けがをした手足の先がしびれる、力が入らない
- 手足の先が冷たい、青白い・青紫色になっている
- 体重をかけられない、まったく動かせない
股関節や膝の脱臼では、足への血の流れが悪くなっても、症状がすぐには出ず数時間たってから現れることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
出典:MSDマニュアル家庭版「脱臼の概要」、MedlinePlus「Dislocations」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 転んだりぶつけたりした後、関節の形がいつもと違う、強く痛む、腫れている、動かしにくい
- いったん外れた関節が自然に戻ったように見えても、痛みや腫れ、不安定な感じが残っている
- 小さな子どもが、手を引っ張られた後などに痛がって腕を下げたまま動かさない(日本整形外科学会)
相談先は整形外科です。関節を元の位置に戻す処置(整復)は医療機関で行うものとされています(MSDマニュアル家庭版)。脱臼と骨折は見た目だけでは区別できず、両方が同時に起きていることもあるため、症状だけで判断せずX線検査などで確かめる必要があります(MSDマニュアル家庭版)(日本整形外科学会)。
基本
脱臼とは
脱臼は、関節をつくっている骨どうしが、本来の位置から完全にずれてしまった状態です。一部だけがずれた状態は「亜脱臼」と呼ばれます(MSDマニュアル家庭版)。肩、肘、指、膝のお皿(膝蓋骨)、股関節、足首、あごなど、さまざまな関節に起こります(MedlinePlus)。多くの場合、医療機関で戻すまで外れたままですが、自然に戻ることもあります(MSDマニュアル家庭版)。
子どもに多い「肘内障」は、肘の外側の骨(橈骨の先端)が靱帯からはずれかかる状態で、主に5歳以下の子どもにみられます(日本整形外科学会)。
主な症状
- 関節が変形して見える、骨が皮膚の下で盛り上がって見える(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)
- 強い痛み。動かしたり体重をかけたりすると悪化し、触ると痛む(MSDマニュアル家庭版)
- 腫れ、内出血による変色(MSDマニュアル家庭版)
- 関節を動かせない、またはいつもどおり使えない(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)
- しびれや、触った感じがおかしい(MSDマニュアル家庭版)
痛みをうまく伝えられない小さな子どもでは、手足を動かそうとしないことが主な手がかりになることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
- 転倒、衝突、交通事故、接触の多いスポーツなどで強い力が加わること(MedlinePlus)(MSDマニュアル家庭版)
- 投げる・持ち上げるといった動作のくり返しや、運動のしすぎ(MSDマニュアル家庭版)
- 関節がもともと緩くなる体質や病気(MSDマニュアル家庭版)
- 子どもの肘内障は、手を引っ張られることで起こることが多いとされます(日本整形外科学会)
肩や膝のお皿は、一度脱臼すると、再び脱臼しやすくなるとされています(MedlinePlus)。
検査と診断
診断
診察で、関節の位置や安定性に加えて、手足の先の血の流れや神経の働き(感覚や動き)に異常がないかを確かめます。X線検査で脱臼と骨折の有無を調べ、必要に応じてCTやMRIで小さな骨折や靱帯の損傷を確認します(MSDマニュアル家庭版)。肘内障では、けがをしたときの状況と腕の様子から判断し、骨折などとの区別のためにX線検査を行うこともあります(日本整形外科学会)。
治療
治療
- 整復:多くは手術をせず、医師が手足を引いたり回したりして関節を元の位置に戻します。痛みが強いため、痛み止めや鎮静、麻酔を使って行うのが一般的で、戻した後にX線で位置を確かめます(MSDマニュアル家庭版)。
- 固定:戻した後は、副木(シーネ)、ギプス、三角巾などで一定期間固定します(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
- 手術:手で戻せない場合や、骨折・靱帯の断裂・血管や神経の損傷を伴う場合には手術が必要になることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- リハビリ:関節のこわばりや筋力の低下を防ぐため、動かす範囲を広げる運動や筋力をつける運動を行います(MSDマニュアル家庭版)(MedlinePlus)。
肘内障は、手で骨の位置を戻す処置で治り、戻った後はふだんどおり腕を使えるようになります(日本整形外科学会)。
日常生活の注意・セルフケア
応急手当はあくまで受診までのつなぎです。医療機関の指示を最優先にしてください。
- 受診までの応急手当:無理に動かさず、間に合わせの添え木、三角巾、枕などで固定します。手足を心臓より高くし、布で包んだ氷で冷やすと、痛みと腫れを和らげるのに役立ちます(MSDマニュアル家庭版)。
- 治療後:指示されたリハビリを続けることが、こわばりや再脱臼の予防につながります(MSDマニュアル家庭版)。
- 小さな子ども:肘内障は手を引っ張られることでくり返すことがあるため、子どもの手を急に強く引っ張らないよう注意します(日本整形外科学会)。
経過と生活
予防
スポーツでは、防具を身につけることが予防に役立つことがあります(MedlinePlus)。関節の動く範囲を保ち、周りの筋肉を鍛える運動は、再脱臼の予防に役立つとされます(MSDマニュアル家庭版)。
経過
多くの脱臼はよく治りますが、治るまでには、けがの種類や場所、年齢などによって数週間から数か月かかります(MSDマニュアル家庭版)。子どもは治りが早く、糖尿病や血の巡りの病気がある人は回復が遅れることがあります。治った後も、こわばりや違和感が残ることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
整形外科で扱うほかの病気
出典
MSDマニュアル家庭版「脱臼の概要」 / MedlinePlus「Dislocations」 / 日本整形外科学会「肘内障」
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。