心筋梗塞の心筋マーカーとして適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
LD₃は主に肺・脾臓・リンパ組織などに多いアイソザイムで、心筋梗塞の心筋マーカーとしては適切ではありません(公式正答1)。心筋梗塞で上昇するLDアイソザイムは心筋に多いLD₁・LD₂です。CK-MB、トロポニンT、ミオシン軽鎖、心臓型脂肪酸結合蛋白〈H-FABP〉はいずれも心筋マーカーとして用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。LD₃は肺・脾臓・リンパ組織などに多いアイソザイムで、心筋梗塞で上昇するのは心筋に多いLD₁・LD₂です。心筋マーカーとして適切ではありません。正しくは:心筋梗塞の診断においては、より心筋特異性の高い酵素やタンパク質が利用されます。選びやすい理由:LDは心筋梗塞後に上昇することが知られているため、心筋マーカーの一つとして誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:LDのアイソザイムであるLD1の上昇が心筋梗塞を示唆することはありますが、これはLD全体としての特異性の低さを補完するものであり、現在では主流ではありません。CKやASTといった他の非特異的酵素と混同しやすいです。
- 2. CK-MBはクレアチンキナーゼのアイソザイムで、心筋に多く含まれるため、心筋梗塞の診断に有用なマーカーです。
- 3. トロポニンTは心筋特異性の高いタンパク質であり、心筋梗塞の診断に最も感度と特異性に優れたマーカーの一つとして広く用いられています。
- 4. ミオシン軽鎖は心筋を構成するタンパク質であり、心筋が損傷すると血中に逸脱するため、心筋梗塞のマーカーとして利用されます。特に初期の段階で上昇が見られます。
- 5. H-FABPは心筋に豊富に存在するタンパク質で、心筋虚血や壊死により早期に血中に放出されるため、心筋梗塞の超早期診断マーカーとして期待されています。
国試ポイント
心筋梗塞の診断に用いられる主要な心筋マーカーとその特異性を理解しているか、また、現在ではあまり用いられない非特異的マーカーを区別できるかが問われています。特に、高感度トロポニンT/Iの重要性が増している中で、旧来のマーカーの位置づけを理解することが重要です。
混同注意
LDはASTやCKなど他の臓器非特異的酵素と混同しやすく、心筋梗塞でこれらの酵素が上昇する事実から、すべてが有用なマーカーであると誤解しやすい。特にLDのアイソザイム(LD1)は心筋特異性があるため、LD全体が特異的であると誤認しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、心筋マーカーの「特異性」「感度」「上昇/ピークの時間経過」の3つの軸で各マーカーを比較検討できるか、そして「心筋梗塞の診断基準」との関連でそれぞれのマーカーがどのような位置づけにあるかを判断する必要があります。
関連知識
心筋梗塞の診断マーカーは、発症からの時間経過によって適切なマーカーが異なります。超早期(発症から数時間以内)にはH-FABPやミオグロビン、早期(数時間〜1日)にはCK-MBやトロポニンT、中期〜後期(1日〜数日)にはトロポニンTなどが有用です。トロポニンT/Iは心筋壊死に最も特異的で、診断基準の必須項目の一つです。