原発性副甲状腺機能亢進症で認められないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
原発性副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されます。PTHは腎臓の1α-水酸化酵素を活性化し、不活性型ビタミンD3(25-OH-D3)を活性型ビタミンD3(1,25-(OH)2D3)へと変換することを促進します。したがって、活性型ビタミンD3の合成は低下するのではなく、むしろ亢進します。この活性型ビタミンD3は、消化管からのカルシウム吸収を促進し、血中カルシウム濃度をさらに上昇させる一因となります。他の選択肢はすべて、原発性副甲状腺機能亢進症で認められる典型的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 原発性副甲状腺機能亢進症では、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌され、骨からのカルシウム放出が促進されます。これにより骨密度が低下し、病的骨折のリスクが高まります。正しくは:病的骨折は原発性副甲状腺機能亢進症で認められる所見である。選びやすい理由:PTHによる骨吸収亢進は、骨折に直結するため、間違いと認識しにくい。混同注意:PTHの作用(骨吸収促進)
- 2. PTHは腎臓でのリン再吸収を抑制し、尿中リン排泄を促進するため、原発性副甲状腺機能亢進症では低リン血症を呈します。正しくは:低リン血症は原発性副甲状腺機能亢進症で認められる所見である。選びやすい理由:リンの代謝異常は症状が分かりにくいため、誤りと思われがちだが、PTHの重要な作用の一つである。混同注意:PTHの作用(腎臓でのリン排泄促進)
- 3. 原発性副甲状腺機能亢進症の最も特徴的な所見の一つであり、PTHの過剰な作用により、骨からのカルシウム放出促進と腎臓でのカルシウム再吸収促進が起こるため、高カルシウム血症を呈します。正しくは:高カルシウム血症は原発性副甲状腺機能亢進症で認められる所見である。選びやすい理由:副甲状腺機能亢進症の中心的な病態生理であり、間違いと判断することは難しい。混同注意:PTHの作用(血中カルシウム濃度上昇)
- 4. PTHは腎臓での重炭酸イオンの再吸収を抑制し、尿中への排泄を促進することで、血中の重炭酸イオン濃度を低下させます。これにより、代謝性アシドーシスを引き起こすことがあります。正しくは:代謝性アシドーシスは原発性副甲状腺機能亢進症で認められる所見である。選びやすい理由:酸塩基平衡の異常とPTHの関連は、他の典型的な症状に比べて知られていない場合があり、誤りと考えやすい。混同注意:PTHの作用(腎臓での重炭酸イオン排泄促進)
- 5. 正解。PTHは腎臓での1α-水酸化酵素の活性を高め、ビタミンD3から活性型ビタミンD3(1,25-(OH)2D3)への合成を促進します。したがって、原発性副甲状腺機能亢進症では、活性型ビタミンD3の合成は『低下せず』、むしろ『亢進』します。正しくは:活性型ビタミンD3の合成は、原発性副甲状腺機能亢進症で『促進』される。選びやすい理由:ビタミンDの代謝とカルシウム・リンの代謝は複雑に絡み合っており、低下するという選択肢に惑わされやすい。特に、高カルシウム血症がビタミンDの合成を抑制するといった一般的な知識と混同しやすい。混同注意:PTHとビタミンDの相互作用、特にPTHが活性型ビタミンD3合成を促進するという点。
国試ポイント
原発性副甲状腺機能亢進症における副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌が、カルシウム、リン、骨、腎臓、そしてビタミンD代謝に与える影響を正確に理解しているかを問う問題です。特に、PTHが活性型ビタミンD3の合成を『促進』するという点が重要です。
混同注意
ビタミンD欠乏症や腎不全など、活性型ビタミンD3合成が低下する他の病態と混同しやすい。また、高カルシウム血症がフィードバックによりPTH分泌を抑制するように、高カルシウム血症が活性型ビタミンD3合成を抑制するという誤解が生じやすい。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、PTHの各標的臓器(骨、腎臓、腸管)における作用を具体的に思い出せるか、特に活性型ビタミンD3の合成に対する影響を正確に理解しているかを確認する。また、二次性副甲状腺機能亢進症との鑑別点にも注意を払う。
関連知識
PTHの主な作用:1. 骨からのカルシウム放出促進(骨吸収促進)、2. 腎臓でのカルシウム再吸収促進、3. 腎臓でのリン排泄促進、4. 腎臓での活性型ビタミンD3合成促進。活性型ビタミンD3の主な作用:1. 腸管からのカルシウム・リン吸収促進、2. 骨代謝への影響。