心筋梗塞発症時に最も早く上昇するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は、心筋梗塞発症後1〜3時間という極めて早い段階で血中に検出され始めるため、超急性期の診断に最も有用なマーカーです。これは、他の主要な心筋マーカーであるCK-MBや心筋トロポニンTよりも早く上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. LDは心筋梗塞発症後、比較的時間をおいて上昇し、数日間にわたり高値を示すため、最も早く上昇するマーカーではありません。発症から約12〜24時間後に上昇し始め、ピークは3〜6日後です。正しくは:LDは心筋梗塞の経過後期に有用なマーカーであり、早期診断には不向きです。選びやすい理由:LDは心筋梗塞の診断マーカーの一つとして知られているため、選択肢として考慮されやすいですが、早期上昇性では劣ります。混同注意:CKやCK-MBなどの早期マーカーと混同しやすいですが、上昇開始時期が異なります。
- 2. CK-MBは心筋梗塞の早期診断に非常に有用なマーカーですが、H-FABPや心筋トロポニンTよりは上昇開始がやや遅れます。一般的に発症から約3〜6時間で上昇を開始し、12〜24時間でピークに達します。正しくは:CK-MBはH-FABPよりも上昇開始が遅いため、最も早いマーカーではありません。選びやすい理由:CK-MBは心筋特異性が高く、早期診断マーカーとして広く認知されているため、誤って選ばれやすいです。混同注意:総CKや他の心筋逸脱酵素と混同しやすいですが、CK-MBはその中でも心筋特異性が高いです。
- 3. 心筋トロポニンTは心筋特異性が非常に高く、急性心筋梗塞の診断に不可欠なマーカーですが、H-FABPに比べると上昇開始が遅いです。発症から約3〜4時間で上昇し始め、12〜48時間でピークに達します。正しくは:心筋トロポニンTはH-FABPよりも上昇開始が遅く、最も早期のマーカーではありません。選びやすい理由:心筋トロポニンTは心筋壊死の診断基準として非常に重要であり、その特異性の高さから早期マーカーとしても期待されがちですが、上昇開始時間ではH-FABPに劣ります。混同注意:他の心筋マーカー、特にCK-MBと上昇開始時間が似ているため混同しやすいですが、トロポニンはより長く高値を維持します。
- 4. 心筋ミオシン軽鎖は心筋壊死を反映するマーカーですが、その血中への逸脱は発症からやや時間が経ってからであり、最も早く上昇するマーカーではありません。通常、発症後6〜12時間以降に上昇します。正しくは:心筋ミオシン軽鎖は、より早期に上昇する他のマーカーと比較して、最も早期の診断には不向きです。選びやすい理由:心筋構成蛋白であるため、心筋梗塞との関連性は理解しやすいですが、上昇開始のタイミングを誤認しやすいです。混同注意:トロポニンなどの他の心筋構造タンパク質と混同しやすいですが、逸脱のタイミングが異なります。
- 5. 正解。心臓型脂肪酸結合蛋白 (H-FABP) は、心筋梗塞発症後、最も早く血中に逸脱するマーカーの一つです。心筋細胞に豊富に存在し、細胞壊死後わずか1〜3時間で血中に検出され始め、6〜8時間でピークに達するため、急性心筋梗塞の超早期診断に非常に有用です。正しくは:この選択肢が正しいです。選びやすい理由:他の心筋マーカーも早期診断に有用であるため、H-FABPが最も早いことを知らないと選びにくいかもしれません。混同注意:他の早期心筋マーカー、特にCK-MBやトロポニンTと、どれが最も早く上昇するかという点で混同しやすいです。
国試ポイント
急性心筋梗塞における各種マーカーの上昇動態、特に『最も早く上昇する』という早期診断の観点から、H-FABPの特性を理解しているかを問う問題です。各マーカーの心筋特異性だけでなく、血中への出現時期を正確に覚えているかが重要になります。
混同注意
CK-MBや心筋トロポニンTは、心筋梗塞の早期診断マーカーとして広く知られているため、これらが最も早いと誤解されがちですが、上昇開始時間ではH-FABPが先行します。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出たら、各心筋マーカーの『上昇開始時間』と『心筋特異性』を比較検討し、特に超早期診断に有効なマーカー(H-FABP, ミオグロビン)と、確定診断に有効なマーカー(トロポニン)の使い分けを理解しているかを確認します。
関連知識
心筋梗塞のマーカーには、H-FABPの他に、ミオグロビン(H-FABPとほぼ同等の超早期上昇を示すが心筋特異性が低い)、CK-MB、心筋トロポニンT/I、LDアイソザイム(LD1/LD2比)などがあります。それぞれのマーカーには、上昇開始時間、ピーク到達時間、高値持続時間、心筋特異性に違いがあり、これらを理解することが心筋梗塞の診断・経過観察に不可欠です。近年では高感度トロポニン測定が早期診断の主流となりつつあります。