陳旧性心筋梗塞のH-E染色標本(別冊No. 8)を別に示す。病変の広がりを確認するために最も適している染色法はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
陳旧性心筋梗塞では、壊死した心筋組織が肉芽組織を経て線維組織に置換されます。この線維化の範囲や程度を明確に確認するには、結合組織(コラーゲン線維)と心筋組織を明確に染め分けることができる染色法が必須です。アザン染色は、コラーゲン線維を青色に、細胞質や筋線維を赤色に染め分けるため、心筋梗塞の陳旧性病変における線維化の広がりを評価するのに最も適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. アルシアンブルー染色は、酸性ムコ多糖を染めるために用いられます。心筋梗塞後の線維化組織の評価には適していません。正しくは:心筋梗塞後の線維化組織の評価には、結合組織を特異的に染め分ける染色法が適しています。選びやすい理由:様々な組織染色法がある中で、結合組織の染色法と混同しやすいかもしれません。混同注意:PAS染色(中性ムコ多糖)、ムチカルミン染色(酸性ムコ多糖、粘液)など、他の糖質染色と混同しやすいです。
- 2. 正解。アザン染色は、結合組織(コラーゲン線維)を青色に、筋肉組織を赤色に染め分けるため、陳旧性心筋梗塞における壊死した心筋が線維組織に置き換わった病変の範囲や広がりを明確に視覚化するのに最も適しています。
- 3. マッソンフォンタナ染色は、メラニン顆粒やアルジェンタフィン顆粒などを特異的に検出するための染色法です。心筋梗塞の線維化組織の評価には使用されません。正しくは:心筋梗塞後の線維化組織の評価には、結合組織を特異的に染め分ける染色法が適しています。選びやすい理由:特殊染色法の一つとして認識していても、その用途を正確に覚えていないと選びやすいかもしれません。混同注意:フォンタナ・マッソン染色(メラニン)、トルイジンブルー染色(肥満細胞、異染性)など、他の特殊染色法と混同しやすいです。
- 4. ムチカルミン染色は、酸性ムコ多糖や上皮性粘液を検出する染色法です。心筋梗塞後の線維化組織の評価には不適切です。正しくは:心筋梗塞後の線維化組織の評価には、結合組織を特異的に染め分ける染色法が適しています。選びやすい理由:特殊染色の一つとして、結合組織の染色と誤認する可能性があります。混同注意:アルシアンブルー染色(酸性ムコ多糖)、PAS染色(中性ムコ多糖)など、他の糖質染色と混同しやすいです。
- 5. スーダンⅢ染色は、脂肪を検出するための染色法です。心筋梗塞における線維化の評価には用いられません。正しくは:心筋梗塞後の線維化組織の評価には、結合組織を特異的に染め分ける染色法が適しています。選びやすい理由:変性病変全般の評価に使われる特殊染色だと誤解する可能性があります。混同注意:オイルレッドO染色(脂肪)、ズダンⅣ染色(脂肪)など、他の脂肪染色と混同しやすいです。
国試ポイント
病理組織学の基本染色であるH-E染色に加え、特定の組織成分(結合組織、粘液、脂肪、メラニンなど)を検出するための特殊染色法の原理と、それぞれの染色法がどのような病態や組織変化の評価に用いられるかを理解しているかが問われます。特に、心筋梗塞後の線維化の評価にどの染色法が有効かを知っていることが重要です。
混同注意
結合組織染色にはアザン染色の他にマッソントリクローム染色などがありますが、選択肢の中ではアザン染色が最も適切です。他の選択肢は、酸性ムコ多糖、メラニン、脂肪などの検出に用いられるため、問われている病変の評価には不適切です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず病変がどのような組織変化を伴っているか(例:線維化、粘液変性、脂肪沈着など)を把握し、その変化を最も明確に示せる特殊染色法はどれかを判断することが重要です。
関連知識
・H-E染色:組織の一般的な形態観察に用いる。核を青紫色、細胞質や結合組織を赤色に染める。 ・マッソントリクローム染色:結合組織(コラーゲン)を青色、筋線維を赤色に染め分ける。アザン染色と同様に線維化の評価に用いられる。 ・ワイル染色(エラスチカ・ワンギーソン染色):弾性線維を検出する。 ・PAS染色:グリコーゲン、中性ムコ多糖、基底膜などを検出する。