髄膜炎が疑われる患者の髄液を5%ヒツジ血液寒天培地(左)とチョコレート寒天培地(右)の分画培地で35℃、24時間、炭酸ガス培養した写真(別冊No. 10)を別に示す。髄液のGram染色では、多数の好中球と共にGram陽性球菌が認められた。分離菌はBTB乳糖寒天培地に発育せず、カタラーゼ試験陰性、オプトヒンに感性を示した。推定される菌種はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
グラム陽性球菌で、5%ヒツジ血液寒天培地でα溶血(緑色を呈する溶血)を示し、カタラーゼ陰性、オプトヒン感性という特徴は、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に特有の性状である。問題文と画像所見が全て一致する。
選択肢ごとの解説
- 1. Listeria monocytogenesはグラム陽性桿菌であり、問題文のグラム陽性球菌という所見と矛盾する。正しくは:グラム陽性桿菌である。選びやすい理由:新生児髄膜炎の原因菌の一つであるため、髄膜炎の文脈で選択肢に入りやすい。混同注意:髄膜炎の原因菌として。しかし、グラム染色像が異なる。
- 2. Neisseria meningitidisはグラム陰性球菌であり、問題文のグラム陽性球菌という所見と矛盾する。正しくは:グラム陰性球菌である。選びやすい理由:髄膜炎の主要な原因菌であるため、症状から連想しやすい。混同注意:髄膜炎の原因菌として。しかし、グラム染色像が異なる。
- 3. Staphylococcus aureusはカタラーゼ試験陽性であるのに対し、分離菌はカタラーゼ試験陰性とされている。また、血液寒天培地でβ溶血を示すことが多い。正しくは:カタラーゼ陽性であり、血液寒天培地ではβ溶血を示す。選びやすい理由:グラム陽性球菌であり、皮膚感染症や様々な感染症の原因となるため、広く知られている菌である。混同注意:他のグラム陽性球菌、特に連鎖球菌との生化学的性状の違い。
- 4. Streptococcus agalactiae(B群溶血性レンサ球菌)は、β溶血を示すことが多く、オプトヒン耐性である。画像所見のα溶血やオプトヒン感性とは異なる。正しくは:通常β溶血性であり、オプトヒン耐性である。選びやすい理由:新生児髄膜炎の主要な原因菌であり、グラム陽性球菌、カタラーゼ陰性である点は共通する。混同注意:他の連鎖球菌、特に肺炎球菌との溶血性や薬剤感受性の違い。
- 5. 正解。グラム陽性球菌、カタラーゼ陰性、5%ヒツジ血液寒天培地でのα溶血(画像左の緑色溶血)、オプトヒン感性という全ての所見が肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)の特徴と一致する。また、BTB乳糖寒天培地で発育しないという所見も肺炎球菌の性状と一致する。選びやすい理由:特になし。全ての所見が合致しているため。混同注意:Viridans streptococci(オプトヒン耐性)
国試ポイント
肺炎球菌の同定に必要な培養性状と生化学的性状を正確に理解しているか。
混同注意
他の溶血性レンサ球菌との鑑別。特に、β溶血を示すA群溶血性レンサ球菌やB群溶血性レンサ球菌、およびα溶血を示すがオプトヒン耐性のViridans streptococciとの鑑別。
次に同じ論点が出たら
グラム染色でグラム陽性球菌と確認された場合、その後のカタラーゼ試験、溶血性、オプトヒン感性などの生化学的性状を確認し、総合的に判断する。
関連知識
肺炎球菌は莢膜を持ち、小児や高齢者の肺炎、髄膜炎、中耳炎などの原因菌となる。ワクチン接種が重要である。髄膜炎の起因菌としては、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型、髄膜炎菌が三大起因菌として挙げられる。