慢性腎不全で上昇するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
慢性腎不全では、腎臓の濾過機能や排泄機能が低下します。尿酸は主に腎臓から尿中に排泄される老廃物であるため、腎機能が障害されると体内に蓄積し、血清尿酸値が上昇します。他の選択肢の項目は、慢性腎不全の進行により低下するのが特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。腎臓は尿酸の主要な排泄経路です。慢性腎不全では腎機能が低下するため、尿酸の排泄能力が損なわれ、結果として血清尿酸値が上昇します。
- 2. 慢性腎不全では、タンパク尿によるタンパク質の喪失や、食欲不振・栄養不良などにより血清総蛋白はむしろ低下傾向を示すか、正常範囲内にとどまることが一般的であり、上昇することはありません。正しくは:「低下傾向を示す」または「変化しない」選びやすい理由:腎臓病と聞くとタンパク質(タンパク尿など)が関連するため、何らかの異常があると考えるかもしれませんが、血清総蛋白が上昇することは通常ありません。混同注意:ネフローゼ症候群ではタンパク尿により血清アルブミンが低下しますが、慢性腎不全自体が総蛋白を上昇させるわけではありません。
- 3. 慢性腎不全は、糸球体濾過量(GFR)が持続的に低下することによって診断される疾患です。そのため、GFRは上昇するのではなく、明らかに低下します。正しくは:「低下する」選びやすい理由:腎臓の働きを示す最も重要な指標であり、他の老廃物の上昇と混同して、機能が「上昇する」と誤解する可能性があります。混同注意:血清クレアチニンや尿素窒素などの老廃物濃度が上昇するのと、腎機能の指標であるGFRの動態とを混同することがあります。
- 4. エリスロポエチンは赤血球の産生を刺激するホルモンで、主に腎臓で産生されます。慢性腎不全では腎臓の機能が低下するため、エリスロポエチンの産生能力が減退し、血清エリスロポエチン値は低下します。これが腎性貧血の主な原因です。正しくは:「低下する」選びやすい理由:貧血との関連から、生体反応としてエリスロポエチンが上昇するのではないかと考えやすいですが、腎臓自体の産生能力が問題となります。混同注意:貧血があると一般的にエリスロポエチンは上昇して造血を促しますが、腎性貧血の場合は腎臓がその産生能力を失っているため、この反応が起こりません。
- 5. ビタミンDの最終的な活性化(1,25-ジヒドロキシビタミンDへの変換)は腎臓で行われます。慢性腎不全ではこの活性化が障害されるため、血清活性型ビタミンDの産生が減少し、その値は低下します。正しくは:「低下する」選びやすい理由:腎不全では腎性骨異栄養症などの骨代謝異常が起こるため、関連する物質として選択肢になりやすいです。しかし、その根本原因は活性型ビタミンDの不足です。混同注意:血清リンや副甲状腺ホルモン(PTH)は慢性腎不全で上昇しますが、活性型ビタミンDは低下します。
国試ポイント
慢性腎不全において、様々な生体物質の血中濃度がどのように変動するか(上昇するか、低下するか)を正確に理解しているかを確認する問題です。特に腎臓の多様な機能(排泄、内分泌、代謝など)と、それらが障害された際の影響を把握することが求められます。
混同注意
腎不全で異常値を示す項目は多岐にわたるため、どれが上昇し、どれが低下するのかを混同しやすいです。例えば、GFR、エリスロポエチン、活性型ビタミンD、血清カルシウムなどは「低下」し、尿素窒素、クレアチニン、カリウム、リン、副甲状腺ホルモン、尿酸などは「上昇」するという明確な区別を記憶しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が問われた場合、慢性腎不全で「低下する」項目(例:GFR、クレアチニンクリアランス、血清エリスロポエチン、血清活性型ビタミンD、血清カルシウム)と「上昇する」項目(例:血清尿素窒素、血清クレアチニン、血清カリウム、血清リン、血清副甲状腺ホルモン、血清尿酸)を正確に識別できるかを確認します。
関連知識
慢性腎不全の病態生理としては、高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症といった電解質異常、代謝性アシドーシスなどの酸塩基平衡異常、腎性貧血や腎性骨異栄養症といった内分泌・代謝異常、そして尿毒症による全身症状などが挙げられます。