橋本病でみられる自己抗体はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
橋本病(慢性甲状腺炎)は自己免疫性疾患であり、甲状腺組織を攻撃する自己抗体が産生されます。主要な自己抗体として、甲状腺ホルモンの前駆体であるサイログロブリンに対する抗サイログロブリン抗体と、甲状腺ホルモン合成に関わる酵素である甲状腺ペルオキシダーゼに対する抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体が挙げられます。これらの抗体の検出は、橋本病の診断に非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗CCP抗体は、関節リウマチの診断マーカーとして用いられます。橋本病とは関連がありません。正しくは:この選択肢は関節リウマチでみられる自己抗体である。選びやすい理由:自己免疫疾患の検査で抗体という言葉を聞くため、なんとなく正しいと感じるかもしれない。混同注意:他の自己免疫疾患、特にリウマチ性疾患と混同しやすい。
- 2. 抗基底膜抗体は、主に急速進行性糸球体腎炎(グッドパスチャー症候群)で見られる自己抗体です。橋本病とは異なります。正しくは:この選択肢は急速進行性糸球体腎炎でみられる自己抗体である。選びやすい理由:臓器特異的な自己抗体であるため、何か特定の疾患を想起させるが、橋本病とは結びつかない。混同注意:腎臓疾患や肺出血を伴う自己免疫疾患と混同しやすい。
- 3. 抗リン脂質抗体は、抗リン脂質抗体症候群の診断マーカーであり、血栓症や習慣流産の原因となります。橋本病の診断には関係ありません。正しくは:この選択肢は抗リン脂質抗体症候群でみられる自己抗体である。選びやすい理由:全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に伴うことがあるため、自己免疫疾患全般をイメージしてしまいがち。混同注意:抗リン脂質抗体症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)と混同しやすい。
- 4. 抗ミトコンドリア抗体は、主に原発性胆汁性胆管炎(PBC)で検出される自己抗体です。橋本病とは関連しません。正しくは:この選択肢は原発性胆汁性胆管炎でみられる自己抗体である。選びやすい理由:これも臓器特異的な自己抗体であり、ある種の自己免疫疾患を連想させるため、迷いやすい。混同注意:原発性胆汁性胆管炎(PBC)と混同しやすい。
- 5. 正解。橋本病(慢性甲状腺炎)では、甲状腺細胞を標的とする自己抗体が産生されます。抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体は、橋本病の診断において重要なマーカーです。選びやすい理由:甲状腺疾患に特異的な抗体であるため、知識があれば確実に選択できる。混同注意:抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体と合わせて、橋本病の代表的な自己抗体として記憶しておく必要がある。
国試ポイント
この問題は、主要な自己免疫疾患とそれに関連する特異的な自己抗体の組み合わせを理解しているかを問うものです。特に、疾患名と自己抗体の名前を正確に結びつける知識が求められます。国試では、特定の疾患で高値となる検査項目、診断マーカー、治療薬などが頻繁に出題されます。
混同注意
自己免疫疾患は多数存在し、それぞれに特異的な自己抗体があるため、それぞれの疾患と自己抗体の組み合わせを正確に覚えることが重要です。特に、臓器特異的自己免疫疾患と全身性自己免疫疾患の違いや、それぞれの代表的な抗体を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、橋本病以外の自己免疫疾患(例:バセドウ病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、原発性胆汁性胆管炎など)とそれぞれの代表的な自己抗体の組み合わせについて問われる可能性が高いです。また、抗体の臨床的意義や、高値を示す他の検査値についても確認が必要です。
関連知識
橋本病の診断には、これらの自己抗体の他に、血中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)や甲状腺ホルモン(FT3, FT4)の測定も不可欠です。病態として甲状腺機能低下症を呈することが多いですが、初期や経過中に一過性の甲状腺機能亢進症(橋本病の一過性甲状腺機能亢進症など)が見られることもあります。また、他の自己免疫疾患(例:自己免疫性胃炎、悪性貧血、1型糖尿病など)を合併することもあります。