急性心筋梗塞の診断に有用なマーカーはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
急性心筋梗塞の診断では、心筋細胞の壊死を直接反映するマーカーが選択されます。H-FABPは心筋損傷後、血中へ早期に放出されるため超急性期の診断に有用であり、トロポニンTは心筋特異性が非常に高く、感度・特異度ともに優れた標準的なマーカーです。ADAは結核性胸膜炎、BNPは心不全、プロカルシトニンは細菌感染症のマーカーであり、急性心筋梗塞の直接的な診断には適しません。
選択肢ごとの解説
- 1. アデノシンデアミナーゼ(ADA)は、主に結核性胸膜炎や他のリンパ球増多を伴う疾患の診断に用いられます。心筋梗塞の診断には関連しません。正しくは:ADAは結核性胸膜炎の診断マーカーとして知られている。選びやすい理由:酵素名であるため、何らかの疾患マーカーであることは認識しやすいが、疾患特異性が急性心筋梗塞とは異なる点を見落とすと選択肢として残ってしまう可能性がある。混同注意:他の臓器逸脱酵素(AST, ALT, LDHなど)と混同し、心疾患関連酵素と思い込む可能性がある。
- 2. 正解。心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は、心筋の壊死によって早期に血中に放出されるマーカーであり、急性心筋梗塞の超急性期診断に非常に有用です。発症後2〜3時間で上昇し始め、半減期が短いため、再梗塞の診断にも使われます。選びやすい理由:他の心筋マーカーに比べると知名度が低いと感じる学生もいるかもしれないが、その早期上昇特性を理解していれば正答として選びやすい。
- 3. 正解。トロポニンTは心筋特異性が高く、急性心筋梗塞の診断において最も感度と特異度に優れた標準的なバイオマーカーの一つです。心筋障害の指標として広く用いられ、発症後数時間から上昇し、長期にわたり高値が持続します。選びやすい理由:心筋マーカーとしての認識が広く、正答肢として選択しやすい。
- 4. 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は、主に心不全の診断や重症度評価に用いられるマーカーです。急性心筋梗塞によって心不全を合併することはありますが、BNP自体は心筋壊死の直接的なマーカーではありません。正しくは:BNPは心不全の診断および重症度評価マーカーとして知られている。選びやすい理由:BNPが心臓に関連するマーカーであるため、心筋梗塞と関連があると考えやすい。しかし、BNPは心不全のマーカーであり、心筋梗塞の「診断」マーカー(心筋壊死を直接示す)とは異なるため、この区別が重要となる。混同注意:心筋梗塞が心不全の原因となることがあるため、関連するが直接的ではないマーカーと混同しやすい。
- 5. プロカルシトニンは、細菌感染症や敗血症の診断および重症度評価に用いられるマーカーです。急性心筋梗塞とは直接的な関連はありません。正しくは:プロカルシトニンは細菌感染症や敗血症のマーカーとして知られている。選びやすい理由:炎症や感染に関連するマーカーであるため、何らかの急性期疾患と結びつけやすいが、その特異性を見誤ると選択してしまう可能性がある。混同注意:他の炎症マーカー(CRPなど)と混同し、心筋梗塞のような急性炎症を伴う疾患のマーカーとして誤って捉える可能性がある。
国試ポイント
急性心筋梗塞の診断に用いられる主要なバイオマーカーとその特性を正確に理解しているかを問う問題です。特に、早期診断に有用なマーカーと、診断のゴールドスタンダードとなるマーカーの両方を把握していることが重要です。また、他の疾患で用いられるマーカーとの識別能力も問われます。
混同注意
心臓に関連する他のマーカー(BNPなど)が選択肢に含まれることで、急性心筋梗塞の『診断』に特異的なマーカーと、心不全や心筋虚血など他の心疾患病態を反映するマーカーとの区別が曖昧になりやすい。また、心臓以外の疾患のマーカーも混在しており、各マーカーの特異的な用途を正確に覚えていないと誤答に繋がりやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、急性期(超急性期から数時間以内)の診断に有用なマーカーと、診断確定および予後評価に有用なマーカーの両方を確認すると良いでしょう。また、各マーカーの特異性と他の疾患との鑑別点を特に意識して判断してください。
関連知識
CPK-MB、ミオグロビン、LDHアイソザイム(LDH1、LDH2比)、AST、トロポニンI、高感度トロポニンT/I。これら各マーカーの血中濃度推移(上昇開始時間、ピーク時間、消失時間)、感度、特異性、臨床的意義についても理解しておくことが重要です。