心不全の重症度評価に用いられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、心臓の拡張期容量負荷や圧負荷が増大すると心室から分泌が促進されるホルモンで、心不全の病態生理に深く関与しています。その血中濃度は心不全の重症度と良い相関を示し、診断、重症度評価、治療効果の判定、予後予測に広く活用されています。設問では「心不全の重症度評価」が問われており、BNPが最も適切な選択肢です。
選択肢ごとの解説
- 1. ASTは主に肝機能障害や筋肉、心筋の損傷を示す酵素ですが、心不全の重症度を直接評価する主要なマーカーではありません。正しくは:ASTは肝臓や筋肉、心臓に多く存在する酵素で、肝炎や心筋梗塞などで上昇しますが、心不全の重症度評価には限定的です。選びやすい理由:心臓にも存在する酵素であるため、心疾患と関連があると誤解する可能性があります。混同注意:心筋梗塞の診断マーカーであるCK-MBやトロポニンと混同する可能性があります。
- 2. 正解。BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、心臓への負荷が増大した際に心室から分泌されるホルモンであり、心不全の重症度評価や予後予測に広く用いられます。心不全の病態と密接に関連しており、その濃度は心不全の進行度合いを反映します。
- 3. CK(クレアチンキナーゼ)は主に骨格筋や心筋に存在する酵素で、心筋梗塞などによる心筋細胞の壊死を示すマーカーですが、心不全の重症度を評価する目的では使用されません。正しくは:CKは心筋梗塞などの急性期マーカーですが、心不全の慢性的な重症度評価には不向きです。選びやすい理由:心筋疾患のマーカーとしてよく知られているため、心不全にも関係があると考えるかもしれません。混同注意:心筋梗塞の急性期診断に用いるCK-MBと混同する可能性があります。
- 4. LD(乳酸脱水素酵素)は多くの臓器に存在する酵素で、細胞の損傷を示す非特異的なマーカーです。心筋梗塞などの急性期に上昇することもありますが、心不全の重症度評価に特化した指標ではありません。正しくは:LDは多くの組織に分布するため特異性が低く、心不全の重症度評価には直接用いられません。選びやすい理由:昔は心筋梗塞の診断にも使われたため、心臓疾患全般のマーカーだと誤解する可能性があります。混同注意:他の心筋逸脱酵素(AST, CKなど)と混同する可能性があります。
- 5. トロポニン(心筋トロポニンTやI)は心筋特異性の高いタンパク質で、心筋梗塞などの心筋細胞壊死の診断に非常に有用ですが、心不全の重症度を評価するための主要なマーカーではありません。心不全患者で上昇する場合もありますが、それは心筋の損傷を示唆するためであり、重症度そのものではありません。正しくは:トロポニンは心筋梗塞の診断に用いられる主要なマーカーであり、心不全の重症度評価には適していません。選びやすい理由:心臓に関連する非常に重要なマーカーであるため、心不全にも使われると誤解しやすいです。混同注意:BNPが心臓への負荷を反映するのに対し、トロポニンは心筋細胞の壊死を反映する点で異なります。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要なバイオマーカーとその臨床的意義・適用疾患が頻繁に出題されます。特に心疾患関連では、心筋梗塞と心不全のマーカーの違いが重要です。各マーカーが何を測定し、どのような病態を反映するのかを正確に理解しておく必要があります。
混同注意
心筋梗塞の診断マーカー(CK, CK-MB, トロポニン)と心不全の重症度評価マーカー(BNP, NT-proBNP)を混同しやすいです。また、肝機能や筋肉損傷の一般的な酵素(AST, LD)が心臓にも存在するため、心疾患全般のマーカーと誤解することもあります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、心不全の「診断」と「重症度評価」の両方に関わるマーカー、または心筋梗塞の「診断」に特化したマーカー、あるいはその他の非特異的な酵素など、より詳細な臨床的適用について問われる可能性があります。各マーカーの生成部位、半減期、特異性についても確認が必要です。
関連知識
BNPのほか、NT-proBNPも心不全のマーカーとして使用されます。これらは心臓への負荷によって分泌が促進され、心不全患者で上昇します。NYHA分類やFramingham基準などの臨床分類と組み合わせて、心不全の総合的な評価が行われます。