糖尿病性腎症の早期発見に有用な尿検査項目はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
糖尿病性腎症は、糖尿病の主要な合併症の一つで、腎臓の糸球体障害によって進行します。その早期段階では、腎臓のフィルター機能がわずかに障害され、血液中のアルブミンが微量ながら尿中に漏れ出す「微量アルブミン尿」が認められます。この微量アルブミン尿は、腎症の進行を予測する上で非常に重要な指標であり、早期発見のために定期的な尿中アルブミン測定が行われます。
選択肢ごとの解説
- 1. ケトン体は主に糖尿病のコントロール不良(特にインスリン不足による脂肪分解亢進)や飢餓状態を示すマーカーであり、腎症の早期発見には直接的ではありません。正しくは:糖尿病性腎症の早期発見には、尿中アルブミンが重要です。選びやすい理由:糖尿病の合併症としてケトアシドーシスがあるので、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:糖尿病性ケトアシドーシスとの関連性から、腎症とも関連すると誤解しやすいです。しかし、ケトン体は急性期の代謝異常を示し、腎症は慢性的な血管合併症です。
- 2. 正解。糖尿病性腎症の早期段階では、腎臓の糸球体濾過機能が障害され、微量なアルブミンが尿中に漏れ出す『微量アルブミン尿』が認められます。これは腎症の最も早期で重要な指標です。
- 3. 尿中ヘモグロビン(潜血)は、尿路結石、膀胱炎、腫瘍、糸球体腎炎など、血尿を伴う疾患の指標ですが、糖尿病性腎症の早期発見に特異的な項目ではありません。正しくは:糖尿病性腎症の早期発見には、尿中アルブミンが重要です。選びやすい理由:腎疾患全般のスクリーニング項目として知られているため、腎症と聞くと選択肢として考慮しやすいかもしれません。混同注意:糸球体腎炎などによる血尿と、糖尿病性腎症による蛋白尿の区別がついていないと混同する可能性があります。
- 4. ウロビリノゲンは主に肝疾患や溶血性疾患の指標となる胆汁色素の代謝産物であり、腎臓病の早期発見とは直接関係ありません。正しくは:糖尿病性腎症の早期発見には、尿中アルブミンが重要です。選びやすい理由:肝機能との関連性が高いですが、一般的な尿検査項目の一つであるため、知識の不足から選んでしまう可能性があります。混同注意:肝機能検査の項目と腎機能検査の項目が混同されている可能性があります。
- 5. 尿中トランスフェリンも蛋白尿の一種であり、腎臓病の指標となり得ますが、糖尿病性腎症の早期発見においては、アルブミンがより特異的かつ一般的に用いられるマーカーです。アルブミンよりも分子量が大きいため、腎障害が進行してから検出されることが多いです。正しくは:尿中トランスフェリンも腎障害の指標にはなりますが、糖尿病性腎症の早期段階では微量アルブミンが最も早期に検出されます。選びやすい理由:アルブミンと同様にタンパク質であり、腎臓のフィルター機能が障害されると漏出するため、正しい選択肢のように見えるかもしれません。混同注意:様々な種類の蛋白尿の中で、どのタンパク質が最も早期の指標となるかの理解が不足していると混同しやすいです。
国試ポイント
糖尿病性腎症の早期発見における重要なマーカーとその臨床的意義を理解しているか問う問題です。他の尿検査項目との違い、特に腎臓病の進行度に応じた適切な検査項目の選択がポイントとなります。
混同注意
他の蛋白尿の種類(トランスフェリンなど)や、一般的な尿検査項目(ケトン体、ヘモグロビンなど)と、糖尿病性腎症の早期発見に特化した指標である尿中アルブミンとを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出た場合、早期発見の指標であることに加えて、進行期腎症の指標や、他の腎疾患のマーカーとの違いも問われる可能性があります。また、糖尿病の他の合併症(網膜症、神経障害など)の検査項目についても関連付けて問われることがあります。
関連知識
微量アルブミン尿の定義(30〜300mg/日または30〜300μg/mgCr)、糖尿病性腎症の病期分類、腎機能検査としてのeGFRや血清クレアチニンとの関連、および治療介入の重要性。