急性心筋梗塞発症時に血中濃度が上昇しないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
アルカリホスファターゼ(ALP)は急性心筋梗塞の診断マーカーではなく、心筋損傷によって血中濃度が上昇することはありません。CK-MB、LD、心筋トロポニンT、H-FABPはいずれも急性心筋梗塞の発症に伴い血中濃度が上昇する心筋逸脱酵素・蛋白であり、診断に用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。急性心筋梗塞において、アルカリホスファターゼ(ALP)は心筋の損傷と直接関連して血中濃度が上昇することはありません。ALPは主に肝臓、骨、腎臓、胎盤などに多く存在し、胆道系疾患や骨疾患などで上昇する酵素です。
- 2. CK-MBは心筋に特異性が高く、急性心筋梗塞の早期診断マーカーとして広く用いられます。発症後数時間で上昇し始め、12〜24時間でピークに達します。正しくは:急性心筋梗塞発症時に血中濃度が上昇する代表的なマーカーです。選びやすい理由:急性心筋梗塞の最も代表的な診断マーカーの一つであるため、知識があるほど「上昇しない」という選択肢ではないと判断しやすいです。混同注意:クレアチンキナーゼ(CK)の総活性と、心筋に特異的なアイソザイムであるCK-MBの診断的意義を混同することがあります。
- 3. LDは心筋梗塞の診断マーカーの一つですが、他の臓器(肝臓、赤血球、骨格筋など)にも分布するため特異性は高くありません。発症後24〜48時間で上昇し始め、ピークは3〜6日後と遅く、長期的な経過観察に用いられます。正しくは:急性心筋梗塞発症時に血中濃度が上昇するマーカーであり、特に遅れて上昇し長期にわたって高値を示す特徴があります。選びやすい理由:上昇開始が比較的遅いため、「早期には上昇しない」という点で誤解を招く可能性はありますが、最終的には血中濃度は上昇します。混同注意:LDアイソザイムのLD1が心筋に多く含まれ、心筋障害時に上昇することと、総LDの特異度の低さを混同することがあります。
- 4. 心筋トロポニンTは心筋に極めて特異性の高いマーカーで、急性心筋梗塞の診断において最も重要な指標の一つです。発症後3〜6時間で上昇し始め、数日にわたり高値を維持します。正しくは:急性心筋梗塞発症時に血中濃度が上昇する、心筋損傷の非常に特異的なマーカーです。選びやすい理由:その特異性と鋭敏さから、心筋梗塞診断における重要性が非常に高いため、「上昇しない」という選択肢にはなりにくいと判断できます。混同注意:トロポニンにはI、T、Cの3種類がありますが、心筋トロポニンIとTが心筋損傷の診断に用いられます。
- 5. H-FABPは心筋に豊富に存在する蛋白で、急性心筋梗塞発症後、非常に早期(1〜3時間)に血中濃度が上昇する初期マーカーとして注目されています。正しくは:急性心筋梗塞発症時に血中濃度が非常に早期に上昇するマーカーです。選びやすい理由:比較的新しいマーカーであるため、知識が曖昧な場合に判断に迷う可能性がありますが、その役割は「早期上昇マーカー」です。混同注意:同じく早期マーカーであるミオグロビンとの比較や、それぞれの特異性の違いを混同することがあります。
国試ポイント
急性心筋梗塞の診断に用いられる主要な血液マーカーについて、それぞれの特徴(特異性、出現時間、ピーク時間、消失時間)を正確に理解しているかが問われます。特に、「上昇しないもの」を選ぶ形式の問題では、各マーカーの基本的な生理的役割と病態との関連性を把握しておくことが重要です。
混同注意
心筋逸脱酵素・蛋白の各々の上昇開始時間、ピーク時間、特異性を混同しやすいです。また、心筋以外の臓器障害で上昇する酵素と心筋特異性の高い酵素の区別も重要です。例えば、LDは心筋梗害でも上昇しますが、肝疾患や溶血でも上昇するため特異性が低いです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、各心筋マーカーの動態曲線(時間経過と血中濃度の変化)を詳細に頭に入れ、どのマーカーが診断のどの時期に最も有用であるかを判断できるよう復習しておくことが重要です。また、非心臓性疾患で上昇する検査項目についても確認しておきましょう。
関連知識
心筋マーカーには、超早期に上昇するミオグロビンやH-FABP、早期に上昇し特異性の高いCK-MBや心筋トロポニン(T, I)、遅れて上昇するLD、そして長期にわたって高値を維持する心筋トロポニンなどがあります。これらのマーカーの組み合わせにより、心筋梗塞の診断、発症時間推定、再梗塞の診断、予後予測が行われます。