アメーバ赤痢が感染した大腸組織の染色標本(別冊No. 12)を別に示す。用いられている染色法はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
アメーバ赤痢の病原体である赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)はグリコーゲンを豊富に貯蔵しており、PAS反応によって赤紫色に染め出される特徴があります。画像では、大腸粘膜下層に多数の赤紫色に染まったアメーバ原虫が確認でき、これはPAS反応の典型的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. H-E染色では細胞核は青紫、細胞質は赤色に染まる汎用染色法であり、アメーバは通常淡い好塩基性を示すため、画像のような鮮やかな赤紫色には染まりません。正しくは:H-E染色では細胞核は青紫、細胞質は赤色に染まる。アメーバ原虫は淡く好塩基性に染まる。選びやすい理由:最も一般的な染色法であるため、無意識に選択しやすい。混同注意:H-E染色は組織診断の基本であるため、他の特殊染色との区別が曖昧だと間違えやすい。
- 2. 正解。赤痢アメーバは細胞内にグリコーゲンを豊富に含んでおり、PAS反応によってグリコーゲンが赤紫色に染め出されます。画像に見られる大腸粘膜下層の多数の赤紫色球状構造は、アメーバ原虫の典型的なPAS反応陽性像です。選びやすい理由:画像に示された赤紫色に染まる多数の病原体細胞は、PAS反応の典型的な特徴である。混同注意:類似の糖鎖成分を染めるGrocott染色と混同しやすいが、Grocottは黒色に染まる。
- 3. Grocott染色は真菌の細胞壁に含まれる多糖体を黒色に染め出す特殊染色法です。赤痢アメーバは真菌ではなく、画像に見られる赤紫色の染色はGrocott染色の所見とは異なります。正しくは:Grocott染色は真菌の細胞壁を黒色に染め出す。例:カンジダ、アスペルギルス。選びやすい理由:真菌感染症の診断に用いられるため、感染症の染色法として選択肢に挙がりやすい。混同注意:PAS反応とGrocott染色は共に多糖類を染めるが、染色される色調が異なる(PASは赤紫、Grocottは黒)。
- 4. mucicarmine染色は酸性ムチンや好中球の顆粒を赤色に染め出す染色法です。アメーバ原虫を特異的に染め出すものではなく、画像のような所見とは一致しません。正しくは:mucicarmine染色は酸性ムチンを赤色に染める。例:腺癌のムチン。選びやすい理由:大腸組織に関連する染色法として、ムチン関連の染色を連想しやすい。混同注意:PAS反応もムチンを染めることがあるため、両者の特異性の違いで混同しやすい。しかし、mucicarmineは酸性ムチンに特異性が高い。
- 5. Warthin-Starry染色はスピロヘータや一部の細菌(例:ヘリコバクター・ピロリ)を黒色に染め出す銀染色法です。アメーバ原虫を染め出す染色法ではありません。正しくは:Warthin-Starry染色はスピロヘータや一部の細菌を黒色に染め出す。例:梅毒、猫ひっかき病。選びやすい理由:細菌感染症の診断に用いられる特殊染色法として選択肢に挙がりやすい。混同注意:他の銀染色(例:GMS染色)や、微生物を検出する染色法全般と混同しやすい。
国試ポイント
病原体の組織内での検出に用いられる特殊染色法と、各染色法で染まる物質、およびその代表的な対象疾患を覚える。
混同注意
Grocott染色とPAS反応はともに真菌や炭水化物成分を染め出すが、Grocott染色は銀を含み黒色に染まるのに対し、PAS反応は赤紫色に染まる点で区別できる。
次に同じ論点が出たら
同様の染色画像問題が出題された際は、染色されている構造物の色調(赤紫色、黒色など)と、その形状・部位(細胞内、細胞壁、粘液など)から判断する。
関連知識
PAS反応は、グリコーゲン、ムチン、基底膜などの糖鎖成分を染め出す。真菌、赤痢アメーバ、鞭虫の虫卵、胃の印環細胞癌のムチンなどを検出する際に用いられる。