医療コラム
足底腱膜炎のストレッチ:ふくらはぎと足の裏の伸ばし方と注意点
まず結論
足底腱膜炎では、ふくらはぎ(アキレス腱)と足の裏のストレッチが勧められています(米国整形外科学会・MSDマニュアル家庭版)。米国整形外科学会が紹介する方法は、どちらも10秒伸ばす×各足20回で、足の裏のストレッチは朝、立ち上がる前に行うのがよいとされています。
英国の公的医療情報が勧めるのはやさしいストレッチです。セルフケアを2週間続けても良くならない、痛みが強い、しびれがあるときは受診の目安です(英国の公的医療情報)。
すぐ受診が必要な症状
- 足の痛みに胸の痛み・冷や汗・息切れ・動悸を伴う → 直ちに医療機関へ(MSDマニュアル家庭版「腕や脚の痛み」)
- 突然ひどく痛み出した、足が冷たい・青白い、急なむくみ、痛む側の足に新しいしびれや力の入りにくさ → 直ちに医療機関へ(同)
- けがのあとにかかとが強く痛む、足の形が変わった、「ポキッ」という音がした、歩けない・つま先立ちで歩けない → ストレッチはせず、その日のうちに医療機関へ相談(英国の公的医療情報「Heel pain」)
これらは足底腱膜炎の症状ではなく、骨折や血管・神経の病気などの可能性がある徴候です。当てはまるときはストレッチで様子を見ないでください(medimichi の注記)。
※胸の痛みや息苦しさが強いとき、意識がおかしいときは、ためらわず救急車(119番)を呼んでください(medimichi の注記)。
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 痛みが強い、またはふだんの生活ができないほど痛む
- 痛みがだんだん強くなる、またはくり返す
- セルフケアを2週間続けても良くならない
- 足にしびれや感覚の鈍さがある
- 糖尿病があって足が痛む
上の5つは英国の公的医療情報「Plantar fasciitis」が挙げる目安です。日本での相談先は整形外科です(medimichi の注記)。急に強いかかとの痛みが出て少し腫れているときは、足底腱膜が切れている(断裂)ことがあり、MRIなどの検査が行われることがあります(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。このようなときはストレッチをせずに受診してください(medimichi の注記)。
なぜストレッチが勧められるのか
ふくらはぎやアキレス腱が硬いことは、足底腱膜炎になりやすい要因の一つとされ、アキレス腱と足のストレッチは治りを早めることが多いとされています(MSDマニュアル家庭版)。米国整形外科学会も、ふくらはぎと足の裏のストレッチを自宅でできる治療の一つに挙げています。
同学会はストレッチのほかに、痛みが強くなる運動を休む、靴を見直す、冷やすといった対処も挙げています(米国整形外科学会)。下の「ストレッチと組み合わせること」も見てください。
やり方1:ふくらはぎのストレッチ(壁を使う)
| 姿勢 | 壁に手をつき、伸ばしたい側の脚を後ろへ。後ろ脚はひざを伸ばし、かかとを床につけたまま、前のひざを曲げて体を壁のほうへ傾ける |
|---|---|
| 伸びる場所 | 後ろ脚のふくらはぎ |
| 時間・回数 | 10秒止める × 各足20回 |
米国整形外科学会 OrthoInfo「Plantar Fasciitis and Bone Spurs」の方法を、medimichi が表にまとめたもの。1日に何回行うかは示されていません。
やり方2:足の裏のストレッチ(座って行う)
| 姿勢 | いすに座り、痛む側の足を反対の脚のひざにのせる |
|---|---|
| 動かし方 | 手で足の指をつかみ、すね側へゆっくりそらす |
| 伸びる場所 | 足の裏 |
| 時間・回数 | 10秒止める × 各足20回 |
| タイミング | 朝、立ったり歩いたりする前がよいとされる |
米国整形外科学会 OrthoInfo「Plantar Fasciitis and Bone Spurs」の方法を、medimichi が表にまとめたもの。
ストレッチのときの注意
- 英国の公的医療情報が勧めているのは、足の裏とかかとのやさしいストレッチを定期的に行うことです。
- 足の指を上げる、階段を上るなど、足の裏が伸びる動きで痛むことがあります。痛みがだんだん強くなる、またはくり返すときは受診の目安です(英国の公的医療情報)。
- ストレッチで痛みが強くなるときは、自己流で続けず整形外科に相談してください(medimichi の注記)。
- 医療機関で治療やリハビリを受けている人は、医師や理学療法士の指示を優先してください。理学療法士は症状を和らげる運動を教えてくれます(英国の公的医療情報)。
ストレッチと組み合わせること
| 対処 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 負担を減らす | ランニングなど痛みが強くなる運動を休む。水泳や自転車など衝撃の少ない運動に切りかえる | 米国整形外科学会・英国の公的医療情報 |
| 冷やす | 冷やしたペットボトルや氷の上で足の裏を転がす(1回20分、1日3〜4回)。またはタオルで包んだ保冷剤を1回20分まで、2〜3時間おきに | 米国整形外科学会・英国の公的医療情報 |
| 靴 | かかとにクッションがあり、土踏まずを支える靴。すり減った運動靴は替える。ハイヒール、先の細い靴、ビーチサンダル、かかとのないスリッパは避ける | 英国の公的医療情報・米国整形外科学会 |
| 裸足 | 硬い床の上を裸足で歩かない | 英国の公的医療情報・MSDマニュアル家庭版 |
ストレッチで良くならないとき
医療機関では、夜間用の装具(寝ている間に足の裏を伸ばした状態に保つ)、中敷きや靴の指導、理学療法などが行われます(米国整形外科学会・英国の公的医療情報)。それでも良くならない場合は、ステロイド注射や体外衝撃波治療が検討されることがあり、手術の相談になることは多くありません(英国の公的医療情報)。米国整形外科学会は、手術を検討するのは十分な保存療法を12か月続けても良くならない場合が一般的としています。
簡単な治療を始めた人の90%以上が10か月以内に良くなるとされています(米国整形外科学会)。詳しくは「足底腱膜炎の治療」を見てください。
ここから下は、医学的な説明ではなく、セルフケア用品の案内です。
出典・確認日
- 米国整形外科学会 OrthoInfo「Plantar Fasciitis and Bone Spurs」(ストレッチの手順・秒数・回数・タイミング、冷やし方、靴、夜間用装具、手術の時期、経過)
- 英国の公的医療情報(NHS)「Plantar fasciitis」(やさしいストレッチ、避けること、受診の目安、治療の選択肢。NHSの最終レビュー日 2025-02-14)
- 英国の公的医療情報(NHS)「Heel pain」(すぐ受診が必要な症状。NHSの最終レビュー日 2025-10-24)
- MSDマニュアル家庭版「足底腱膜炎」(ふくらはぎ・アキレス腱の硬さとストレッチ、裸足を避ける。2025年10月更新)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「足底腱膜炎」(断裂が疑われる症状)
- MSDマニュアル家庭版「腕や脚の痛み」(脚の痛み全般で注意すべき徴候)