病気の解説
足底腱膜炎
別名:足底筋膜炎
すぐに受診が必要な症状
足やかかとの痛みに次のようなことが重なるときは、足底腱膜炎以外の重い病気のおそれがあります。様子を見ずに、すぐに医療機関を受診してください(MSDマニュアル家庭版)。
- 胸の痛み、冷や汗、息切れ、動悸を伴う(この場合は119番)
- 突然ひどく痛み出した、足が冷たい・青白い
- 足に急なむくみ、水ぶくれ、黒っぽい部分が出てきた
- 痛む側の足に、新しいしびれや力の入りにくさが出た
- 熱がある、意識がぼんやりする、気を失った
- 最近手術を受けた、長く寝たきりだった、ギプスで固定していたあとに脚が痛む
出典:MSDマニュアル家庭版「腕や脚の痛み」の警戒すべき徴候。足底腱膜炎そのものの症状ではなく、脚の痛み全般で注意すべき徴候です。
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- かかとの痛みが続く、くり返す、だんだん強くなるときは整形外科に相談してください。
- 急に強いかかとの痛みが出て、少し腫れているときは、足底腱膜が切れている(断裂)ことがあり、検査が必要になることがあります(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。早めに受診してください。
- 痛む場所が赤く熱をもっている、ズキズキと脈打つように痛む、腰から足へ痛みが走るといったときは、痛風や滑液包炎、腰の神経の病気など別の原因のこともあります(MSDマニュアル プロフェッショナル版)。
- 市販の痛み止め(イブプロフェンなど)を1か月をこえて使い続けそうなときは、医師に相談するよう勧められています(OrthoInfo)。
- ストレッチや靴の見直しなどを続けても良くならないときも、受診して治療の方法を相談してください(MSDマニュアル家庭版)。
かかとの痛みは、足底腱膜炎のほかに、けがや滑液包炎、関節リウマチ、痛風などでも起こります(MedlinePlus)。症状だけで病名を判断することはできません。診断は医師の診察によります。
基本
足底腱膜炎とは
足の裏には、かかとの骨から足の指の付け根まで、膜のように広がる丈夫な組織(足底腱膜)があり、土踏まずのアーチを支えています(OrthoInfo)。この足底腱膜のかかとに近い部分が傷んで痛むのが足底腱膜炎で、かかとの痛みの代表的な原因の一つです(MSDマニュアル家庭版)。「足底筋膜炎」と呼ばれることもあります。多くは手術をせずに治療できるとされています(MSDマニュアル家庭版)。
主な症状
- 朝の一歩目の痛み:起きて最初に床に足をついたときに、かかとの裏が強く痛みます。長く座っていたあとや、車での長い移動のあとに立ち上がったときにも起こります(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
- 歩くうちに軽くなる:痛みは数分から10分ほど歩くとやわらぎますが、同じ日のうちにまた痛むことがあります(MSDマニュアル家庭版)。
- 運動のあとに強まる:運動中よりも、運動を終えたあとに痛みが強くなりやすいとされます(OrthoInfo)。
- 足の裏の内側にそって、焼けるような痛みや刺すような痛みを感じる人もいます(MSDマニュアル家庭版)。
原因・なりやすい要因
多くの場合、はっきりした一つの原因はなく、くり返し負担がかかることで足底腱膜が傷むと考えられています(OrthoInfo)。スポーツでの衝撃のくり返しや、足の使いすぎが基本にあるとされます(日本整形外科学会)。
なりやすい要因として、次のようなものが挙げられています。
- 急に運動量を増やした、ランニングやダンスなど衝撃の大きい運動をしている(OrthoInfo)
- 硬い床の上で長時間立つ・歩く仕事(MSDマニュアル家庭版)(OrthoInfo)
- 偏平足や、土踏まずが高すぎる足の形(OrthoInfo)(日本整形外科学会)
- ふくらはぎやアキレス腱が硬い、足の柔らかさや筋力が足りない(OrthoInfo)(日本整形外科学会)
- 足に合わない靴、支えの少ない靴やハイヒール(MSDマニュアル家庭版)(日本整形外科学会)
- 体重が多い(OrthoInfo)(MedlinePlus)
- 年齢では40〜60歳に多いとされます(OrthoInfo)
X線写真で、かかとの骨にとげのような出っ張り(踵骨棘)が見つかることがありますが、これが痛みの原因になっているわけではないとされています(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
検査と診断
診断
医師が足を診察し、かかとの前のほうを押したときの痛みや、足首の動き、足の形などを確かめて診断します(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。骨折や関節炎などほかの病気でないことを確かめるために、X線検査を行うことがあります(OrthoInfo)。足底腱膜が切れていることが疑われるときなどには、MRIなどの検査が行われることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
治療
治療
まずは手術をしない治療(保存療法)を、いくつか組み合わせて行います(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
- 負担を減らす:痛みが出る運動を減らす、または一時的に休みます。自転車や水泳など、足への衝撃が少ない運動に切りかえる方法もあります(OrthoInfo)(日本整形外科学会)。
- ストレッチ:ふくらはぎ(アキレス腱)と足の裏のストレッチは、痛みをやわらげる方法として重視されています(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
- 冷やす:アイスマッサージなどで冷やす方法があります(日本整形外科学会)(MSDマニュアル家庭版)。
- 靴・中敷き:クッション性と支えのある靴、かかと用のパッド、既製またはオーダーメイドの中敷き(足底装具)が使われます(OrthoInfo)(日本整形外科学会)。
- 夜間用の装具:寝ている間に足の裏が伸びた状態を保つ装具を使うことがあります(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。
- 薬:痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)や塗り薬が使われることがあります(OrthoInfo)(日本整形外科学会)。
- 理学療法:運動の指導や物理療法を受けることがあります(OrthoInfo)。
数か月たっても良くならないときは、ステロイド注射が検討されることがあります。ただし、足底腱膜を弱めて切れやすくするおそれがあるため、回数を限るか使わない医師もいます(OrthoInfo)(MSDマニュアル家庭版)。体外衝撃波治療などが行われることもありますが、効果の報告はまちまちです(OrthoInfo)。
手術は、十分な保存療法を12か月ほど続けても良くならない場合に限って検討されるのが一般的です(OrthoInfo)。
日常生活の注意・セルフケア
医療機関で治療を受けている人は、医師や理学療法士の指示を優先してください。
- 裸足で歩くのを避け、足に合った、支えのある靴をはきます(MSDマニュアル家庭版)。すり減った靴は替えどきです。
- 歩幅を小さめにし、ジョギングなど足に衝撃がかかる運動はしばらく控えます(MSDマニュアル家庭版)。
- ふくらはぎと足の裏のストレッチを習慣にします(OrthoInfo)(日本整形外科学会)。
- 体重が多い人は、減量が勧められることがあります(MSDマニュアル家庭版)。
靴の中に入れるヒールクッション(かかとパッド)やアーチを支える中敷き(インソール)は、効果的な対処の一つとされています(MSDマニュアル家庭版)。痛みを和らげる補助で、効果には個人差があります。
経過と生活
予防
足とふくらはぎのストレッチ、運動後のアイシング、足に合ったシューズ選び、必要に応じた中敷き(足底装具)の使用が予防として挙げられています(日本整形外科学会)。運動量は急に増やさず、少しずつ増やすようにします(OrthoInfo)。
経過
良くなるまでに時間がかかることが多い病気ですが、簡単な治療を始めた人の90%以上が10か月以内に良くなるとされています(OrthoInfo)。手術が必要になることはまれです(MedlinePlus)。
整形外科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
米国整形外科学会 OrthoInfo「Plantar Fasciitis and Bone Spurs」 / 日本整形外科学会「足の慢性障害」 / MedlinePlus「Heel Injuries and Disorders」 / MSDマニュアル家庭版「足底腱膜炎」 / MSDマニュアル プロフェッショナル版「足底腱膜炎」 / MSDマニュアル家庭版「腕や脚の痛み」
内容の確認日:2026-10-14(次回確認予定 2027-04-14)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。