医療コラム

テニス肘かどうか確かめるには?診察で行うテストと、似た症状の病気

確認日 2026-10-18 / 更新日 2026-10-18

まず結論

テニス肘かどうかは、症状だけで自分で確かめることはできません。英国の公的医療情報も、ひじや腕の痛みの原因を自己診断しないよう呼びかけています。診察では、医師がひじの外側を押したときの痛み、手に抵抗を加えた状態で手首や中指を反らしたときの痛み、握力の低下などを確かめます(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-1/米国整形外科学会)。

ひじの外側の痛みは、ひじの関節炎、首の病気、ひじの周りの神経の圧迫などでも起こり、医師は必要に応じてX線・MRI・筋電図でそれらを見分けます(米国整形外科学会)。受診のときは、痛み始めた時期や痛む動作、以前のひじのけが、関節リウマチや神経の病気があるかを伝えると診察の手がかりになります(米国整形外科学会)。

すぐ受診が必要な症状

  • 急に始まった腕の痛みに、胸の圧迫感・重苦しさ・締めつけを伴う → すぐに 119(心臓の病気のおそれ)
  • 強い痛みで腕を動かしにくい/けがのときに「ポキッ」という音がした、腕の形が変わった → 救急外来へ
  • 腕がしびれる・感覚が鈍い → 救急外来へ
  • 腕が腫れて高い熱がある、寒気がする/運動すると腕が痛み、休むと治まる → 当日中に医療機関へ相談

出典:英国の公的医療情報「Elbow and arm pain」(NHSの最終レビュー日 2024-01-26)。テニス肘そのものの症状ではなく、ひじや腕の痛み全般で注意すべき徴候です。英国の救急番号(999)の案内を、日本の119番に置き換えて示しています(medimichi の注記)。

当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。

受診の目安

  • ひじを休ませて自分でできる対処を2週間続けても痛みが残る(英国の公的医療情報「Tennis elbow」)
  • ひじや腕の痛みが数週間たっても治まらない(英国の公的医療情報「Elbow and arm pain」)
  • 痛みで日常の動作に支障がある(medimichi の注記)

日本での相談先は整形外科です(medimichi の注記)。腕のしびれや感覚の鈍さは、上の「すぐ受診が必要な症状」に当たります(英国の公的医療情報「Elbow and arm pain」)。ひじの外側の痛みは、ひじの関節炎や神経の圧迫でも起こることがあり、医師はX線検査や筋電図でそれらを見分けることがあります(米国整形外科学会)。症状だけでテニス肘と決めないでください。

自分でテストしても確かめられない理由

  • 診察で使われるテストで痛みが出る割合(77〜100%)は、すでにテニス肘と診断された人の中での数字です。そのテストで診断できるかどうか(診断の有効性)は示されていません(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-1)。
  • 短橈側手根伸筋(ECRB)という特定の腱を押したときの痛みは、25〜70%にみられると報告されています(同)。
  • ひじの周りを通る神経が圧迫されたときの症状は、テニス肘とよく似ています(米国整形外科学会)。
  • 日本の診断基準には、手首を反らす筋肉の付け根以外の障害を除くことが含まれています(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・前文)。ほかの病気を除けるかどうかは、診察や検査による医師の判断です(medimichi の注記)。

インターネットで紹介されている検査の動作を自分で試して判断するのではなく、気になる痛みは整形外科で相談してください(medimichi の注記)。

診察で医師が確かめること

テニス肘の診断の流れ。問診、診察、必要に応じた検査、似た病気を除いて診断問診始まり方・痛む動作と場所・仕事やスポーツ診察押して痛む場所・抵抗を加えた動き・握力必要に応じて検査X線・MRI・超音波・筋電図似た病気を除いて診断
図:診断までの流れの目安。米国整形外科学会と上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019の記載をもとに medimichi が作成。検査を行うかどうかは医師が判断します。
確かめること内容出典
経過と生活症状がどう始まったか、仕事での腕の負担、スポーツ、どの動作で腕のどこが痛むか米国整形外科学会
押して痛む場所ひじの外側の骨の出っ張り(外側上顆)付近をやさしく押し、痛みがあるかを確かめる米国整形外科学会・上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(Background Question 3-1)
抵抗を加えた動きでの痛み医師が抵抗を加えた状態で手首や中指を反らしてもらい、ひじの外側に痛みが出るかをみる(抵抗下手関節背屈テスト〔いわゆるトムセンテスト〕、中指伸展テストなど)上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(Background Question 3-1)・MSDマニュアル プロフェッショナル版・米国整形外科学会
握る力握力の低下も重要な所見とされる上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(Background Question 3-1)

日本の診療ガイドラインの診断基準を要約すると、①ひじの外側の骨にある、手首を反らす筋肉の付け根に最も強い押したときの痛みがある、②抵抗をかけて手首を反らすとひじの外側が痛む、③その付け根以外の障害によるものを除く、の3点です(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・前文)。

画像検査や筋電図は何のため?

検査役割と注意点
X線検査テニス肘の診断そのものに使われることは少ない(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-2)。ひじの関節炎を除くために撮ることがある(米国整形外科学会)
MRI腱の傷みの程度やほかのけがを確かめる。首の病気が疑われるときは首のMRIを撮ることがある(米国整形外科学会)。あくまで補助で、MRIだけで診断はしない。症状のない側のひじにも似た所見がみられることがある(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-3)
超音波検査補助的な検査。異常がないのに所見が出る(偽陽性)ことが多く、検査する人の経験や機器に結果が左右されやすい(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-4)
筋電図神経の圧迫を除くために行う(米国整形外科学会)。橈骨管症候群や神経根障害など、似た病気を見分けるのに有用(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-2)

画像の所見は、診察の結果と合わせて評価する必要があるとされています(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 3-3)。

似た症状で、医師が見分ける病気

病気・状態情報源に書かれている特徴・見分け方出典
ひじの関節炎X線検査で確かめる米国整形外科学会
首の病気(椎間板ヘルニア、首の関節の変化)腕の痛みを起こすことがあり、疑われるときは首のMRIを撮る米国整形外科学会
ひじの周りの神経の圧迫テニス肘とよく似た症状。筋電図で見分ける米国整形外科学会
橈骨管症候群(ひじの近くで後骨間神経が締めつけられる病気)診断の際に少なくとも除外する病気とされる。合併している例では手術をしない治療の成績が悪かったという報告がある上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(前文・Background Question 5-1・5-2)
神経の根元の障害(神経根症状)・橈骨神経の障害ひじの外側の痛みの原因になり、見分けが必要上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(Background Question 2)
ひじの関節の中の障害(滑膜ひだなど)治りにくい例では、関節の中に病変がみられることがある上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(Background Question 2)
腱炎・滑液包炎関節の痛み・こわばり・腫れ、動かしにくい英国の公的医療情報
捻挫・筋違い痛み、押すと痛い、あざ、腫れ英国の公的医療情報
五十肩肩から下りてくる痛みとこわばり英国の公的医療情報
関節の感染(化膿性関節炎)関節の周りの腫れと高い熱、熱っぽい・寒気がする英国の公的医療情報

表は医師が見分ける病気の例で、自分で病名を決めるためのものではありません。腫れと高い熱、しびれがあるときは、上の「すぐ受診が必要な症状」を確認してください。

受診で伝えるとよいこと

米国整形外科学会は、医師は診断のときに次のような点を考慮するとし、ひじをけがしたことや、関節リウマチ・神経の病気があれば医師に伝えるよう勧めています。

  • 症状がいつ、どのように始まったか(米国整形外科学会)
  • どの動作で痛むか、腕のどこが痛むか(米国整形外科学会)
  • 仕事での腕の使い方、行っているスポーツ(米国整形外科学会)
  • 以前にひじをけがしたことがあるか(米国整形外科学会)
  • 関節リウマチや神経の病気があるか(米国整形外科学会)

あわせて、手や指のしびれ・力の入りにくさ、首や肩の痛みの有無、これまでに受けた治療(注射の回数、使っている薬やバンドなど)も伝えておくと役立ちます(medimichi の注記)。日本の診療ガイドラインは、注射を受けたことがある例では手術をしない治療の成績が悪かったことを紹介しています(上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019・Background Question 5-1)。

治療の内容と期間の目安は「テニス肘はどのくらいで治る?」、診断の概要は「テニス肘の診断」を見てください。

出典・確認日

  • 上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(改訂第2版)日本整形外科学会・日本肘関節学会 監修(Minds ガイドラインライブラリ)(身体所見(BQ3-1)・X線/筋電図(BQ3-2)・MRI(BQ3-3)・超音波(BQ3-4)・病態と鑑別(BQ2)・診断基準と橈骨管症候群の除外(前文)・成績が悪い例(BQ5-1・5-2))
  • 米国整形外科学会 OrthoInfo「Tennis Elbow (Lateral Epicondylitis)」(問診で考えること・伝えるべき既往・押して痛む場所の確認・抵抗下のテスト・X線/MRI/首のMRI/筋電図で除外する病気)
  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「上腕骨外側上顆炎(テニス肘)」(中指伸展テストと抵抗下の手首背屈による診断。2023年11月更新)
  • 英国の公的医療情報(NHS)「Elbow and arm pain」(自己診断しないこと・ひじや腕の痛みのほかの原因・すぐ受診が必要な症状。NHSの最終レビュー日 2024-01-26)
  • 英国の公的医療情報(NHS)「Tennis elbow」(受診の目安(2週間)。NHSの最終レビュー日 2024-05-31)

「英国の公的医療情報」と記した部分: Contains public sector information licensed under the Open Government Licence v3.0.(英語の公的情報を日本語に翻訳・要約して含みます)

ガイドラインの内容は、medimichi が要点を独自の言葉でまとめたものです。治療の選択は主治医と相談してください。

内容の確認日:2026-10-18/更新日:2026-10-18/次回確認予定:2027-04-18

医師による監修はありません。医学的な記載は上の公的機関・学会などの情報源に基づき、medimichi が独自にまとめています。この記事は一般的な医療情報で、診断や治療の代わりにはなりません。