全身性エリテマトーデス〈SLE〉でプレドニゾロンを長期間服用している成人女性の患者で、血中濃度が顕著に低下しているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを長期にわたって服用すると、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA軸)においてネガティブフィードバックがかかります。このフィードバックにより、下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が抑制され、結果として血中のACTH濃度は顕著に低下します。
選択肢ごとの解説
- 1. プレドニゾロンの長期服用は、むしろインスリン抵抗性を高め、血糖値が上昇する可能性があるため、インスリンの血中濃度が顕著に低下することは通常ありません。必要に応じてインスリン分泌が亢進することもあります。正しくは:インスリン抵抗性の亢進選びやすい理由:ステロイドは代謝に影響を与えるため、漠然とホルモンバランスが崩れると考えるかもしれない。混同注意:血糖値の変化とインスリン分泌量の関係が混同されやすい。
- 2. プレドニゾロンの長期服用が甲状腺ホルモンの血中濃度を顕著に低下させる直接的な作用は一般的ではありません。甲状腺機能自体への直接的な抑制作用は通常見られません。正しくは:甲状腺ホルモンへの直接的な影響は少ない選びやすい理由:多くのホルモンに影響を与えるため、甲状腺ホルモンも低下するのでは、と考えるかもしれない。混同注意:他のステロイドとは異なるホルモン系統であるため、作用機序が明確でないと判断を誤る。
- 3. プレドニゾロンの長期服用は、性ホルモンであるエストラジオールの血中濃度に影響を与える可能性はありますが、顕著に低下させる主要な要因ではありません。月経異常を引き起こすことはありますが、直接的な著しい低下とは異なる文脈です。正しくは:エストラジオールへの直接的な著しい低下作用は少ない選びやすい理由:女性ホルモンとステロイドの関係を混同しやすい。混同注意:副腎皮質ホルモンが他のステロイド骨格を持つホルモンに影響を与えるという漠然とした知識で判断を誤る。
- 4. プレドニゾロンの長期服用は、消化管からのカルシウム吸収を抑制し、尿中カルシウム排泄を促進することで、血中カルシウム濃度の低下を引き起こす可能性があります。これにより、代償的に副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が亢進することがあります。したがって、PTHが顕著に低下することはありません。正しくは:代償的に亢進する可能性選びやすい理由:ステロイドによる骨代謝への影響から、副甲状腺ホルモンも低下すると誤解する可能性がある。混同注意:血中カルシウム濃度と副甲状腺ホルモンの関係性が正しく理解されていないと誤る。
- 5. 正解。プレドニゾロン(合成副腎皮質ステロイド)の長期服用は、視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA軸)に対する負のフィードバック機構を強く抑制します。これにより、下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が抑制され、血中濃度が顕著に低下します。その結果、副腎皮質の萎縮も引き起こされます。正しくは:適切な選択肢。選びやすい理由:多くのホルモンが低下するイメージで選ぶと、ACTHが最も直接的な影響を受けることを認識しにくい。混同注意:ステロイドのフィードバック抑制作用が理解できていないと、副腎皮質ホルモンそのものが低下すると勘違いするかもしれない。
国試ポイント
合成副腎皮質ステロイドの長期使用によるHPA軸への影響と、それに伴うホルモンバランスの変化について正しく理解しているかが問われる。特にACTHの抑制は重要。
混同注意
ステロイド服用による他のホルモンへの間接的な影響と、ACTHのように直接的なフィードバック抑制を受けるホルモンの区別。
次に同じ論点が出たら
ACTH低下に伴う副腎皮質機能不全のリスクと、その際の看護介入や患者指導について、次のステップとして考察する。
関連知識
ステロイドの副作用(満月様顔貌、中心性肥満、骨粗鬆症、易感染性、消化性潰瘍など)、ステロイドカバーの必要性、ステロイドの離脱症候群。