Aちゃん(3歳)は、両親(外国籍)と3人で暮らしている。来日して1か月が経った。2日前に急性胃腸炎で個室に入院した。症状が改善し、経口での食事を再開することになった。看護師が訪室すると、香辛料の香りが部屋に充満しており、唐辛子の入った肉などのたくさんの料理が並べられていた。母親は看護師に気付くと「Aは日本食には慣れておらず、食べられないので家で作ってきました」と話した。このときの母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
異文化背景を持つ患者・家族への看護において、まずは彼らの文化や習慣を尊重し、具体的な状況をアセスメントすることが基本です。特に食事は文化と密接に関わるため、普段の食習慣を尋ねることは、患者の栄養状態や治療への協力体制を築く上で最も適切な最初のステップとなります。急性胃腸炎からの回復期であるため、消化器への負担を考慮しつつ、患者が食べやすいものを検討する上でも重要な情報となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。異文化背景を持つ家族の食習慣を理解することは、患者の栄養状態や回復を支援するために不可欠なアセスメントです。特に急性胃腸炎からの回復期において、消化に配慮しつつ、患者が食べ慣れたものを把握することは、適切な食事計画を立てる上で非常に重要であり、患者中心のケアの第一歩となります。
- 2. 一方的に食事の持ち込みを禁止するのではなく、まずは患者と家族の状況、特に食習慣や文化背景を理解しようと努めることが重要です。すぐに禁止するのではなく、情報収集と状況共有が優先されます。正しくは:まずはAちゃんの食習慣についてお伺いし、病院の栄養士と相談の上、今後の食事について一緒に検討しましょうと伝える。選びやすい理由:病院の衛生管理や治療食の重要性を考えると、持ち込み食に制限を設けるのは当然だと誤解しやすいです。混同注意:病院の安全管理や治療食の遵守と、患者・家族の文化やニーズを尊重するアセスメントの優先順位を混同しやすいです。
- 3. 急性胃腸炎からの回復期では、消化器に負担をかけないよう、消化の良いものを少量ずつ摂取することが基本です。単純に「たくさん食べさせる」という指示は不適切であり、症状悪化につながる可能性があります。正しくは:消化の良いものを少量ずつ、Aちゃんの好きなものから試していきましょうと伝える。選びやすい理由:体力回復には栄養摂取が不可欠であるという一般論から、たくさん食べさせることが良いと考えやすいです。混同注意:回復期における食事の質(消化しやすさ)と量(栄養補給)のバランスや段階的な摂取の重要性を混同しやすいです。
- 4. 病院食の完食を強制することは、患者の文化背景や食欲を無視する行為であり、特に消化器疾患の回復期にある患者に過度な負担をかけます。また、患者と家族の信頼関係を損ねる可能性もあります。正しくは:Aちゃんの食べられそうなものから少しずつ試していきましょう。持ち込み食についても、内容を確認し、病院食と合わせて栄養バランスや消化への配慮を相談させてくださいと伝える。選びやすい理由:病院食による栄養管理が最も適切だと考え、他の食事を排除しようとすることが正解だと誤解しやすいです。混同注意:治療食の重要性と、患者の文化や個別性を尊重し、食事の選択肢について共に考えることの重要性を混同しやすいです。
国試ポイント
異文化理解と患者中心のケアの原則、特に食事に関するアセスメントの重要性が問われています。また、急性期からの回復期における食事指導の基本と、患者・家族とのコミュニケーションにおける共感的態度の重要性も判断基準となります。
混同注意
病院のルール(食事の持ち込み制限、衛生管理)や治療食の重要性と、患者の文化背景や個別のニーズを尊重するアセスメントの優先順位を混同しやすいです。また、体力回復のための栄養摂取と、消化器疾患回復期における消化負担への配慮のバランスを誤解しやすい点も混同の原因となります。
次に同じ論点が出たら
この問題で得られた情報(普段の食習慣)を基に、栄養士と連携して安全かつ適切な食事計画をどのように立てるか、また、母親の不安や要望にどのように応え、文化的な背景を考慮した具体的な介入方法を提案できるか、という点が次に問われる可能性があります。
関連知識
異文化看護の基本原則(文化のアセスメント、文化的感受性)、急性胃腸炎回復期の食事療法(消化の良いもの、少量ずつ、漸増)、患者中心のケア、家族支援、コミュニケーション技術(傾聴、共感)。