せん妄の誘発因子はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
身体拘束は、患者の不安や混乱を増大させ、環境への適応能力を低下させるため、せん妄を誘発する非常に強力な因子です。せん妄の誘発因子とは、すでに脆弱性のある患者に対して、せん妄を直接的かつ急速に引き起こすきっかけとなる要因を指します。身体拘束は、そのストレス、不快感、感覚遮断、自由の制限によって、精神的な混乱を招き、せん妄を顕在化させやすいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。身体拘束は患者の精神的苦痛を増大させ、環境変化への適応を阻害するため、せん妄を誘発する重要な因子とされています。選びやすい理由:一見すると直接的な身体的影響ではないため選びにくいかもしれませんが、精神的ストレスがせん妄に与える影響は大きいです。混同注意:疼痛や感染などの直接的な身体的苦痛と混同しやすいですが、身体拘束はそれ自体が心理的ストレスとなりえます。
- 2. 心血管障害はせん妄の誘発因子というよりは、高齢者によく見られる併存疾患であり、心不全などによる脳血流低下や低酸素状態がせん妄の『基礎疾患』や『素因』となることはありますが、それ自体が直接的な誘発因子とは言い切れません。せん妄の直接的な『誘発因子』としては、感染症、薬物、脱水、痛み、環境変化などが挙げられます。正しくは:心血管障害そのものというよりは、心不全による脳血流低下や低酸素状態がせん妄のリスクを高める基礎疾患となります。選びやすい理由:高齢者におけるせん妄の背景疾患として重要なため、選びやすいかもしれません。混同注意:基礎疾患や素因と、直接的な誘発因子との違いで混同しやすいです。
- 3. 低栄養状態はせん妄の『危険因子』の一つであり、せん妄発症のリスクを高めますが、直接的な『誘発因子』ではありません。誘発因子は、せん妄を急速に引き起こすきっかけとなる要因を指します。低栄養状態は、身体機能や認知機能の低下を通じてせん妄を発生しやすくする土壌を作るものです。正しくは:低栄養状態はせん妄の危険因子の一つであり、せん妄発症のリスクを高める基礎的な要因です。選びやすい理由:低栄養が高齢者の身体・精神状態に悪影響を与えるため、せん妄との関連が強いと考えられ選びやすいです。混同注意:基礎的な危険因子と、直前の誘発因子との違いで混同しやすいです。
- 4. 電解質バランス異常はせん妄の『危険因子』であり、特に高齢者ではせん妄の直接的な原因となる可能性も高いですが、選択肢1の「身体拘束」と比較すると、質問の意図する「誘発因子」としては間接的です。身体拘束は患者が置かれる環境要因としての誘発因子ですが、電解質異常は身体内部の病態であり、より広義の「素因」や「背景因子」に含まれることが多いです。国試では最も適切な選択肢を選ぶ必要があります。正しくは:電解質バランス異常はせん妄の重要な危険因子であり、特に急性期の変化はせん妄を直接引き起こす可能性があります。選びやすい理由:電解質異常が脳機能に直接影響を与えるため、非常に強い誘発因子のように思え、選びやすいです。特にナトリウム異常などはせん妄を直接引き起こすことがあります。混同注意:直接的な誘発因子と、身体内部の重要な病態生理学的要因との区別で混同しやすいです。
国試ポイント
せん妄の誘発因子、危険因子、原因疾患の区別を問う問題です。特に、環境要因や医療処置が誘発因子となりうることを理解しているかが重要です。複数の因子が絡み合う中で、質問が何を問うているのかを正確に把握する能力が求められます。
混同注意
せん妄の「危険因子(素因、脆弱性因子)」と「誘発因子(直接原因)」の区別。心血管障害や低栄養状態、電解質異常はせん妄の危険因子や背景にある原因となり得ますが、身体拘束はストレスや環境の変化を通じて直接せん妄を『引き起こす』誘発因子としての側面が強いです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、身体拘束以外の具体的な誘発因子(例:感染症、脱水、薬剤、疼痛、環境変化)や、危険因子(例:高齢、認知症、既往歴)について問われる可能性があります。また、せん妄の症状や看護ケアについても確認しておきましょう。
関連知識
せん妄の危険因子には、高齢、認知症、既往のせん妄、視覚・聴覚障害、多剤併用、脱水、感染症、疼痛、外科手術、環境変化(入院、ICU入室)、睡眠不足、薬剤(抗コリン薬、ベンゾジアゼピン系など)、身体拘束などがあります。予防策としては、環境調整、早期離床、睡眠覚醒リズムの維持、水分・栄養管理、疼痛コントロール、不必要な身体拘束の回避などがあります。