大動脈解離で真腔と偽腔(解離腔)が形成される。偽腔が形成される大動脈壁の部位はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
大動脈解離は、大動脈の内膜に亀裂が生じ、そこから血液が中膜へ流入することで、中膜内で大動脈壁が2層に剥がれる状態です。この剥がれた層の間に形成される空間が「偽腔」と呼ばれます。中膜は弾性線維と平滑筋に富み、層状構造を持つため、血液が流入すると剥離しやすい性質があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 大動脈の外膜は血管の最も外側を覆う強靭な結合組織であり、偽腔がこの層の中に形成されることは通常ありません。もし外膜を越えて解離が進むと、血管の破裂につながります。正しくは:偽腔は外膜の内側、中膜内に形成されます。選びやすい理由:血管の最も外側の層であるため、解離が進行した場合に破裂することから、外膜が何らかの形で病態に関わると誤解しやすいです。混同注意:解離による血管破裂と、偽腔の形成部位を混同している可能性があります。
- 2. 大動脈解離による偽腔は、中膜の内部で形成されます。外膜と中膜の間は密接に結合しており、この間に血液が流入して偽腔が形成される構造ではありません。正しくは:偽腔は中膜の内部に形成されます。選びやすい理由:血管壁が複数の層からなるため、「層の間」という選択肢に惑わされやすいですが、大動脈解離では中膜内部の層が剥がれるのが特徴です。混同注意:血管壁の構造を曖昧に理解していると、漠然と層と層の間で剥離すると考えてしまうことがあります。
- 3. 正解。大動脈解離は、内膜に生じた亀裂から血液が中膜へと流入し、中膜の内部で層が剥がれることによって偽腔が形成される病態です。中膜は弾性線維と平滑筋細胞が豊富で、層状構造を持つため、この層内で剥離が起こりやすい特性があります。
- 4. 大動脈解離では内膜に裂け目ができ、そこから血液が『中膜内』に流入して剥離が生じます。内膜と中膜の間には明確な空間があるわけではなく、中膜の内部で剥離が進行します。正しくは:偽腔は中膜の内部に形成されます。選びやすい理由:内膜の損傷が解離の引き金となるため、「内膜」と「中膜」というキーワードに注目し、その間の境目を誤って選んでしまうことがあります。混同注意:内膜の損傷箇所と、偽腔が実際に形成される部位を混同している可能性があります。
- 5. 内膜は血管の最も内側にある薄い層であり、血液と直接接しています。大動脈解離のきっかけとなる「裂け目」は内膜に生じますが、偽腔そのものが内膜の層の中に形成されるわけではありません。血液は内膜の裂け目を経て中膜へと流れ込み、そこで偽腔が作られます。正しくは:偽腔は内膜の裂け目から血液が流入した中膜内に形成されます。選びやすい理由:内膜の損傷が解離の発端であるため、偽腔も内膜に関連すると誤解しやすいです。混同注意:内膜の亀裂(入り口)と、血液が実際に溜まって剥離する場所(偽腔の形成部位)を混同している可能性があります。
国試ポイント
この問題は、大動脈の基本的な解剖学的構造(内膜、中膜、外膜)と、大動脈解離という疾患の病態生理、特に偽腔がどの部位に形成されるかという核心的な知識を問うものです。疾患の理解には、その病態が体のどの部分でどのように起こるかという基礎的な知識が不可欠であることを示しています。
混同注意
内膜の亀裂(解離の入り口)と偽腔が形成される中膜(実際に血液が溜まる場所)を混同しやすいです。また、血管壁の各層の機能と特徴が曖昧だと、間違った層や層の間を選んでしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後、大動脈解離に関する問題が出題された際には、偽腔形成部位だけでなく、その発症機序、危険因子、主な症状、診断方法、緊急時の看護介入、治療法(手術適応や薬物療法)、予後など、疾患全体の理解が問われる可能性があります。
関連知識
大動脈壁の構造と機能(内膜:血液と接する、中膜:血管の弾性・収縮に関与、外膜:血管を保護・支持)、大動脈解離の分類(Stanford分類A/B型、DeBakey分類)、主な症状(突然の激しい胸背部痛など)、合併症(臓器虚血、破裂など)。