甲状腺クリーゼについて正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進症の患者が感染症、手術、外傷などを誘因として、甲状腺ホルモンの急激な過剰分泌により全身状態が悪化する緊急性の高い病態です。特に感染症は最も一般的な誘因の一つとして知られています。主な症状は高体温、頻脈、意識障害、消化器症状などであり、低体温や徐脈、ホルモン欠乏症ではありません。致死率も高い重篤な疾患です。
選択肢ごとの解説
- 1. 甲状腺クリーゼでは、甲状腺ホルモンの過剰な分泌により代謝が著しく亢進するため、高体温(38℃以上、時に40℃を超える)を呈します。低体温は甲状腺機能低下症で見られる症状です。正しくは:高体温になります。選びやすい理由:重篤な病態であるため、ショックなどによる体温低下を連想しやすいかもしれませんが、本態は過代謝です。混同注意:甲状腺機能低下症による粘液水腫性昏睡の症状(低体温)と混同しやすいです。
- 2. 甲状腺クリーゼは多臓器不全を引き起こす非常に重篤な状態であり、適切な治療を行っても致死率は依然として高い(約10〜30%程度)とされています。そのため、「低い」という記述は誤りです。正しくは:致死率は高いとされています。選びやすい理由:現代医療の進歩により、どんな重症疾患でも予後が改善されていると考える傾向があるため、致死率が低いと誤解する可能性があります。混同注意:他の比較的予後が良い内分泌疾患や、治療により改善が見込める病態と混同する可能性があります。
- 3. 正解。甲状腺クリーゼの誘因としては、肺炎や敗血症などの感染症が最も多いとされています。その他にも、手術、外傷、糖尿病性ケトアシドーシス、心筋梗塞、脳血管障害、抗甲状腺薬の急な中止などが挙げられます。
- 4. 甲状腺ホルモンが過剰な状態では、心臓の活動が異常に亢進するため、初期から著しい頻脈(120拍/分以上になることも珍しくありません)を認めるのが特徴です。徐脈は甲状腺機能低下症の症状です。正しくは:初期症状として頻脈が特徴的です。選びやすい理由:重篤な全身状態であるため、心機能が抑制されて徐脈になるのではないかと誤解するかもしれません。混同注意:甲状腺機能低下症の症状(徐脈)と混同しやすいです。
- 5. 甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)の患者さんに誘因が加わることで、甲状腺ホルモンが急激に大量に分泌され、全身の代謝が異常に亢進する生命を脅かす病態です。したがって、甲状腺ホルモンが「過剰」な状態であり、欠乏症ではありません。甲状腺ホルモンの欠乏症は甲状腺機能低下症です。正しくは:甲状腺ホルモンが過剰になる状態です。選びやすい理由:「クリーゼ」という言葉から、何かが「不足」して重篤な状態になっていると誤解しやすいかもしれません。混同注意:甲状腺機能低下症やその重篤な病態である粘液水腫性昏睡と混同しやすいです。
国試ポイント
甲状腺クリーゼは、甲状腺機能亢進症の最重症型として、その特徴的な症状(高体温、頻脈、意識障害、消化器症状)、主な誘因(感染症など)、そして甲状腺ホルモンの過剰状態であるという本態の理解が問われます。特に、甲状腺機能低下症の症状(低体温、徐脈、ホルモン欠乏)との鑑別が重要です。
混同注意
甲状腺機能亢進症の一般的な症状、甲状腺機能低下症の症状(特に粘液水腫性昏睡)と混同しやすいです。クリーゼは、単なる甲状腺機能亢進症よりもはるかに重篤な多臓器不全を伴う状態であることを理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
甲状腺クリーゼの具体的な治療薬とその作用機序、緊急時の看護介入の優先順位、あるいは甲状腺クリーゼ患者のバイタルサインや意識レベルの変化に応じたアセスメントと対応について、より実践的な問題として出題される可能性があります。
関連知識
甲状腺クリーゼの診断基準(日本甲状腺学会の診断基準など)、治療法(抗甲状腺薬、ヨード製剤、ステロイド、β遮断薬などを用いた薬物療法、体温管理、循環管理、呼吸管理などの対症療法)、緊急時の看護介入、患者・家族への説明と精神的ケア。