Aさん(21歳、女性、大学生)は、1人で暮らしている。友人関係のトラブルでうつ状態になり、3か月前から精神科クリニックへの通院を開始した。頓用の抗不安薬を処方され不安が高まったときに服用していたが、徐々に酩酊や陶酔感を得るために服用するようになった。最近は指示された抗不安薬の量では酩酊や陶酔感が得られなくなってきたため、数日分の薬を溜めて一度に大量に服用するようになった。抗不安薬を大量に使用した翌日は大学を休むことが続いていた。 入院後5日、物質使用障害〈依存症〉の診断を受け、治療によって状態が安定したAさんは退院の準備をすることになった。Aさんは1人暮らしを続けながら復学を希望している。Aさんに利用を勧める社会資源はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
セルフヘルプグループは、同じ問題を抱える当事者同士が経験や感情を共有し、相互に支え合うことで回復を促進する集団です。物質使用障害からの回復には、孤立の防止と継続的なサポートが不可欠であり、専門職による介入だけでなく、当事者同士のピアサポートが有効とされています。Aさんが1人暮らしを続けながら復学を希望している状況で、社会との繋がりを保ちながら再発防止のための支援を受けるのに最適です。
選択肢ごとの解説
- 1. 行動援護は、知的障害や精神障害により行動が著しく困難な方が、行動する際に生じる危険を回避するためにヘルパーが付き添い、外出時などの援助を行うサービスです。Aさんは物質使用障害の治療によって状態が安定しており、行動上の著しい困難が示されていないため、このサービスは適切ではありません。正しくは:知的障害や精神障害により行動が著しく困難な方が、行動する際に生じる危険を回避するために利用するサービス。選びやすい理由:「援護」という言葉から漠然とした支援を連想し、社会復帰支援の一部と誤解する可能性があります。混同注意:同行援護、居宅介護、移動支援など、外出時の支援サービス全般。
- 2. 同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難がある方に、移動に必要な情報の提供(代筆・代読を含む)や移動の援護を行うサービスです。Aさんは視覚障害があるとは記載されておらず、物質使用障害からの回復期の支援としてこのサービスは適切ではありません。正しくは:視覚障害により移動に著しい困難がある方が、移動や情報の取得のために利用するサービス。選びやすい理由:「援護」という言葉から漠然とした支援を連想し、社会復帰支援の一部と誤解する可能性があります。混同注意:行動援護、移動支援、居宅介護など、外出時の支援サービス全般。
- 3. 正解。セルフヘルプグループは、同じ問題を抱える人々が主体的に集まり、経験や感情を共有し、相互に支え合うことで回復を目指す集団です。物質使用障害からの回復期にあるAさんが、孤立せずに再発防止に取り組み、社会復帰を円滑に進める上で、ピアサポートは非常に有効な社会資源です。1人暮らしと復学を希望するAさんにとって、継続的なサポートと社会的な繋がりを得られるこのグループは最適です。選びやすい理由:物質使用障害からの回復期に専門職による治療だけでなく、当事者同士の支え合いが重要であることを理解していれば、選びやすい選択肢です。混同注意:専門職が主導するグループセラピー、共同生活援助(グループホーム)など。
- 4. 共同生活援助〈グループホーム〉は、精神障害や知的障害のある方が、共同生活を営む住居において、相談や日常生活上の援助を受けるサービスです。Aさんは1人暮らしを続けながら復学を希望しており、住居の提供を必要としているわけではないため、このサービスは適切ではありません。正しくは:精神障害や知的障害のある方が、共同で生活しながら日常生活の支援を受けるための住居兼サービス。選びやすい理由:「共同生活」という言葉から、社会復帰支援や人との繋がりを連想し、回復期にあるAさんの選択肢として魅力的だと感じる可能性があります。しかし、Aさんの希望は「1人暮らしを続ける」ことです。混同注意:セルフヘルプグループ、就労移行支援、地域活動支援センターなど、様々な社会復帰支援サービス。
国試ポイント
精神疾患、特に物質使用障害からの回復期における社会資源の活用について問う問題です。セルフヘルプグループの目的と機能を理解し、適切な状況で提案できることが重要です。また、他の選択肢である行動援護、同行援護、共同生活援助がどのような場合に適用されるかを知っている必要があります。
混同注意
共同生活援助〈グループホーム〉と混同しやすいですが、グループホームは住居を提供する点が異なります。セルフヘルプグループは居住の場ではなく、定期的なミーティングを通じて精神的なサポートを提供します。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず患者がどのような状態にあり、どのような支援を必要としているか(回復期のサポート、孤立防止、社会復帰支援など)を把握します。次に、それぞれの社会資源が提供する支援内容を具体的に想起し、患者のニーズに最も合致するものを選びます。特に、当事者による相互支援が必要な場合は、セルフヘルプグループが適切な選択肢となります。
関連知識
物質使用障害の治療と回復には、薬物療法、精神療法(認知行動療法など)、社会資源の活用が多角的に行われます。セルフヘルプグループの具体的な例としては、AA(アルコホーリクス・アノニマス)やNA(ナルコティクス・アノニマス)などがあります。これらのグループは、匿名性を守りながら、同じ問題を抱える人々が自身の体験を語り、互いに共感し、支え合うことで回復への道を歩むことを目指します。