多発性骨転移がある終末期の大腸癌患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
終末期の患者が緩和ケア病棟へ転棟する目的は、身体的・精神的苦痛の緩和が中心となります。中でも痛みは患者のQOLを著しく低下させる主要な要因であるため、その管理状況を速やかに把握し、継続的なケアを提供することが最も優先されます。痛みは主観的なものであり、患者の状態に応じた細やかな評価と調整が不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。終末期の患者さんにとって、疼痛管理はQOLを維持する上で最も重要な課題の一つです。緩和ケア病棟への転棟は、症状緩和、特に苦痛の軽減を目的としているため、現在の疼痛の程度、使用薬剤、効果の有無など、具体的な疼痛管理の状況を把握することが最優先となります。
- 2. 自宅の居住環境も緩和ケアにおいて重要な情報ですが、転棟直後に最も優先されるのは、患者さんが現在抱えている身体的な苦痛、特に痛みの管理状況です。居住環境は今後の退院支援や生活の質を考慮する上で必要となりますが、差し迫った苦痛の緩和には直接関係しません。正しくは:自宅の居住環境は、今後の退院支援や在宅緩和ケアを検討する際に重要な情報となります。ただし、転棟直後の「最も優先すべき情報」ではありません。選びやすい理由:緩和ケアは在宅への移行も視野に入れるため、居住環境も重要だと感じるかもしれない。混同注意:現在の苦痛緩和と将来的な生活支援の優先順位
- 3. 大腸がんの術式は、病歴の一部として把握すべき情報ですが、すでに終末期で多発性骨転移がある患者さんが緩和ケア病棟へ転棟するという状況において、過去の術式が現在の苦痛緩和やケア方針に直接的に影響を与える緊急性・優先順位は低いと判断されます。正しくは:大腸がんの術式は、患者の病状全体を理解するために必要な情報ではありますが、転棟時の「最も優先すべき情報」ではありません。特に終末期では、治療歴よりも現在の症状と苦痛緩和が優先されます。選びやすい理由:病気の理解には手術の情報が不可欠だと考えるかもしれない。混同注意:病歴の詳細と現在の苦痛緩和の優先順位
- 4. 夫の面会頻度は、患者さんの精神的なサポートや家族との関係性を理解する上で大切な情報ですが、現在の身体的な苦痛、特に痛みの管理よりも優先順位は低いです。家族のサポート状況は今後のケア計画に役立ちますが、緊急の苦痛緩和には直接関わりません。正しくは:夫の面会頻度は、患者さんの心理的サポート体制を把握するために重要な情報ですが、身体的苦痛の緩和が最優先される状況においては、その次に来るべき情報です。選びやすい理由:緩和ケアでは患者だけでなく家族のケアも重要視されるため、家族との関係性が高い優先度だと感じるかもしれない。混同注意:身体的苦痛の緩和と精神的・社会的サポートの優先順位
国試ポイント
終末期医療・緩和ケアにおける看護の優先順位、特に患者の苦痛緩和の重要性が問われています。情報収集の場面で、何が最も緊急性・重要性が高いかを見極める能力が求められます。
混同注意
緩和ケアでは、患者さんのQOL向上を目的とし、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな全人的ケアを提供するため、選択肢2, 3, 4も重要に見え、優先順位の判断が難しくなる可能性があります。しかし、転棟直後の状況では、差し迫った「苦痛の緩和」が最も重要であるという原則を理解しているかが問われます。
次に同じ論点が出たら
今後、同じような論点が出た場合は、患者の現在の状態や転棟・転院の目的(例:検査のため、リハビリのためなど)を詳細に読み解き、その目的を達成するために「最も優先すべきこと」は何かという視点で情報収集の優先順位を判断します。
関連知識
緩和ケアの定義、WHO方式疼痛コントロール、終末期ケアにおける看護師の役割、全人的ケアの概念、症状マネジメント(特に疼痛、呼吸困難、悪心・嘔吐など)、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)。