肺血栓塞栓症の確定診断に用いるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
肺血栓塞栓症では、体内で形成された血栓が分解される過程でD-ダイマーが増加します。そのため、D-ダイマーは肺血栓塞栓症のスクリーニング検査や除外診断に非常に有用です。基準値を超えた場合はさらなる精密検査(CT肺動脈造影など)が必要となります。他の選択肢は、貧血の指標や凝固機能全般の評価に用いられ、肺血栓塞栓症の直接的な確定診断には適していません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。D-ダイマーは、体内でフィブリンが分解されたときに生じる産物です。血栓が存在するとフィブリン溶解が進むため、肺血栓塞栓症(PTE)などの血栓性疾患ではD-ダイマー値が上昇します。特にPTEの除外診断に非常に有用であり、基準値以下であればPTEの可能性は極めて低いと判断できます。確定診断のためには画像診断(CT肺動脈造影など)が必要ですが、その前段階としてスクリーニングや診断の一助として用いられます。
- 2. ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で、酸素運搬の役割を担います。その値は貧血の有無などを評価するのに用いられますが、肺血栓塞栓症の診断には直接関連しません。正しくは:ヘモグロビンは貧血の診断に用いられます。選びやすい理由:血液検査項目であるため、何らかの異常を示すと誤解するかもしれません。混同注意:赤血球数、ヘマトクリット値など他の血液一般検査項目と混同する可能性があります。
- 3. プロトロンビン時間(PT)は、外因系凝固経路と共通凝固経路の異常を評価する検査で、主にワーファリンなどの抗凝固薬の効果モニタリングや肝機能障害、ビタミンK欠乏症などの診断に用いられます。肺血栓塞栓症の直接的な確定診断には使用されません。正しくは:プロトロンビン時間(PT)は、外因系凝固経路の評価やワーファリン効果のモニタリングに用いられます。選びやすい理由:凝固系の検査であるため、血栓症と関連があるように見えます。混同注意:他の凝固検査(APTTなど)や、血栓形成そのものと凝固線溶系の異常を混同しやすいです。
- 4. 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、内因系凝固経路と共通凝固経路の異常を評価する検査で、ヘパリンの効果モニタリングや血友病などの先天性凝固因子欠乏症の診断に用いられます。肺血栓塞栓症の直接的な確定診断には使用されません。正しくは:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、内因系凝固経路の評価やヘパリン効果のモニタリングに用いられます。選びやすい理由:凝固系の検査であるため、血栓症と関連があるように見えます。混同注意:他の凝固検査(PTなど)や、血栓形成そのものと凝固線溶系の異常を混同しやすいです。
国試ポイント
肺血栓塞栓症の診断プロセスにおけるD-ダイマーの位置づけ(スクリーニング、除外診断)と、凝固・線溶系の検査項目ごとの役割を正確に理解しているかが問われます。
混同注意
D-ダイマーが陽性であれば確定診断、と誤解する可能性があります。D-ダイマーはスクリーニング・除外診断であり、確定診断には画像診断が必須です。また、他の凝固線溶系検査(PT, APTT)と役割を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、D-ダイマーの役割に加え、肺血栓塞栓症の確定診断に必要な画像診断の種類や、予防のための看護介入(弾性ストッキング、早期離床など)について問われる可能性があります。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)は総称して静脈血栓塞栓症(VTE)と呼ばれ、密接に関連しています。DVTでもD-ダイマーは上昇します。また、PTEの確定診断には造影CT肺動脈造影がゴールドスタンダードです。凝固線溶系検査として、FDP、フィブリノゲンなども関連します。