全身麻酔下で胃全摘出術を受ける患者に対する無気肺の予防法はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
術後の無気肺予防には、肺の換気を促進し、気道分泌物の貯留を防ぐことが重要です。ハフィング法は痰の排出を助け、インセンティブ・スパイロメトリーは深呼吸を促して肺を広げる効果があります。これらは術後早期から積極的に取り組むべき呼吸リハビリテーションの一環です。
選択肢ごとの解説
- 1. 腹帯の主な目的は、術後の創部保護、疼痛緩和、腹圧上昇時のサポートであり、無気肺の直接的な予防効果は期待できません。むしろ強く巻きすぎると呼吸を妨げ、換気量を低下させる可能性があります。正しくは:腹帯は、無気肺予防ではなく、術後の創部保護や疼痛緩和、腹圧サポートを目的として使用されます。無気肺予防には深呼吸や体位変換が重要です。選びやすい理由:術後の苦痛を軽減し、動きやすくすることで間接的に呼吸を促す効果があるように思えるかもしれません。また、創部を保護することで患者が安心して深呼吸しやすくなるという解釈もできるため、選びやすいかもしれません。混同注意:創部保護や術後の疼痛管理、体動時のサポートといった腹帯の本来の目的と、無気肺予防を混同しやすいです。
- 2. 抗菌薬は、術後の感染症(特に手術部位感染)を予防するために使用されますが、無気肺そのものの発生を直接的に防ぐものではありません。正しくは:抗菌薬は、感染症の予防や治療のために用いられる薬剤であり、無気肺の予防とは目的が異なります。選びやすい理由:術後合併症全般を予防するという漠然としたイメージから、無気肺も含まれると誤解する可能性があります。特に、肺炎(感染症)と無気肺(換気障害)の関連を混同すると選びやすいかもしれません。混同注意:無気肺と細菌性肺炎の予防を混同しやすいです。無気肺は肺の虚脱であり、必ずしも感染を伴いません。
- 3. 正解。ハフィング法は、強く息を吐き出すことで気道の分泌物を末梢から中枢へ移動させ、喀出しやすくする呼吸法です。これにより気道閉塞が解消され、無気肺の予防や改善に有効です。
- 4. 弾性ストッキングは、下肢の静脈血流を促進し、深部静脈血栓症(DVT)や肺血栓塞栓症の予防に用いられます。無気肺の予防とは直接関連がありません。正しくは:弾性ストッキングは、主に下肢の深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症を予防するために使用され、無気肺の予防とは目的が異なります。選びやすい理由:術後合併症全般を予防するという文脈で、幅広い予防策の一つとして選択肢に含めてしまうかもしれません。混同注意:術後の循環器系の合併症(DVT、肺血栓塞栓症)の予防と、呼吸器系の合併症(無気肺)の予防を混同しやすいです。
- 5. 正解。インセンティブ・スパイロメトリーは、深く息を吸い込むことを促す医療器具です。これを使用することで、肺を大きく膨らませ、肺胞の虚脱を防ぎ、無気肺の予防に非常に効果的です。
国試ポイント
術後の呼吸器合併症(特に無気肺)の予防策に関する基本的な知識と、それぞれの予防策がどのようなメカニズムで効果を発揮するのかを理解しているかを問う問題です。術後のケアとして、さまざまな合併症の予防策を混同せず、それぞれの目的と方法を正確に把握している必要があります。
混同注意
無気肺予防と、他の術後合併症(感染症、DVT、疼痛など)の予防策を混同しやすいです。特に、術後の呼吸機能に関連する介入(深呼吸、咳、体位変換、早期離床など)と、そうでない介入(腹帯、抗菌薬、弾性ストッキングなど)を区別する能力が問われます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、術後の循環器合併症(深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症)や、術後感染症(手術部位感染、肺炎)の予防策についても、それぞれの目的と具体的な方法を正確に選択できるかを確認すると良いでしょう。また、高齢患者やCOPDなどの基礎疾患を持つ患者における無気肺予防の特殊性についても問われる可能性があります。
関連知識
術後の呼吸器合併症(無気肺、肺炎)のリスク因子(全身麻酔、開腹手術、疼痛、臥床など)。無気肺の病態生理。術後早期離床、体位変換、深呼吸・咳嗽訓練、早期疼痛管理の重要性。