上大静脈症候群の症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
上大静脈症候群は、上大静脈が腫瘍などにより圧迫・閉塞されることで、上大静脈より上流の領域(頭部、顔面、頚部、上肢、上胸部)からの静脈還流が障害され、うっ滞が生じます。このうっ滞により、顔面や頚部の浮腫、腕の腫脹、頭痛、めまい、呼吸困難などの症状が現れます。選択肢4の顔面のむくみは、頭部からの静脈血が上大静脈に還流できず、顔面の血管がうっ血することで生じる典型的な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 血痰は気管支や肺からの出血であり、上大静脈症候群による直接的な症状ではありません。原因疾患によっては関連することもありますが、症候群の直接的な症状としては適切ではありません。正しくは:血痰は肺癌などの原疾患でみられる可能性がありますが、上大静脈症候群の直接的な症状は静脈うっ滞によるものです。選びやすい理由:上大静脈症候群の原因が肺癌である場合、肺癌の症状として血痰が見られることがあるため、混同しやすいです。混同注意:上大静脈症候群の『原因疾患の症状』と『症候群自体の症状』
- 2. 上肢の痛みは上肢の静脈うっ滞により重だるさや不快感を感じることはあっても、『痛み』が主症状となることは稀です。神経圧迫による痛みと混同している可能性があります。正しくは:上肢の浮腫やチアノーゼが上大静脈症候群の症状として適切です。痛みは上肢のうっ血による違和感や重感が生じることはありますが、神経圧迫による激しい痛みとは異なります。選びやすい理由:上肢も上大静脈の還流領域であるため、何らかの症状が出ると考えやすいですが、「痛み」という表現は適切ではありません。混同注意:神経圧迫による症状(例: 腕神経叢圧迫による上肢痛)
- 3. まぶたが下がる(眼瞼下垂)はホルネル症候群の症状であり、交感神経経路の障害によって起こります。上大静脈症候群とは異なる病態です。正しくは:眼瞼下垂はホルネル症候群の症状であり、瞳孔縮小、眼球陥没、顔面発汗低下とセットでみられます。選びやすい理由:胸腔内病変が原因でホルネル症候群も合併することがあるため、混同しやすいです。混同注意:ホルネル症候群
- 4. 正解。顔面のむくみは、上大静脈の圧迫・閉塞により頭部や顔面からの静脈還流が障害され、静脈うっ滞が起こることで生じる典型的な症状です。選びやすい理由:顔面の症状としてすぐに想起される症状の一つであるため、選びやすいです。
- 5. 胸腔への水貯留(胸水)は胸膜病変や心不全などでみられますが、上大静脈症候群の直接的な症状ではありません。上大静脈の閉塞が直接的に胸水を引き起こす機序はありません。正しくは:胸腔への水貯留(胸水)は胸膜炎や癌性胸膜炎、心不全などで見られます。上大静脈症候群では静脈還流障害による浮腫が中心症状です。選びやすい理由:上大静脈症候群の原因疾患が胸腔内の病変(肺癌など)である場合が多く、その病変が胸水を合併することがあるため、混同しやすいです。混同注意:上大静脈症候群の『原因疾患の症状』と『症候群自体の症状』
国試ポイント
上大静脈症候群の主要な原因と、その解剖学的・生理学的背景に基づいた特徴的な症状を理解しておくことが重要です。特に、上大静脈が支配する領域の静脈還流障害による浮腫やうっ血の症状を正確に把握しましょう。
混同注意
胸腔内病変による他の症状(例: ホルネル症候群、反回神経麻痺による嗄声など)と混同しないように、上大静脈の機能解剖と症状の関連性を明確に区別することが必要です。
次に同じ論点が出たら
次に上大静脈症候群に関する問題が出題された際は、頭部、顔面、頚部、上肢、上胸部といった上大静脈が支配する範囲の静脈還流障害に起因する症状(浮腫、チアノーゼ、側副血行路の発達)があるかどうかに着目して判断します。
関連知識
上大静脈症候群の主な原因は肺癌(特に小細胞肺癌)であり、悪性腫瘍の合併症として重要です。また、側副血行路の発達により症状が軽減されることがある点も関連知識として押さえておきましょう。治療は原因疾患の治療が中心となります。