病気の解説
上大静脈症候群
緊急性の高い症状
- 息苦しさが急に強くなる、息を吸うときにヒューヒューと高い音がする
- 意識がもうろうとする、混乱する、ひどい頭痛がある
- 子どもで、せきや声がれ、息苦しさに加えて、気を失う・ぼんやりする・見えにくいといった様子がある
のどや気道のむくみ、脳のむくみをともなう場合は命に関わることがあるとされます(日本緩和医療学会)(NCI)。子どもでは気道がふさがりやすく、とくに危険とされています(NCI)。このような症状があるときは、すぐに医療機関を受診してください。
出典:日本緩和医療学会「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン」、NCI「Cardiopulmonary Syndromes (PDQ) – Patient Version」
当てはまるときは、ためらわず 119 または救急外来へ。
受診の目安
- 顔や首、腕、上半身がむくんできたとき(NCI)(日本緩和医療学会)
- 息切れやせきが続くとき(NCI)
- 首や胸の表面の静脈が浮き出て見えるとき(NCI)(日本緩和医療学会)
- 声がかれる、飲み込みにくいといった症状が加わったとき(NCI)(日本緩和医療学会)
がんの治療中の人は担当の診療科へ、それ以外の人は内科(循環器内科や呼吸器内科)へ相談してください。むくみや息切れは心臓や腎臓の病気などでも起こるため、症状だけで病名を判断することはできません。
基本
上大静脈症候群とは
上大静脈は、頭や首、腕、胸から戻ってくる血液を心臓へ運ぶ太い静脈です。この血管が外から押されたり内側でふさがったりして血液が流れにくくなり、上半身にむくみなどが出る状態をまとめて上大静脈症候群と呼びます(NCI)(日本緩和医療学会)。原因の多くはがんで、がん医療では急いで対応すべき状態(オンコロジック・エマージェンシー)の一つとされます。ただ、症状は比較的ゆっくり進むことが多く、この状態だけで命に関わることはまれとされています(日本緩和医療学会)。
主な症状
- よくみられる症状:顔・首・腕・上半身のむくみ、息苦しさ、せき(NCI)(日本緩和医療学会)。
- そのほかの症状:声がれ、飲み込みにくさ、首や胸の静脈の浮き出し、胸の痛み、呼吸が速くなる、血の混じったたん(NCI)。顔や上半身が赤みを帯びたり、紫色っぽくなったりすることもあります(日本緩和医療学会)。
- まれな重い症状:脳がむくむと、頭痛、混乱、意識の低下が起こることがあります(日本緩和医療学会)。
血管が急にふさがるほど、周りの静脈が回り道(側副血行路)をつくる時間がなく、症状が強く出やすいとされます(NCI)。逆に回り道が発達すると、自然に症状が軽くなることもあります(日本緩和医療学会)。
原因・なりやすい要因
大部分は、胸の中のがんが上大静脈を外から圧迫することで起こります。大人では肺がんと悪性リンパ腫が代表的で、乳がんの転移などでも起こります(NCI)(日本緩和医療学会)。
がん以外では、点滴用のカテーテルやペースメーカーの導線のまわりにできる血栓、胸の中の感染や炎症で組織が硬くなること、甲状腺の腫れなどが原因になります(NCI)。子どもでは悪性リンパ腫が最も多い原因とされます(NCI)。
検査と診断
診断
首や腕のむくみ、静脈の浮き出しなどを診察で確かめたうえで、胸部X線検査や、造影剤を使った胸部CT検査を行います。CTでは、ふさがっている場所や程度、原因となる腫瘍や血栓、回り道の血管の様子まで調べることができます(日本緩和医療学会)(NCI)。原因ががんかどうか、どの種類のがんかを確かめるために、組織を一部とって調べる検査(生検)が行われることもあります(NCI)。
治療
治療
治療は、原因、症状の強さ、がんの種類や見通し、本人の希望をふまえて選ばれます(NCI)。
- 原因への治療:がんが原因なら、抗がん剤治療や放射線治療を検討します(日本緩和医療学会)(NCI)。血栓が原因なら、血栓を溶かす・取り除く治療が行われることがあります(NCI)。
- 血管を広げる治療:ふさがった静脈の中に、筒状の器具(ステント)を入れて血液の通り道を確保する方法があります(日本緩和医療学会)(NCI)。
- 症状をやわらげる治療:ステロイド薬が使われることがあります(日本緩和医療学会)。症状が軽い場合は、上半身を高くして休むなどしながら様子をみることもあります(NCI)。
- 手術:ふさがった部分を迂回する血管をつくる手術が行われることがあり、がん以外が原因の場合に多いとされます(NCI)。
経過と生活
経過
見通しは原因となった病気によって大きく異なります(日本緩和医療学会)。がんが進んでいる場合には、苦痛をやわらげ生活の質を保つ緩和ケアも重要な選択肢になります(NCI)。
循環器内科で扱うほかの病気
国家試験での出題
医療系の国家試験で、この病気に関係して出題された過去問です(学生・受験生向け)。
出典
NCI「Cardiopulmonary Syndromes (PDQ) – Patient Version」 / 日本緩和医療学会「がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイドライン(2016年版)」II章7
内容の確認日:2026-10-13(次回確認予定 2027-04-13)。複数の公的情報源の事実をもとに medimichi が独自にまとめています。
この記事は一般的な医療情報の解説で、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関を受診してください。緊急時は 119 / 医療機関へ。